ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

マンガ『伝説のお母さん』 異世界の子育て事情なのに既視感があるのはなぜ?

目次

 

今回、ご紹介するのは、子育てしながら魔王と戦うことを決意した魔法使いのお母さんの活躍を描くマンガ『伝説のお母さん』。作者はかねもとさんで、出版社は(株)KADOKAWA全ページ色つきにも関わらず994円という1000円以下の本体価格です。これはすごいのでは。以下、リンクを兼ねた表紙の画像。電子書籍版とは表紙絵がちがうようです。

 

 

それでは以下、この異世界子育てマンガについて解説していきます。

 

『伝説のお母さん』あらすじ

なんやかんやあって数年前に封印した魔王が復活した

国王は勇者一行に再び旅に出て魔王を倒すよう命令を下す

しかしその中のひとりである伝説の魔法使いは―

待機児童を抱えていた―

同書 P3 まおうのふっかつ より

 

「このままでは順番待ちで世界が滅びますよ」

「子育ての優先順位を後回しにした人類の負けです 滅びましょう」

 同書 P36より

 

はい。上記の引用だけでもいい気がしますが、もうちょっと説明を。要するに、一児の母になった魔法使いさんが子供を預けることができず魔王討伐の旅に出られないので、戦力不足で世界が滅ぶかもしれないって話です。(後に伝説のお母さんと呼ばれる)魔法使いのお母さんは、かつて共に旅をした伝説の一行と飲み会をして、旅に出るかどうかを話し合います。前回の冒険から時は過ぎ、今ではメンバーの5人中3人が既婚者で子持ち。気軽に長旅はできません。9時に家を出て17時に帰ってくるのが限界です。

一行は魔法使いの赤ちゃん(娘)を連れて旅ができないか試しますが、とても無理だという結論に。魔法使いのお母さんはこのあと、娘を夫にまかせて時短勤務をしてみたりしますが、そうこうしているうちに後輩の若い魔法使いちゃんが魔王討伐の命を受けて出発。しかし、後輩ちゃんがリーダーを務めるパーティは魔王に負けて全滅してしまいました。長期的には世界がヤバイし、短期的には魔法使い親子が住む城下町がヤバイ。

魔法具で子供を産む前の時間に戻してやろうと言う魔王の誘惑をはねのけた魔法使いのお母さんは城下町で、復活した魔王と対峙します。

魔法使いのお母さんは、どう魔王と戦うのか。城下町は、世界はどうなる? 

 

読んだ感想(ネタバレ注意)

子育て事情の歪みは古い男女観と悪い待遇のせい。

この作品はあくまでも異世界を舞台にしているのですが、待機児童・保育所・育休なんて言葉が使われているし、剣と魔法の世界のはずなのにスマホがあります。こんな世界でファンタジーな格好をした伝説の一行が酒場で何を話しているのかと言えば、「育児は女の仕事」だの、「男性で初めて育休を取ったら白い目で見られるようになった」だの。今この瞬間に日本のどこかで誰か(の親御さん)が言っていてもおかしくない話。聞いてる分にはおもしろいです。

飲み会のシーンでは、独身でお金持ちで男女観が古い(伝説の)神官と、既婚者で子育てに参加している(伝説の)勇者さんの対比が描かれています。「そんなことばかり言っているからおまえは結婚できないんだ」という(伝説の)女拳闘士さんから神官へのツッコミがいい。私が結婚するなら勇者さんみたいな男性がいいです。

飲み会で話し合われたことは笑えるんですが、この飲み会のあとに笑えない事が起こります。勇者さんが、魔王側のあまりの待遇の良さに寝返ったのです。これは無理もないことでした。なにせ魔王側の待遇が良すぎる。例をあげると、

完全週休二日制、残業ゼロ、有給消化率100%など。

こんな待遇を実現できる人間の組織があるのか? どんだけホワイトやねん。こんなん、よっぽどの大企業じゃないんと無理ちゃうん? 

思わず舞台が異世界であることを忘れてツッコミを入れてしまいました。本作の勇者の寝返りはたぶん作者さんの「このままだと日本から優秀な人材が海外に流出してしまう」という危機感を表しているのでしょう。「育った文化は同じだけど自分の事情に無理解な人々」と「育った文化はちがうけど自分の事情に理解ある人々」と、どちらに囲まれて働きたいかという話ですね。後者を選ぶ人がいても仕方ないと思います。勇者さんは後者を選び、自分の子を魔族が運営している保育所に預け、魔族たちの中で生きると決断したのです。

 

優しいお母さんが(ある意味)カッコイイ!

 復活して後輩ちゃんのパーティを返り討ちにした魔王は城下町で、伝説の一行(勇者を除く)に再会します。しかし魔王は、戦う力が尽きた一行に攻撃してきません。そのかわりに魔王が放ったものは魔法よりも怖ろしいもの、言霊でした。細身の神官に「もっと男らしくしないとダメ」、独身の女拳闘士に「その年齢で結婚してないなんて」、三十路を過ぎた女シーフに「女は二十代まで」と言い放つのです! さすがは魔王、なんて怖ろしい攻撃なんでしょう!

続いて魔王は、魔法使いのお母さんにある魔法具を見せ、遠まわしに、魔法使いのおまえが弱くなったのは、子供を産んで母親になってしまったせいだと言います。そして「おまえが子供を産む前まで、世界の時間を戻そう」と提案してくるのです。

これを断る魔法使いのお母さんのセリフがカッコイイ!

「もし子供がいなかったら今の私はいません 今の私にしかできないことがあります!」

同書 P167 きゃんせる より

ここから、魔法使いのお母さんによる怒涛の反撃(反論)が始まります。歌える子守歌が増えた、ご飯の最中にう○ちオムツを替えられる。これが今の私なんです、と。これを聞いた女拳闘士は「頼むもっとかっこいいやつで反撃してくれ」と言いますが、私は魔法使いのお母さんはすでにカッコイイと思います。なんてステキなお母さんなんだ!これはぜひ、お父さんにも言えるようになってほしいセリフです。

 

魔王が義賊と化してて笑える。

「金品を払い労働条件をよいものにし自らこちらへ赴くように仕向けておる」

「なんと‥‥! 戦わずして敵を引き入れるとは‥‥」

「まあその金は人間の街から奪ったものだがなぁ」

 同書 P197 まっちぽんぷ より

 

