ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

【31】サーティワンの初売りでポケモン絵皿もらってきた!【アイスクリーム】

読者様も一見さんも、みなさま、明けましておめでとうございます!

新年初記事でございます。今回お送りするのは、サーティワンアイクスクリームの路面店の初売りに並んでギフトボックス買ってポケモンの絵皿をもらってきたの巻(長い)。ということでさっそく画像をアップ。

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今回買ったのはギフトボックス(スモール8個入り)です。サーティワンのボックス系商品にはこの他にバラエティパックというのがありまして。そっちは6個入りも選べて安価なうえに外箱がポケモン柄で豪華なのですが、いかんせん中身がカップケーキみたいな紙カップでして。ちょっと頼りなくて保存に向かないかと。そこで選んだのがこちらのギフトボックス(⬇︎)です。

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上から撮影しているのでわかりにくいですが、紙コップみたいなしっかりしたカップに入れられており、保存向きです。家にいる人が6人未満の場合はギフトボックスがオススメ。一度に食べきれず冷凍庫に保管する場合、ギフトボックスのほうがカップが固いので保存に適しています。バラエティパックのレギュラーサイズ×6と、ギフトボックスのスモールサイズ×8の差額は¥200ほど。そしてどちらも、もらえる絵皿の数は同じく2枚です。だったらこっちでいいんじゃないかと。今回買ったアイスは、

上列左から:チョコレート・ジャモカコーヒー・オレンジソルベ・レモンシャーベット

下列左から:りんごソルベ・バニバニバニラ!・抹茶・マスクメロン

以上8種です。甘いものが苦手な家族でも食べられるようにフルーツ系を多めに選択。さらに、私の好みがプレーン系なのでトッピングやソースが混ざっていないものを選びました。おかげで8種中6種がスタンダードフレーバーという無難なチョイスに。つまらないといえばつまらないですが、私が食べ物に求めているのは面白さじゃなくて美味さなのです。そんな私が選んだシーズンフレーバーのバニバニバニラ!の感想もついでにお送りします。

バニバニバニラ!の感想:バニラビーンズ入りで香りがするが少しクドイというか濃い。3種のバニラアイスがミックスされているせいか、ジェラートのような深みのある味。見た目は白っぽいのでミルク系に見えるが牛乳の味はしないので、ミルク・牛乳系のアイスが好きな人よりもバニラアイスが好きな人向けのフレーバー。バニバニバニラ!はバニラアイス好きにオススメ。バニラアイスにも種類があったのかと思わせてくれる一品。ちょっと見識が広がって楽しい。

それでは最後に絵皿を開封(⬇︎)

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今年のサーティワンポケモン絵皿は全4種。フェアは13日まで続けるようですが、絵皿は数量限定なうえに柄を選べるので、人気の柄から順になくなっていきます。早いもの勝ちなので欲しい人はお早目にお近くの店舗へ。私は郊外住みですが、近所の路面店に開店10分前に着いたらすでにオープン待ちの列が店外にできていました。私は福袋をスルーして店舗の中に入り、現金でギフトボックスを購入。絵皿は元から好きなミュウとネズミ年にちなんでデデンネを選択。このお皿は真っ平らではなく少し深みがあるので、お醤油などの液体を入れても使えそうです。直径は12.5cmほどなので取り皿によさそうですね。

以上。新年初アイスはサーティワンになった件をお送りしました。新年早々に楽しい買い物ができてよかったです。

追記:フェアの最終日にもう一度行ってもう1種ゲットした!

本日が絵皿配布フェアの最終日だったのでもう一度同じ店舗に行ってみました。あわよくば残り2種をゲットするつもりでしたが、残念ながらホウオウ柄は品切れ。そこでイーブイ柄だけもらってきました(⬇︎)

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今回注文したのは、バラエティパックのスモールサイズ×6。こんな内容になりました(⬇︎)

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上列左から:ロッキーロード・りんごソルベ・サーティワンラブ