魔王は人間の街を占領して、無駄に建てられた公共施設を奪い、魔界・人間界共用の保育所を大量につくります。 そして人間から奪ったお金で人間の保育士に賃金を払っているのです! 何をしているんだ魔王。やってることがもはや義賊だぞ(笑) ある意味優しいこの魔王、実は子持ちです。

 

「魔族と人間では成長の速度が違う この子は我が封印されるはるか前に生まれた 人間でいえばすでに60年は生きている」

「60‥‥!?」

「ああ だからイヤイヤ期も20年くらい続いている」

「きっつ‥‥」

 同書 P203 じかんのかんかく より

 

「勇者よ ともに作り上げようぞ 大量の保育所と 子供たちの高笑いが響く世界を―」

「あれ‥‥? めっちゃいいじゃん‥‥」

 同書 P205 せかいせいふく より

 

魔王のお子さんがかわいい顔をしている。魔王もこの子のためにがんばってるんだと思うとつい応援したくなります。ダメなんだけど。寝返った勇者の気持ちがわかるというものです。

 

よく考えたら何も解決していない!

結局、魔法使いのお母さんが就労し、討伐の旅に出ることになりました。そして、国王の工作によって無職になったお父さんが、魔法使いさんのかわりに専業主夫になり、赤ちゃんのお世話をすることに。ここまではいいでしょう。作中では保育所などの制度的な問題はまだ解決していませんが、魔法使いのお母さんが家に縛られることはなくなり、無事に魔王討伐パーティが結成されました。

魔法使い親子の家庭環境がよくなったところで。この作品をファンタジー系として真面目に考察すると真の問題は、この旅の結末でしょう。

今の魔王は人間に効く言霊を操れるほど、人間の心を理解しています。さらに、世界征服の目的が人類の根絶やし⇒支配に変わっているので、もしかしたら講和条約を結んで和平ができるかもしれません。魔王討伐パーティを、人間の国から来た使者だと解釈すれば、これは可能なことです。

しかし、魔王と、魔王討伐パーティの両者はこの建設的な選択肢に気がつかないかもしれません。どちらかが気づくまではガチで戦闘でしょうし、魔王側についた勇者さんとの一戦は避けられないでしょう。勇者さんとの一戦がシリアスな戦闘になるか、コミカルな説得になるかはわかりませんが。本編の雰囲気からすると、コミカル路線になりそうですね。

どちらにせよ、人間キャラと魔王のお子さんは無事でありますように。

 

おわりに

本作は、今まさに子育て中のご夫婦と、これから子供をつくろうとしている方と、あとは子育て関係の行政に携わる人に読んでほしいです。上の人々が庶民の子育てに無関心で、フォローせずに放置した場合、デキる庶民は外国に移住して、並の庶民は子供をつくらず国民が減ってしまいます。日本を存続させたいのならば、日本中の父母にこの書を配って読ませ、本書を行政の教科書にするべきです!

 

以上。マンガ『伝説のお母さん』をご紹介しました。

 

 

追記:続編が連載中です! 

実は本作、ダ・ヴィンチニュースにて続編の「伝説のお母さん つづきから」が連載中(⬇︎)です。2020年現在では第9回までが公開されています。

ddnavi.com

本作が全12話+番外編1話で終わっていることを考えると、もう後半ですね。あと4話ほどでしょうか。勇者vs元チームメイト戦の展開と、オチがどうなるのか非常に楽しみです。

 

※本記事は、2020年1月8日に加筆しました。

 

『左利きの本』の付録は、左利きのお子さんにオススメ!

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今回、ご紹介するのは、まんま『左利きの本』というタイトルのムック。

宝島社から¥1180+税で出ています。以下、リンクを兼ねた画像です。

 

 

値段のほとんどは付録の左利き用アイテム代だと思います。

筆者も左利きなので買いました。この商品は左利きの人がみつけた時に

買ってあげないと、はけないと思います。

 

それでは開封(という名の解体)していきます。まずは、付録を取り出します。

厚さ2センチほどのグレーの箱に入っているので、天地に貼られたテープをはがして、中身を取り出します。続いて、背表紙とハンドブックを分離させます。

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すると、こんな感じになります。ここまで解体すれば、かさばる背表紙+外箱は捨ててよし。あとは付録をダンボールから取り出して、ダンボールを捨てたら完了です。付録はビニール袋に入っているので、開けるかどうかはご自由に。私は定規は未開封で保存することにしました。

 

付録について

左利き用定規

まずは定規から。

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左:付録の左利き用。

右:通常の30センチ定規

通常の定規は、目盛りを左にすると0が下になります。

これに対して、左利き用では目盛りを左にすると0が上になります。

長さに関係なく、ただ直線を引くだけならどちらも同じですが、

左利きの人が、決まった長さの線を引くなら左利き用定規が便利です。

これで「この定規は30センチで、今は16センチのところだから、14センチの線を引いたんだな」なんて逆算しなくていい! これは画期的!

だけど大人になったら、決まった長さの線を手描きする機会なんてたぶんない!

だからこれは、左利きの小学生のお子さんがいる人が買うといいかも。

 

左利き用メジャー

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上:付録の左利き用メジャー。反対の面にはLeftyのマークが入っている。

下:我が家に昔からあるメジャー。凝った柄なので気に入っている。

どちらも、中心のボタンを押すと巻き取ることができます。ボタンの色は

本体とちがうほうが見えやすいですね。

 

上の画像をよく見てもらうとわかりますが、左利き用メジャーは通常のメジャーと目盛りの向きが上下逆になっています。物の長さを計るには逆に不便ですが、自分のウエストを計るのには便利です。このメジャーは一見すると左手でしか使えないように見えますが、実は裏面にも目盛りが印刷されています。

 

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右手で引き出すとこうなっています。つまりこのメジャーは、右利きの人でも使えるようになっているのです! 私は逆差別反対派なのでこれはうれしい。

 

ハンドブックの内容

このハンドブックの主な内容は、

・左利きにまつわる噂の真相

・3人の有名人にインタビューした「左利きあるある」

・左利き用グッズカタログ

 

○○さんの左利き度を教えてください、という質問があるあたり

わかってんじゃんと思います。質問者も左利きなのかな。

なんせ世の中、右利き用にできてるものだから左利きっておのずと

左右の手を使い分けるようになるんですよね。インタビューを受けた人には

右手で字を書く猛者や、逆に、全部左手でしますという人も。

 

ああ。世界中の左利きの人たちに、マウスはどっちで使ってるのかききたい!

左利き用マウスもあるらしいですが、実際の左利きユーザーは

どれぐらいいるんでしょうか。私は右利き用マウスを使っていますが。

 

終わりに。私の左利き度がわかる過去記事

 

mee6.hatenablog.jp

 

以上。左利き用のメジャーと定規が付録が付録のムック『左利きの本』を

ご紹介しました。左利きのお子さんがいらっしゃる方はぜひどうぞ!

 

 

※本記事は、2018年9月15日に改題しました。

なんばCITY地下階のボールマシーンは見てて飽きないからヤバイ【ジョージ・ローズ作】

目次

 

ジョージ・ローズ作のボールマシン

今回、メインで紹介するのは、なんばCITY地階(B2F)にあるボールマシーン。

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ちょっと手ブレてますね。すみません。この画像が一番、人が写っていなくて全体像がわかりやすかったもので。まわりにはベンチがあります。このベンチに腰かけていると時間を忘れそうになるので、時計がついているのは親切ですね。この時計を時々見上げて確認すれば、次の予定に遅れることはない(はず)。正確な大きさはわかりませんが、一辺は1.5メートルぐらいありそう。ボールの経路は複雑なので、ぼーっと見ているとルートが一つなのか分岐しているのかさえわかりません。だからこそ、飽きずに無心に見てしまう。おまけに、ところどころに音がなる仕掛けがあって、ボールが当たるたびに音をたてます。これが音楽のようで心地よい。これ、ずっと見てたら眠くなるかもしれない。なんばCITYに起こしの際は、ついでにB2Fにも足をのばしてみてはいかがでしょう。お一人の時は特にオススメです。え、動画? 撮ってない(汗) ググッたらyoutubeの動画もヒットしたので、リンク(⇓)を貼っておきます。

【時計レポNo.108】なんばCITY地下2階「George Rhoads(ジョージローズ)」 - YouTube

 

作者などを調べるため、「ボールマシン なんばシティ」でググッてみたところ以下のサイトがヒットしました。

ジョージ・ローズのボールマシン

 

このサイトによると、なんばCITYにあるボールマシンはジョージ・ローズさんという画家兼彫刻家の方が作ったようです。他の作品も日本にあるらしい。大阪にある他の作品は大阪市立科学館に展示されていると書かれていたので、大阪市立科学館の公式サイトを確認したところ、2階「おやこで科学」コーナーに展示されているようです。詳しくは公式サイトをどうぞ(⇓)

2F おやこで科学|大阪市立科学館 公式ホームページ

 

ナナズグリーンティーカフェ、ほうじ茶とくるみのタルト

お一人の時にオススメとは言っても、わざわざボールマシンのためだけにB2Fに行くのもなんでしょう。そこで、この階にあるオススメのカフェを紹介します。nana's green tea(ナナズグリーンティ)というカフェです。私がこのカフェで食べてきたケーキがこちら(⇓)

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「ほうじ茶とくるみのタルト」(9月24日までの限定メニュー)です! タルトと聞くとついフルーツ系を思い浮かべてしまいますが、これはほうじ茶クリームが使われているタルトです。ほうじ茶とくるみの組み合わせは珍しい気がしたのでオーダーしました。結果、大正解でした。見た目は地味なケーキですが、下の層にもくるみが入っていて、意外とくるみ率が高い。くるみのカリコリとした食感が楽しいです。クリームはほうじ茶の味がして、適度に甘い。しかも、かかっているソースは黒密! これはうれしい。かなり和風のケーキです。和菓子と洋菓子のハイブリットって感じ。私はこのケーキでドリンクセットを注文しました。全体像はこちら(⇓)

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セットにしたのはホットのほうじ茶! ホットだと急須で出てくるからお得な気がします。2杯飲めました。右上の黒い紙コップはセルフのお水。このカフェはお水と食器の返却がセルフサービスなので注意。テーブルを片づけてから出ましょう。ナナズグリーンティーについて、詳しくは公式サイトをどうぞ(⇓)

www.nanasgreentea.com

 

ドリンクメニューには抹茶系が多いですが、ほうじ茶系もあります。抹茶・ほうじ茶がお好きな方は一度、足を運んでみては。私はほうじ茶好きなのでうれしいです。当初の目的よりもこちらを楽しんでしまいました。家でもほうじ茶を淹れてみようかな。

 

以上。なんばCITY地下階でボールマシーンを見てカフェに寄ってきた件をお送りしました。

セルフネイルを始めた夏でした。

今週のお題「#平成最後の夏」

 

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※本記事はお題に提出したのを編集した記事です。

 アイシャドウは別記事にする予定なので、サムネイルの画像は本記事とは

 無関係なものになっています。アイシャドウの記事が読みたかった方、

 申し訳ありません。

 

スルーするつもりだったお題なんですけど、今日、久しぶりにドラッグストアに行って触発されたので、この夏にしたことを書こうと思います。

私がこの夏にしたことは、記事タイトル通り、セルフネイルを始めたことです。

 

以下、情報を勝手にお送りしますので、よければおつきあいください。

 

今年の夏に挑戦したネイル

ネイルは、テゾーロ様のイメージネイルに挑戦したことがきっかけでした。私が挑んだイメージネイルの詳細を知りたい方は、以下のリンクから過去記事をどうぞ。

 

mee6.hatenablog.jp

 

上記の記事は追記まみれで長くなってしまったので、一部を本記事に移しました。

以下、リンク先の記事から移した、イメージネイルをする過程でのこぼれ話など。

 

マット仕上げ 

ネイルホリックの公式本(⇓) リンクを兼ねた画像

巻末のカタログを読むと、マット仕上げになるトップコートがあるらしい。

マット加工好きの私は、さっそく買って試しました。

以下、リンクを兼ねた画像です。

 

 

そして、こちらがネイルチップで試した画像(⇓)です

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左の列がクリア、右の列がマット。両方とも2度ぬりです。

なんという質感の差でしょうか! 私は断然、右のほうが好みです。

自分の爪にぬるならマットにします! 高級感もあるし、

マット仕上げは手触りが曇りガラスみたいで最高です。

 

久しぶりにネイルしてみたら、右の人差し指の爪がこすれてネイルがヨレた。

利き手じゃないから油断してた。普段からネイルしたいなら、

利き手じゃないほうの手の、中・薬・小指にぬろうと思いました。

この指なら利き手でもいけるか。

とりあえず親指と人差し指はよく使うので避けたほうがいいかも。

はげやすそうですし。あと、マット仕上げは手触りが曇りガラスみたいって

書いたんですが、自分の指だとなんか感触がちがう。体温のせいでしょうか。

ネイルチップの感触はよかったのに。これまた不思議。

ネイルって美術みたいと思ってたけど、ちょっと理科の要素もあるらしい。

 

ネイルチップとスモーキーコート 

過去記事で使ったネイルチップはこちら(⇓)

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みなさん、上の画像をよく見てください。この商品は一列に6枚の爪があるでしょ? 