下列左から:チョコレートミント・パチキャンMAX・レモンシャーベット

前回は無難なプレーン系に偏ってしまったので思い切ってトッピング系に挑戦。しかし気がつけばミント系多し。ロッキーロードはクドそうなので避けていましたが玄米フレークをトッピングする用にチョイス。あとのフルーツ系は家族へのお土産です。ポケモン柄のボックスは品切れしたようで、通常のピンク色のボックスに入れられていました。ただし、スプーンは通常色ではなく金色でした。これは地味に嬉しいので前回もらったピンク色のスプーンはこの機に処分してこちらを保存します。バラエティボックスは紙コップではなくケーキカップに入っていて頼りないので、ドライアイスをベランダに出した後でパン粉ケースに移し替えました(⬇︎)

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嵩張るけどしょうがない。だってウチの冷凍室には透明パックごと入れられるスペースはないし。そう思ってパン粉ケースに4個を移し、残り2個を食べてから箱を畳もうと手に取ってよく見たら裏面に注意書が(⬇︎)

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要するに卵ケースみたいになって3個1列で保存できるということ!? パン粉ケースに移す前に気づきたかった。まあ、今回は無事に収納できたからいいか。4個以内ならパン粉ケースで保存できるし。また機会があったらこっちを試してみよう。

実はイブって父の誕生日なんだけどラスボスを倒した喜びのが大きい。

今週のお題「クリスマス」

 

お題の趣旨からズレてる気がするけど言わせて。ついに、トータル260日間ほどかけてプレイしていた初代セブンスドラゴン裏ダンジョンでラスボスを倒した! 洗濯機をまわしている間に。

洗濯機を働かせながらエクセルでメモをとりつつ朝っぱらから最終決戦。ここまで長かった! 年内に裏ダンジョンをクリアできてよかった。長かったけどあっけなかった。初代セブンスドラゴンの裏ダンジョンはレベリング(レベル上げのことかな?)の効率が悪くてゲームバランスが悪いとどっかのスレで読んでいたので、どんなもんかと身構えていたけど最終的にラスボスとプレイヤーキャラのレベル差が20ぐらいあったにも関わらず費やしたのはわずか13ターンで意外とあっさり倒せた。正直中ボスのほうがよっぽど手こずった。相手は母なる竜ND+コノハナチルヒメコノハナサクヒメの3体セットで、ラスボスなのに作中では「モンスターの群が現れた」って言われてた。複数匹が同時に現れると自動的にこう表現されるのは知ってたけどまさかラスボスのドラゴン(しかも真竜)まで「モンスターの群」呼ばわりされるとは哀れな。最終決戦なのに思わず出だしから笑ってしまったではないか。さらに、8bitロナムの効果で重厚さが薄れた軽快なBGMのおかげで適度に緊張がほぐれたわ。お待たせND。お疲れさま私。今日はいい日だ。あとでプレイ日記を更新しよう。

ここで終わったらただの報告じゃないか。実は今日が父の誕生日だから、今では離れて暮らす父にLINEでお祝いのメッセージを送ってやらないといけないのにラスボスに勝った喜びですっかり忘れてたよ。また晩に連絡しよ。いや本当はクリスマスって、自分がプレゼントをもらう日➡︎父の誕生日という認識に変わって、ゲームソフトを買ってもらってた私はいつの間にか父に誕生日プレゼントを贈る側になっていて、プレゼントってもらうより贈るのが楽しいと思えるようになり、この認識の変化こそが成長というもので、クリスマスで一方的にプレゼントをもらう側から贈る側になったら大人だよね、クリスマスを誰かに何かしてもらう日➡︎誰かに何かしてあげる日って思えるようになったら本人が何歳でも大人だよねっていう心温まる話をしようとしてたんだよ。でもさあ、よく考えたらこんなことあたりまえじゃん? 別に心は温まらないじゃん。もう大人の人からすると。で、今は人に何かしてもらう、与えてもらうことで頭がいっぱいの人に、君もいい歳なんだから与える側になりなよって言うのは大きなお世話じゃん。だから説教臭い大人から無邪気な童心に帰ってゲームクリアの報告をしてみたわけで。いやあ今年のクリスマスは本当にめでたい。あまりにもめでたいので今夜はまた去年みたいに予約も入ってないのに無計画に仕入れられて売れ残ってるクリスマスケーキがないか近所のコンビニに確認しに行こう。以上。

勘で通販したL.A.ガールのリップが秋タイプには当たりでした!