そう、この商品は12枚で一個なんですよ! これが5個入って60枚になっています。

この付け爪はセリアで買ったんですけど、セリアのお客様には

6本指の方が多いのかもしれません(そんなわけない)。

これはたぶん、自分の小指の爪の大きさに合わせて使うパーツを選べってこと

なんでしょうけども。初見だとちょっと驚くし、想像が広がりますね!

 

このネイルチップを使って、ちょっとした実験をしました。

まずは、二つの画像(⇓)を見比べてください。

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左上の透明チップを見てもらえばわかりますが、下の画像のほうが暗め(黒め)になっています。これは光の加減ではなく、左下の緑と右上のラメ以外にネイルホリックのスモーキーコート(⇓)を塗ったから。以下、リンクを兼ねた画像です。

 

 

手持ちの色そのままだとかなり夏らしい色で、秋に使うのには抵抗がありました。なのでスモーキーコートを試してみたら、なかり好みな色に変化してくれました。これで秋もネイルがはかどる! 

こんなにステキなスモーキーコートですが、店頭で見た記憶がありません。今回は仕方なくアマゾンで本と抱き合わせて注文したのですが、なぜか後日、別便で届きました。エアクッションで包んでくれれば、本に同封してくれてよかったのに。段ボールがもったいない。

 

上の実験でも使った、ネイルホリックの2018年限定色ボトルがこちら(⇓)

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左:2018年5月16日発売のGD052  限定色なのでフタとグランド名がピンク色。

発売から3ヶ月以上経った現在では、店頭でみかけなくなりました。

右:ついに買ったベースコート。いらないと思ってたけど、ネイルを長持ちさせたいならやはり塗るべきかと購入。

 

増えたネイル・メンバーズの収納方法 

次に、私の手持ちのネイル・メンバーズをお見せしましょう。

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そういえば、私のマニキュアは今、何本あるんだろう? 

画像を見ながら数えてみたところ、

ゾーヤ×1本+ネイルホリック×9本+paネイル×2本+キャンメイク×1本=13本!

マジで? 文化によっては不吉な数なのは置いといて、多すぎじゃない!? いつのまにこんなに増えたんだ。我ながら信じられない所有数だ。これ以上増やさないようにしなければと思っていましたが、秋の到来とともにネイルホリックのスモーキーコートを一本増やして、今では14本あります。さすがに引き出しの中でスペースを取り始めたので、百円均一ショップで買ったケース(⇓)に移しました。

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これの正体は、ダイソーで買ったファイルバッグ。

空の時はこんな感じ(⇓)です。

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ゾーヤとキャンメイクが場所取りなので、ネイルホリックに統一したら

16本は入りそうです。これで引き出しを占領せず、本棚に収納することが

可能になりました。高さがありすぎて取り出しにくいですが、持ち手がついてて

全色いっぺんに持ち運べるので便利です。ネイルが増えてきて収納場所に困っている方にオススメ。

 

ネイルホリックのガイド本によると発売当時、全68色を大人買いした人もいたらしい*1けど、私にはこれだけあれば十分。収納スペース的にも、本当にもう増やさない!

  

最後に、公式ガイドの他に買ったネイル本を紹介します。

以下、リンクを兼ねた画像です。

アマゾンでショートネイルの本を検索して発見。まず、この表紙写真がステキ。

私は自分の本棚に人の顔が写った表紙の本を置きたくないので、この本を買うことにしました。人物の顔は写っていないし、手元はちゃんと見えるし。おまけに、ショートネイルの本でありながらジェルネイルに特化していない内容でした。定番デザインの種類と、デコパーツの一覧が見られたのもよかったです。

この本の主な内容は、デザインパターンの見本・爪の手入れ法・マニキュアの基本の塗り方・有名なネイルサロンの紹介。内容的にはお約束なので個別記事を書くほどではないですが、真似してみたいデザインがありました。P56の「アーティスティックなデザイン」特集にあった、グレー地にピンクのラインが描かれたものです。これをメタリックシルバーで再現したらカッコイイんじゃないかと思って、paネイルのシルバーを買い上からZOYAネイルで試しにラインを描いたのが、チップに描いた☓マークです。

 

以上。私が平成最後の夏にしたことと、ゲットしたアイテムについてをお送りしました。

 

こちらがネイルホリックの公式ガイド。安い!

 

 

※本記事は、2018年10月4日に編集しました。

 

 

*1:ネイルホリック公式ガイド本『LOVE! NAIL HOLIC』P85を参照

「キキとララの青い鳥」は原作よりマイルドだけど子供だましではない。【サンリオ】

目次

 

今回、ご紹介するのはサンリオの映画「キキとララの青い鳥」です。主演(チルチルとミチルの役)はキキとララ。上映時間は60分ほどで、マイメロディの「赤ずきん」と抱き合わせで1枚のDVDになっている作品。以下、リンクを兼ねた画像です。

 

原作はメーテルリンクの「青い鳥」とテロップに表示されていたので、絵本を参考にしたわけではないようです。ということは、今作のマイルドさはサンリオ独自のものなのですね。原作について書いた過去記事もありますので、よければこちらもどうぞ(⇓)

mee6.hatenablog.jp

 

それでは以下、この作品について解説していきます。

 

サンリオ版「青い鳥」あらすじ

貧しい木こりの子供のチルチルとミチルは、家で留守番をしていた。近所の家では、盛大なお誕生会をしている。二人には、このお誕生日会の様子を窓から眺めてうらやむことしかできない。

夜、チルチルとミチルが犬のチロウ・猫のチレットと眠っていると、ドアから物音がした。チルチルとミチルは、お母さんが帰って来たと思い、喜んで起きる。しかし、ドアから入ってきたのは、見知らぬおばあさんだった。