今週のお題「2019年買ってよかったもの」

 

例によって今年も買い物履歴をアマゾンで確認したのですが、やっぱりほとんどが古本とマンガの新刊で、これにポツポツと混ざっているのはシャンプーとコスメでした 。お試しサイズのシャンプー(何回か使える奴)は物珍しさに買ったはいいものの友人にプレゼントしてしまい手元にありませんので、今回はコスメについて。

ということでご紹介するのはL.A.ガールのリップスティック(⬇︎)です。

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以前の記事(⬇︎)に使った画像を切り抜いてみたら現物より大きくなりました。

mee6.hatenablog.jp

こいつは公式サイト(⬇︎)の使用イメージを見ると赤茶なのですが、実際は赤紫色であるというクセモノです。

lagirljapan.com

 

以前の実験で黄色いリップを重ね塗りするのは失敗したのであきらめ、覚悟を決めて、リップ下地にヴァセリンのリップクリームを塗ったあと、おそるおそるリップブラシで薄めに唇へ塗ってみたところ、意外にも秋タイプの私にはすごく似合いました。元から代謝と体温が低くて唇の色が紫寄りの私。上唇と下唇の外側が薄紫色のせいかすんなりと馴染み、思ったよりも発色して暗めの赤に。ブランド名に反して大人っぽい印象のリップを思いかけずゲットしました。excelグレイズバームリップGB04ハニーネクターも持っているのですが、これに比べたら全然赤くないというか発色しない。手持ちの口紅の中ではこれが一番赤いと思っていたのに。このリップ、L.A.ガールのGLC551を試した後は全然赤く見えなくなった。リップ選びのポイントは、ベースカラーとか季節別タイプとかいう以前に、唇の色との相性なのではないかと。あとは唇の面積というか、大きさ? 大人っぽい色のリップは小さい唇に塗り、ガーリーな色のリップは大きな唇に塗るのが私の理想なので、今回の色は小さい唇にピッタリの色でした。ついでに言うとこのリップ、紫色の服とムチャクチャ合います。以前デコった服(⬇︎)を着て

mee6.hatenablog.jp

このリップを塗って久しぶりに祖母に会ったところ「キレイになったわね」と言われました。私は三十路を過ぎてから私生活でのメイクを始めたので、祖母は先日初めて私の化粧した顔を見たのです。だからこそのセリフであって私が特別に化粧が上手いわけではないと思いますが、服とリップの色を合わせるのは大事というか効果的だと知りました。本当は赤茶のリップが欲しかったんだけどちふれがあるからいいや。ありがとう赤紫リップ。ありがとうL.A.ガール。サンキューマートで売ってるブランドらしいから薬事法的には大丈夫だろうと現物を見ずに勘でアマゾンしてよかった。

 

以上。2019年に買ってよかったもの、L.A.ガールのリップ、GLC551の紹介をお送りしました。ちがう色も買ってみようかな。

 

追記:実はこのクリームリップスティックのシリーズは香りつきです。ラズベリーみたいな、ベリー系の香りがします。苦手な人は苦手だと思いますが、個人的には気に入っています。このGLC551は色と香りのイメージが一致しているのがよかった。他の色だと香りと色が一致しなくて違和感があったかもしれません。

 

※本記事は、2019年12月19日に追記しました。

【カルビー】カレー味のグラノーラをみつけたのでアレンジして食べてみた。塩バターフランスパンに合う。

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今回もタイトルそのまんまの内容です。ブラックフライデーのセールに釣られて近所のイオンに行ったら食品売り場の片隅に朝食コーナーをみつけまして。珍しいなと思って足を止めたらカレー味のグラノーラ、その名も「カレーグラ」なる新商品を発見したので買って食べてみました。開封するとカレーの香りがして食欲をそそります。内容量は150gで、50gで1食として3食分入っているのですが、朝食ではなく昼食に食べるうえに2人でシェアしたら量が少ないかもしれない。75gで満腹になるにはかさ上げするしかないだろうと。そこでフランスパンを買ってきてカレーグラをトッピングすることを思いつき、近所のドラッグストアでヤマザキの塩バターフランスなるパンを買い、パテのかわりにバターを塗ってカレーグラとバジルとパセリの粉末をトッピングしたのが上の画像です。バターの粘りけがカレーグラを固定してくれるのではないかと期待するも、粘りけが足らなかったらしくポロポロこぼしながら食べることに(汗) ほんのり甘い、スナック菓子のようなカレー味がパンの塩辛さとマッチして美味。噛むと少し香ばしいので、フランスパンで正解でした。フランスパンの香りとウェッジウッドの皿のおかげで、カフェでオープンサンドを食べている気分に。やはり食パンよりもフランスパンがカレーグラには合う。それも、塩辛いフランスパンが相性いい。あと、少しいい食器に盛り付けると最高です。