おばあさんは、チルチルとミチルに、娘のために青い鳥を探してほしいという。青い鳥をみつけられれば、みんなが幸せになれるらしい。チルチルとミチルは、おばあさんがくれた帽子の力で動きだした者たちといっしょに、青い鳥を探しに行くことにした。

 

原作からの変更点など。ネタバレ注意。

冒険に出るまで

まず、クリスマスパーティー⇒お誕生日会に変更されています。小さい子にはこのほうがわかりやすいからでしょう。また、原作では兄のチルチルが少し意地悪で、窓の前の台を独占して1人でクリマスパーティーを見ていましたが、サンリオ版では窓の前の台はありません。窓が低いので、子供の背丈でも外が見えます。

次に、チルチルとミチルの親。原作では隣の寝室で眠っていることになっていますが、サンリオ版では両親は家にいません。このほうが話が簡単ですね。

次に、お供たちについて。猫のチレットが犬のチロウに意地悪をするシーンがあり、2匹の仲が悪いことが描かれています。これは原作にはないシーン。旅のメンバーは原作と同じですが、「水」の女性らしさはなくなっています。また、パンは出しゃばりではなく、砂糖は偽善者⇒気取り屋になっています。一番変化していたのは牛乳ちゃんでした。原作では影が薄かったですが、本作ではマイペースで独特な存在感の少女になっています。顔が小さくて、つぶらな黒目がカワイイ! 最後に、光が空中から現れてメンバーがそろいます。光がランプから出てくるシーンはありません。

本作と原作の最大の違いは、「旅が終わるとみんな死ぬ」という設定がないこと。子どもむけなので当然でしょうが。しかし、この説明がないせいで、本作では猫のチレットがみんなを裏切る理由がイマイチわかりません。死なないためというよりは、秘密を守って自由でいるためなのかな、とは思いますが。

原作ではこのあと、着替えのために妖女ベリリウンヌの家へ行くのですが、本作にこのシーンはありません。なぜなら魔法で着替えるから。おまけに、チルチルとミチルしか着替えません。

 

冒険に出てから

一行を引率するのは、原作と同様に光です。しかし、本作の仕事は、引率だけではありません。なんと本作の光は、乗り物を用意して、みんなを運んでくれるのです! これは便利ですね。実はどうやって移動していたのか不思議だったんですよ。原作は戯曲なので、舞台で見ていれば気にならないのかもしれませんが。

次に、思い出の国のシーン。原作では死んだ兄弟たちが登場しますが、本作ではおじいさんとおばあさんしか登場しません。貧しいので幼い兄弟たちはみんな病気で死んでしまったなんて悲しすぎるので、お子さんむけの本作ではチルチルとミチルは二人だけの兄妹なのです。原作もこれでよかった気がしますが。

次に、森のシーン。猫のチレットは森の木々に、チルチルとミチルが青い鳥を捕まえてしまったこと、このままでは自分たちの自由がなくなることを告げ口します。これは、チレットもこっそり思い出の国に入って、チルチルが青い鳥をカゴに入れるところを見たからできたことです。原作の猫は思い出の国には行きませんでした。

本作では森でチルチルとミチルを襲うのは木々だけになっていて、獣たちはいません。そして、チルチルと犬だけではなく、パンと火も活躍します。原作ではチルチルに守られるだけだったミチルですが、本作では捕まったチルチルを助けようと戦います。このへんは現代風ですね。木々を追い払ったのは光ではなく火でした。木々は燃やされたくないので、おとなしくなって動かなくなります。火の効果的な使い方ですね。思い出の国の青い鳥が、途中で黒くなってしまうのは同じです。

実は私が本作を観て一番驚いたのは、カシの木のセリフです。森の主らしいカシの木はチルチルに「青い鳥を捕まえて、ワシらを奴隷にする気だな」と言います。まさか子どもむけ作品で奴隷なんて単語を聞くことになるとは驚きでした。まあ、原作には女奴隷という役があるので、それに比べればマイルドになっているからOKなのか。

本作では原作と「場」の順番が入れ替わっています。原作では妖女の家⇒思い出の国⇒夜の御殿⇒森となっていますが、本作ではチルチルとミチルの家⇒思い出の国⇒森⇒夜の宮殿になっています。

ということで次に、夜の宮殿のシーンについて。原作の猫は一人で先行して夜の奥さまに告げ口に行きますが、本作のチレットはあいさつ係として先に夜の奥さまに会いに行きます。一人で先に行っている理由が違うんですね。チレットがしていることと、チルチルが夜さんからカギを借りて扉を開けるところは同じ。しかし、本作でカギを借りるのは、帽子を預けることと引き換えです。そして、開ける扉の数がちがいます。原作では7つの扉を開けますが、本作では1つだけ開けます。そして本作では悪いバイキンたちと出会います。このバイキンたちは、人の心にとりつくバイキンです。

原作では、チルチルたちは扉の中にいるものと戦いません。しかし本作では、バイキンが合体してパワーアップした「戦争のバイキン」と戦うことになります。といっても、はじめは「戦争のバイキン」がみんなを一方的に食べてしまうだけ。この強いバイキンを倒したのは猫のチレットの機転です。夜の奥さまから帽子を取りかえし、バイキンの口に飛びこんでお腹に入り、お腹の中でダイヤを回して光らせ、バイキンを倒してみんなを救います。本作のチレットは裏切り者でありながら優しい。本作のチレットは、これを最後にみんなの邪魔をしなくなりました。みんなの心が1つになったのはこのシーンからですね。

本作では夜の宮殿⇒喜びの国の順になっています。原作では「幸福」たちが暮らす「幸福の花園」に行くのに対して、本作では「ぜいたく」たちが暮らす「喜びの国」へ行くことに。この「喜びの国」のシーンはちょっと怖い。大人になった今なら大して怖くないんですが、子ども心には怖かった覚えがあります。この国の食べ物を食べてしまうと何もしたくなくなるという点は似ていますが、「食べると目的を忘れてしまう」なんて設定は原作にはありませんでしたし、チルチルが帽子のダイヤを回すと「ぜいたく」たちが溶けてしまうシーンは怖いです。原作の「一番ふとりかえった幸福」たちは裸になってしまうだけで溶けたりしなかったのですが。

お墓と未来の王国のシーンは丸々カット。お墓なんて出すとホラーになってしまいそうだし、未来の王国はお子さんにはわかりにくいからでしょう。さらに、お別れのシーンもカット。真の姿になって水の底に沈んだ「喜びの国」から逃げたみんなは、なぜか光に置き去りにされてしまいます。お供たちは1人ずつ光のあとを追い、雲に向かって走っていきました。チルチルとミチルは、「みんなどこに行くの、待って」と言いながら、ベッドの上で目を覚まします。まさかの夢オチ!? 

 

観た感想(という名のつっこみ)など

お母さんの帰りを待つ間、チルチルとミチルはひとつのベッドで仲良く眠っているのですが、これは本来は夫婦のベッドなのでは。親が不在でさみしいから、親のにおいがするベッドで寝ていると解釈するのが正解なのでしょうが、大人が見ると絵面的にちょっと。お子さまがこれを見てもなんとも思わないんでしょうけども。できればチルチルとミチルには、別々のベッドで寝ていてほしかったです。

本作のおばあさんは「青い鳥をみつけたらみんなが幸せになれる」と言って、チルチルとミチルを説得しますが、原作の妖女ベリリウンヌはこんなことを言いません。自分の娘のためだけに、二人を急かして連れて行きます。チルチルとミチルが依頼を引き受ける理由はサンリオ版のほうが説得力がありますね。

次に、森のシーン。猫のチレットが、2本足でこそこそ歩き、木々に告げ口をしに行きます。このシーンのチレットの歩き方がカワイイ! いかにも猫の後ろ足で歩いている感じがします。足の裏をべったり地面につけていないからかな。このアニメーションを描いた方々は、猫の歩き方を研究なさったのでしょうね。

次に、夜の宮殿のシーン。猫のチレットがあいさつ係に選ばれたのはおそらく、猫は夜行性なので夜さんと仲良しだと思われたからでしょう。 2本足で走るチレットちゃんがカワイイです。

牛乳(役名はミルク)ちゃんが独特の存在感を持ち始めるのは、夜の宮殿でバイキンたちが暴れるシーンから。ウソツキにとりつかれていないのに、「ウソツキさん、大好き」と抱きしめてしまうのです。私はこのシーンから牛乳ちゃんが一番好きになりました。本作の牛乳ちゃんは不思議ちゃんというか、マイペースです。チルチルとミチルの家ではなぜか「私、ミルクル・ミルク」なんて名乗りますし。あの名乗りにはどんな意味があったのやら。その場のノリか?

ベッドで目を覚ましたチルチルとミチルは、物言わぬ姿に戻ったお供たちにあいさつをしたあと、青くなったキジバトを持って寝巻のまま家を飛び出していきます。向かった先はお隣のお家。お隣の、病気の娘さんの名前はポーリーヌ。ポーリーヌは原作では病気で亡くなった妹の名前ですが、本作ではお隣の娘さんの名前に使われています。

本作のポーリーヌはちょっとおマセな女の子。うっかりキジバトを逃がしてしまい、チルチルが「また捕まえてあげるよ」と言うまでは原作と同じですが、本作では自分からチルチルのほっぺにキスします。キジバトをくれたお礼のつもりなのでしょう。原作ではチルチルがお隣の娘さんに、回復祝いのキスをするんですけどね。それにしても、ほっぺにとはいえ、子どもむけ作品でキスシーンがあるのも驚きでした。

 

まとめ。マイルドだけど子供だましではない。

本作は原作と比べて、全体的にかなりマイルドになっています。さすがはサンリオ。

病気で亡くなったかわいそうな兄弟たちはいないし、おじいさんは木の義足をつけていないし、おばあさんはリュウマチじゃないし。悲しい要素はカットしているようです。しかし、戦いのシーンや怖いシーンもあるので、子供だましではない。マイルドさとエンタメの絶妙なバランスがすごい。

日本のお子さまにわかりやすいように表現を変えつつ。女の子のミチルが受動的になりすぎないように配慮しつつ。一部がカットされたり、場の順番が入れ換えられたりしていますが、すばらしいアニメーション作品になっていると思います。

 

以上。サンリオの映画「キキとララの青い鳥」について語りました。

 

『青い鳥』は戯曲だと知ったのは新潮文庫の夏の100冊フェアだった。

目次

 

今回、ご紹介するのは、モーリス・メーテルリンク作『青い鳥』。

以下、リンクを兼ねた画像です。

 

実はこの作品、童話でも小説でもなく戯曲なんですよね。

恥ずかしながら私は今回、初めて知ったんですが。

新潮文庫の夏の100冊フェアの冊子に限定プレミアムカバーが載っていたので

買ってみました。上の画像と違い、青い無地のカバーが大人っぽくてステキ。

たしか、サンリオでキキとララがチルチルとミチルを演じている

劇場版アニメがあったんですよ。調べてみたら、「キキとララの青い鳥」っていう、

そのまんまのタイトルらしいんですけど。詳しくは以下のリンクからどうぞ。

キキとララの青い鳥 - Wikipedia

 

「青い鳥」は元から有名だし、この映画の原作だから、この機会に読んでみようと思いまして。いざ読んでみたら、色々とつっこみどころがあっておもしろかったです。

 

戯曲「青い鳥」のあらすじ

兄・チルチルと妹・ミチルは、貧しい木こりの子供。あるクリスマスイブの日、二人は家の窓から、向かいの家の豪華なクリスマスパーティを見ていた。二人が向かいの家のクリスマスパーティの豪華さをうらやましがっていると、急に妖女のベリリウンヌが訪ねてくる。

驚いている二人に構わず、妖女はチルチルに「この家に青い鳥はいないか」ときく。チルチルが「いない」と答えると、妖女は二人に「私の娘のために、青い鳥を探しに行け」と言った。

妖女がチルチルにくれたのは、大きなダイヤがついた青い帽子だった。このダイヤをひねれば物の真の姿が見えるし、過去や未来にも行けるという。

二人は、魔法のダイヤの力で動きだしたお供たちとともに、青い鳥を探しに旅立った。二人はどこで青い鳥をみつけるのか。

 

戯曲「青い鳥」へのつっこみ

まず、つっこみどころを箇条書きにします。

・かあさんチル、とうさんチルという役名がある。チルって名字なの!?