さらに余ったカレーグラをお湯で戻してスープにしてみました(⬇︎)

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数年前にケンタッキーでもらったムーミンのスープカップに入れてみました。器に水を入れて電子レンジで加熱してお湯をつくってその中にカレーグラを投入。お湯でふやかすと柔らかくなって食べやすいし、コーティングのカレーが溶けてカレースープになっておいしい。このままだと見た目がのっぺりしているので、こちらにも彩りにバジルとパセリの粉末が欲しかったところですが、そうなるとオープンサンドと印象がカブるのであえてこのまま食べました。カレースープにフランスパンをひたして食べてもおいしい。たくさん食べる場合は鍋でお湯を沸かしてスープ皿に盛り、カレーグラを投入したら冷めないうちにすばやくいただきましょう。カレー味のものが冷めると悲しいですもんね。

ちなみにこの商品、キャッチコピーは「そのまま食べる! グラノーラ」です。そのくせ公式サイト(⬇︎) 

www.calbee.co.jp

にはアレンジメニューが載っているという不思議さ。とりあえずそのまま食べてみて、飽きたら途中からアレンジするというのも手かと。単品で食べていると食事しているというよりカレー味のスナック菓子を食べている気分になってきて少し背徳的。カレー味のスナックがお好きな方と、甘いフルグラに飽きてきた方にオススメ。

 

以上。11月18日発売の『カレーグラ』を食べてみた件をお送りしました。

 

※このリンクは10袋パックへのリンクです。

アマゾンでもう出回っているなんて仕事が早いですね!

でもいきなり10袋もいらないよね。なんで5袋じゃないの?

とりあえず、通販は店頭で1個買って味を試してからですね。

 

私が「サンドイッチを作るときはまずパンにペーストを塗る」ことを覚えたのは『本日のバーガー』5巻(⬇︎)に収録されている「運命のプレゼン」を読んだおかげです。 

 

【ネタバレ注意】映画『JOKER』を観てジョーカーのにわかファンになったのでバットマンの翻訳版コミック買ってみた。

今週のお題「好きな漫画」

 

目次

 

今回の記事はタイトルそのまんまの内容をお送りしよう。今年の映画『JOKER』を観てジョーカー氏のにわかファンになった。ジョーカーは2008年の映画『ダークナイト』に登場していた時から気になっていて、当時はウィキペディアなんかで基本情報を調べたりしていたが。今年になってpixivなどでファンアートを見たり、あまつさえ翻訳版コミックを買うことになるとは思いもしなかった。ざっと調べたところ、ジョーカーは一話で消える予定のキャラクターだったが作者の気が変わって作中で生き延び、バットマンシリーズ最大の宿敵になったのだとか。もうこの時点でジョーカーに現実が侵食されているような気がする。ジョーカーが作者の夢に出てきて「おれ様を死なせるだあ? バカ言ってんじゃねえよ。おれがこの程度で死ぬわけねえだろうが。おれとバッツは永遠に遊ぶんだ! わかったらさっさと結末を書き換えな!」なんて言ったのではないかと。ありえそうな気がしないだろうか? バットマンシリーズは2019年現在で80周年らしいが。80年も続くコンテンツってすごいんじゃないか? やはりジョーカーの呪いか。それにしてもアメコミはすごい。公式の版元からまるで2次創作みたいな説定と展開の作品がバンバン出版されている。天国のようだ。

ここからは私が買って読んだものの画像と感想をお送りしよう。

 

 『エンドゲーム』

 