・お供は多いが、光とイヌとネコ以外は活躍しない。

・なぜか、お供たちは旅が終わると死ぬことになっている。

・母の愛の喜びは登場するが、父の愛の喜びは登場しない。

・実はSFなの!? 九遊星の王が登場する。

大きく分けると以上です。それでは、上から順に解説していきます。

 

かあさんチル、とうさんチルという役名がある。驚き。

かあさんチル・とうさんチルという役名について。正直な話、本書を読んで一番びっくりしたのはこの部分です。新潮文庫版ではP11~P15に登場人物の一覧があるのですが、そこに、かあさんチル・とうさんチル・おばあさんチル・おじいさんチルという役名があります。このことから、「チル」というのは「ムーミン」みたいなもので、一つの家系または種族を表していると考えれらます。もしかしたらチルチル・ミチルは、親の職業が木こりなだけで、本当は人間ではなく「チル」という妖精なのかもしれません。チルチルはチル・チル、つまりチル一族の跡取りであることを表す名前なのかもしれない。ミチルはミ・チルで、一族の名「チル」に「ミ」という女性を表す語がついて、「女性のチル」という意味なのかもしれません。

 

旅のお供が多すぎる。食物の精はいらないよね。

次に、旅のお供が多すぎる件について。チルチルとミチルの旅に同行するメンバーをあげると、パン・火・イヌ・ネコ・水・牛乳・砂糖・光 という8名です。ここにチルチル・ミチルを加えると、旅の一行は総勢10名に。お供、多すぎ! 十人は妖女ベリリウンヌの家で着替えてから出発します。光とイヌとネコ以外はこの家に置いていけばよかったと思うのですが。兄妹が旅から帰ったあとで、チルチル・ミチルの家で合流すればよかったのでは。牛乳ちゃんに至っては、第十一場「お別れ」ではセリフが一つもないのですよ! 作者に存在を忘れられてしまったのでは。影が薄すぎる。食べ物の精たちは全員いらなかったと思います。

 

光とイヌとネコの活躍

では、光とイヌとネコはどんな活躍をするのか。光は妖女ベリリウンヌから引率者に任命されます。学校の先生みたいに、みんなを案内していくのです。チルチル・ミチルに、今いるのはどんな所か、何をしなくてはいけないかを教えてくれます。

イヌとネコの見せ場は第五場「森」でしょう。ネコは死にたくないので、なんとか二人の旅をやめさせようと、森の木々と動物たちをそそのかして、二人を殺そうとします。このあたりの自己中心的な策略はかなり猫っぽくて好きです。

この「森」でそそのかされた動物たちのなかにはオオカミもいました。オオカミがチルチルの後ろから跳びかかり、チルチルを引き倒しそうになって、戦いが始まります。チルチルはナイフを振り回し、イヌといっしょに必死でミチルを守りました。

この戦いを終わらせたのは光でした。光がやってくるとみんな恐がって逃げて行きます。チルチルは光に言われた通り、帽子のダイヤを回しました。すると、木々の精と動物たちは元の姿に戻りました。

森の住民たちをそそのかしたネコはこの戦いの間、ずっと隠れていたようです。戦いが終わった時に、足をひきずってケガしたフリをして、藪のなかから出てきます。イヌにはお見通しですが、ミチルはだまされました。

 

お供たちは旅が終わると死ぬ? ネタバレ注意!

ネコがチルチルとミチルの旅が邪魔するのは、この旅が終わったら自分たちは死んでしまうと妖女ベリリウンヌに言われているからです。この残酷な設定は、サンリオ映画版にはなかったのでは。記憶はあいまいですが。

後日訂正:サンリオ版を確認したところ、やはりこの設定はありませんでした。

ネコは懸命に旅の邪魔をします。しかし、第十一場「お別れ」では死ぬシーンは描かれません。光が「わたしたちはまた沈黙の中に帰って、もう子供たちと話すことはできなくなるのですよ」*1と言うだけです。

泣く泣くみんなと家の前で別れたチルチルとミチルが、クリスマスの朝にベッドで目を覚ますと、何もかもが元通り。食べ物は動いたりしゃべったりしなくなっています。そして、イヌもネコも元気です。死んでない! 妖女ベリリウンヌが言ったことはウソだったのでしょうか? 「死ぬ」というのは会話できなくなるという程度の意味だったのでしょうか。だとしたら、ずいぶんと大げさな言い方をしたものです。妖女ベリリウンヌが「みんな死ぬ」なんて言わなかったら、ネコは邪魔しなかったのに。まったく、人騒がせなおばあさんですね。

 

「母の愛の喜び」は登場したけど、「父の愛の喜び」は登場しなかった。

チルチルとミチルは旅の後半で「幸福の花園」に立ち寄ります。そこで、お母さんに顔や手や声がそっくりだけど、お母さんよりもずっとキレイな女性に出会います。その人は、お母さんの「母の愛の喜び」だというのです。

このシーンは初読だとうっかり感動してしまいますが、よく考えると「父の愛の喜び」だって登場するべきなのではないでしょうか。しかし、「父の愛の喜び」は登場しないのです。お父さんは子どもたちを愛していないのだろうか。そんなわけはないと思いますが、「幸福の花園」で姿形を持つほど強くはないのでしょう。父の愛はきっと、母の愛よりも控えめなんですね。それはそれで健全なのかもしれません。「幸福の花園」にいる幸福たちって、「これを幸福だと思え」と言っているような気がして、ちょっと押し付けがましい。私だったら素直に言う事を聞けないタイプの人たちです。幸福さんたちに、「幸福」は人の数だけあるんだってことを教えてあげたい。あんたらだけが人間の「幸福」じゃないんですよって。

 

実はSFなの!? 九遊星の王が登場する。

第十場「未来の王国」では、これから生まれる子どもたちが、自分の番が来るのを待っています。子どもたちは手ぶらで地上に降りることはできません。必ず何かを持っていかなかればならないのです。

チルチルとミチルは、子供たちが地上に持っていく、すばらしい発明品を次々に見せられます。そのなかで紹介されたのが、自称「九遊星の王」です。その男の子は、「太陽系の遊星の総同盟をつくるんだ」*2と言います。実にSFチックです。「青い鳥」にこんなセリフがあるとは知りませんでした。現役の木こりがいる時代に「九遊星の王」だと!? いや、待て。同じ時代に生まれるとは限らない。この子はきっと、かなり未来に生まれるんだ。そうに違いない!

 

おわりに。いっぺん読んでみ?