ジョーカーによるゴッサムの破壊が描かれる一作。ジョーカーが自らバットマンとの別れを切り出すとは意外すぎる。喪服のような黒スーツを着たジョーカー。服装からして本気なのがわかる。カラースーツでも仮装でもないジョーカーは珍しく怖い。このコミックはとりあえず分厚い。分厚さに比例して長い物語なのでまだ自分の中で感想がまとまっていないが、アーカムの5人の患者がそれぞれ、自分がジョーカーから聞かされた「ジョーカーの正体」を精神科医に話すところは面白かった。そして精神科医が「ジョーカーの真実」を話して、ある意味では決着。先生が書いた本は無事に出版されるのか。

 

バットマン:ヨーロッパ』

アメコミについて少し調べると、正史(メインストーリー)の他に、ミニシリーズと呼ばれるパラレルワールドを舞台にした短編があることがわかったので、あらすじを読みながら好みのものを探したところ『バットマン:ヨーロッパ』を発見。バットマンがジョーカーと共闘する!? しかも舞台はゴッサムだけじゃない!? これは好みの予感! ということで迷わず購入。かくして私の人生初アメコミは『バットマン:ヨーロッパ』に。『バットマン:ヨーロッパ』を読んでよかったことは、ファンアートでよくある「Bad joke」「Bat joke?」の元ネタが知れたこと。海外でのカップリングタグ「Batjoke」もこれが元ネタなのか?

 

『喪われた絆』

表紙が怖すぎて買うのを躊躇していたが『エンドゲーム』以前の事件も知りたくなったので、時系列的に中間の『真夜中の事件簿』をスルーして購入。ジョーカーがアーカムで大活躍するので買って損なし。勇気を出してよかった。「聖王のタペストリ」を現実で見てしまったら夢に出てきそうだが。悪夢を見そうな一件だった。

 

『ロング・ハロウィーン

個別記事を書くほどお気に入りの一作。魅力的すぎてうまく感想がまとめられないので、以下のリンク(⬇︎)から個別記事を参照のこと。

 

 

バットマンホワイトナイト

映画のパンフレットで紹介されていたので購入。シュッとした線で描かれているキャラデザ(特にトゥーフェイス)が私好みだったうえに内容が面白かった。ジョーカーが正気に返るというよりも、過剰投薬で人格が善悪に分裂して、善の人格がバットマンを追い詰めながら警察などの不正を暴きまくって街を浄化していく物語。この設定だけ聞いていると2次創作くさいが、高品質な絵と素敵な物語がついているので不満はない。公式が供給してくれるのならそれに越したことはないのだから。『ロング・ハロウィーン』よりも多くのヴィランが集まった会合の集合絵だとか。しかし、お互いに憎み合っていたはずなのに、用意された飲み物を無警戒に飲む『ホワイトナイト』のヴィランたちは実は仲がいいのでは。どうやって連絡をとったのか。よく考えれば連絡先を知っている時点でかなり仲良しではないか? そう考えると微笑ましい。『ホワイトナイト』はジョーカー(悪)とジャック(善)人格の入れ替わりを髪の色・髪型・瞳の色・肌の色で表現しており、同じ身体を使っていながらも非常に見分けやすくなっている。ホワイトナイト』のジョーカーはなぜかオッドアイ フェチシズムが刺激される! フルカラー万歳! 個人的にはジャックの目がオッドアイになっている、人格切り替わり中の状態が一番好き。本作の続編が無事に翻訳されたのでアマゾンで購入。

 

『ロング・ハロウィーン』の続編『ダークビクトリー』

あの世界線のデント氏がどうなったのか知りたかったのと、もっとティム・セイルさんの絵が観たいと思って購入。ジョーカーがたいして活躍しないのは残念だが、やっとペンギンにもセリフが与えられたしミスターフリーズが登場する。例の、トゥーフェイスがアイビーにキスされたがギルダへの愛が強すぎてフェロモンが効かなかったシーンも見られる。短編「バットマン:マッドネス」も読めたのでよかった。それにしても今作と前作のスケアクロウとマッドハッターは狂気が濃い。スケアクロウはほぼマザーグースの引用しかしゃべらないし、マッドハッターは「アリス」の引用でしか話さない。この印象で『ホワイトナイト』を読むと「マッドハッターが引用以外のことを話してる! かなり正気!」と思ってギャップを感じる。

 