個人主義の私からするとちょっとつっこみたくなる部分もありましたが、やはり名作です。フェミニストの方が怒りそうな部分もありますが、巻末には「差別的表現ととられかねない個所もあるが、文学性・芸術性に鑑み、原文通りとした」旨が書かれています。さて、あなたならどこにつっこみを入れるでしょうか。

  

以上。つっこみどころを探しながら読むと楽しい名作『青い鳥』を解説しました。

 

蛇足:本記事で200記事を達成しました。まだまだ、がんばります!

 

サンリオ映画版について書いた記事はこちら(⇩)

mee6.hatenablog.jp

 

 

*1:新潮文庫版 P216  光のセリフ抜粋

*2:新潮文庫版 P192 九遊星の王のセリフ

絵本『ロスト・シング』に、わざとズレた解釈をしてみた【ショーン・タン】

目次

 

今回、ご紹介するのは、ショーン・タン作の絵本『ロスト・シング』。主人公の少年がある年の夏にみつけた「迷子」を、あるべき場所に送り届けるまでの物語。以下、リンクを兼ねた画像です。

 

 

この画像は小さいですが、現物はタテ約32.3cm×ヨコ約24.3cmの大型絵本。

 

あらすじ

 ある年の夏、ビンの王冠集めをしていた少年は、浜辺で奇妙な生き物をみつけた。少年はしばらくその生き物を観察していたが、誰もその生き物に気がついていないようだ。少年はその生き物に近づいて話しかけ、夕方近くまで一緒に遊んだ。

 しかし、誰もこの生き物を迎えに来ない。どうやら、この生き物は迷子らしい。少年は、この迷子をあるべき場所に送り届けてやることにした。

 

読んだ感想(ネタバレ注意)

 この絵本は『アライバル』よりも気軽に読めるので、たまに読みかえしています。赤いヤカンのようなものに入ったヤドカリみたいな「迷子」は、見慣れるととても愛らしい。人間の気を引くためなのか、赤いベルを持っています。

 主人公は友人のピートにこの迷子を見せて「飼い主」を探しているんだと相談しますが、ピートは「飼い主なんかいないのかもしれない」と答えます。それどころか、「最初から帰る場所なんかないのかもしれない」とさえ言います。世の中には「ただ居場所がない」ものがあるのだと言うのです。存在しているからには居場所があるというのは人間の思い込みなのかもしれません。人間の場合、居場所は探してみつけるものじゃなくて、自分で作るものなのかも。

 仕方なしに主人公は迷子を自分の家に連れ帰りました。そしてどうやってか、この大きな迷子を家の中に入れます。なぜか両親は最初、この迷子の存在に気づきません。しかし猫はこの迷子をガン見しています。猫はやはり勘が鋭い。

 両親はこの迷子を元の場所に捨ててこいと言いますが、少年はこの迷子を物置に泊めてあげて、エサをあげました。この迷子のエサはクリスマスツリーの電飾だったというのもおもしろいですが、私がびっくりしたのは迷子が入っている赤いヤカン(?)のフタの内側に、何かメーターのようなものがついている点です。この子、メーターの表示が読めるほど知能が高いのか? 実は知的なのでは?

 翌日、主人公が、この迷子をどうしようかと考えていると、ある新聞広告に目がとまりました。少年は、この広告に載っていた「国家 ハンパ・ガラクタ管理局」にこの迷子を預けることにして、迷子とともに街へ出発します。

 主人公と迷子が着いたところは、窓がない灰色のビル。主人公はここで書類に記入して、迷子を預けようとしましたが、そこに居合わせた用務員らしき人(?)に、「ここに置いていってはいけない」と言われます。そして、矢印が描かれた名刺のようなものを渡されました。どうやら、この矢印を探してたどって行けば、迷子をあるべき場所に帰せるようです。

 主人公と迷子が矢印をたどって着いたのは、「名もない路地の奥、ビルとビルの暗いすきま」*1にあるブザーの前でした。主人公がこのブザーを押すと大きな扉が開き、様々な姿をした「迷子」まみれの不思議な空間につながります。主人公はこうして、迷子をあるべき場所に送り届けることができました。

 主人公は「あそこにいただれにとっても、あそこは本当の家じゃなかったんだろう」*2と回想します。人間がおらず「迷子」たちだけがいる、「迷子」たちがいじめられない場所はある。でも、彼らが確固として属している場所はない、という意味でしょうか。彼らがあそこに帰っても、途方に暮れなくなるだけで、さみしさはなくならないのかもしれませんね。

 本当に「迷子」なのは、どちらなのでしょう。彼らが「迷子」ならば、私たち人間も実は「迷子」なのではないでしょうか。少なくとも私には、「自分は迷子じゃない」

と胸をはって言える自信はありません。

 

わざとずらした考察(ただの妄想)

 この作品を読み返してみて思ったんですけど、この奇妙な生き物を「どこか風変わりで、さびしげで、途方にくれたような様子をしている」*3迷子だと思うのは人間の勝手な判断なのであって、実はこの「迷子」ちゃんは人間の世界を研究している学者だったのかもしれない。彼らは人間にとってよくわかない存在なのですから、無知で非力だとは限りません。今回の「迷子」ちゃんは人間の世界にフィールドワークに来ていて、帰り道もわかっていたのかもしれない。途方に暮れてさみしそうに見えるのは彼らが人間の協力者を得るための策略で、みつけた人間を案内人として利用しているとも考えられます。途方に暮れてさみしそうに見えるものに反応するのは子供か優しい大人でしょう。とりあえずこういう雰囲気を出しておけば、友好的な人間が寄ってくることを学習したのではないでしょうか。

 こんな風に考えるとさらに想像が膨らみます。今回の「迷子」ちゃんは、むこうの世界で「私は今回、少年に発見された。あの子の友人は鋭い観察眼を持っていて、私に飼い主はいないことをすぐに見抜いた。一瞬、正体がバレたのかと思ってヒヤヒヤしたよ。子どもと猫は油断ならないね」なんて、友達の学者に話しているのかもしれません。こう考えると楽しい。

 まあ、実際には作者がご自分の「居場所のなさ」、さみしさを「迷子」に例えて表現した絵本なのでしょうが。

 

映像化作品へのリンク

作者が10年の月日を費やして、この作品を映像化しています。

以下、Youtubeへのリンクです。

 

kayıp şey / the lost thing - shaun tan - YouTube

 

以上。絵本『ロスト・シング』に、わざとズレた解釈をしてみた件をお送りしました。

 

*1:本書 本文より。本書にはページ数の表示がないので、どのページなのかは実物でお確かめを。

*2:本書 本文より

*3:本書 本文より