バットマン:ウエディング』 

あらすじからは想像できないほど複雑な物語。まさかのタイムトラベルもので、私は初めて見る「ブースター・ゴールド」なんてキャラが出てくる。しかも一度はブルースの両親が生きている世界線が発生し、両親がいる幸せを享受していたブルースは自害する。2人の結婚以前の話が長い。しかも今作はバッドエンド。バットマンが勝たないとは珍しい。ジョーカーが結婚を阻止するべく教会でキャットウーマンを撃ち殺そうとするのは予想通りだが。それにしても今作のジョーカーは妙にフレンドリー。ゴッサムヴィランたちをファーストネームで呼んでいる。ちょっとかわいい。その前のバットマンとの会話のセリフまわしはさすが。今さっき自分で言ったことを忘れているのか、それとも自分がしたことを片っ端から忘れていくのか、ただ単にジョークを飛ばしまくっているだけなのか。判然としないのがいかにもジョーカーらしい。もしかしたら本人にもそのへんのことはわかってないのかもしれない。とりあえず、あの日に教会にいた市民の方々のご冥福をお祈りしよう。いくらゴッサムとはいえ名もなき一般人の結婚式があのジョーカーに襲撃されるとは誰も想像するまい。ゴッサム×結婚式×ジョーカー=虐殺であることがわかる一作。ゴッサムでは結婚式というかイベント全般が無理だと思う。ジョーカーがシャバにいる限りは。

 

バットマン:イヤーワン/イヤーツー』

バットマンの始まりも読んでおくべきだろうと思ってついに購入。巨大なコウモリに化けるという案を思いつくまでのブルースは街で一悶着起こす。いい歳した大人が正義感だけで動こうとするからだ。ブルースという人はバットマンになってようやくゴッサムになじんだのかもしれないが、2年目に出会った敵のリーパーが強すぎた。リーパーはこのミニシリーズだけで退場するにはもったいないほど魅力的なキャラ。信念というか美学があってしかも強い。リーパーには続投してほしかったところだが、続投したらしたでジョーカーに「ゴッサムに義賊は一人でいい」と言われて襲われそうである。ジョーカーvsリーパーという対戦も見てみたかったが、この時期だとジョーカーもまだ弱いか。今作で他に印象的だったのは、おなじみのヴィランたちが登場せず、ブルースの両親を殺した男ジョー・チルとの因縁にフォーカスしていること。ジョー・チルはNEW52の世界では生きていた。ジョー・チルは作品によって生き死にが異なっているようだ。本作のように死んでくれたほうが、ブルースとしては心安らかになれていいのではないか。本作のバットマンは少しだけ鈍い。偽リーパーの素顔を見て「ジョー・チルに似ている」と思わないとは。知らない顔だが、どことなく奴に似ている、ぐらいのことは言ってほしかった。この点は残念だが、息子が「ジョーイ・チル」と名乗ったことで偽リーパーの正体を察したらしい。両親を殺した本人は憎んでいても、その息子や孫のことは温かい目で見守ることができる。これこそバットマンだろう。

 

『ジョーカー:ラスト・ラフ』

脳に腫瘍がみつかり自分の死が近いことを悟ったジョーカーは世界を道連れにすることにした、というあらすじでジョーカー主体の内容らしいので読んでみたかったが、表紙のイラストから受ける印象に反してバットマンが活躍しないとのことだったのでスルーしていた作品。実際に読んでみるとジョーカーの収監先がアーカムじゃないわ、最後の戦いの相手はバットマンじゃないわで調子が狂う。本作を読むとゴッサムヴィランズはしょせん常人なのだと思い知らされる。ジョーカー以外のゴッサムヴィランズでセリフがあるのはスカーフェイスとキラークロックとミスターザーズだけだった。ゴッサムヴィランズはあくまでも病んでる常人なのであって超人ではない。スラブサイド刑務所を異次元に飛ばした割には尻すぼみな印象がある本作だが、ジョーカーがゴッサムヴィランズどころではない悪党を手下にして、ゴッサムだけでなく世界中に損害を与えまくる様は見ていて気分がいいので問題なし。たまには竜頭蛇尾の作品があってもいい。それにしてもバットマンはジョーカーの性格を熟知しているな。この人道主義者め!

 

『ダーク・プリンス・チャーミング』

 

DNA解析の結果アルフレッドが言った「不本意な結果」とは何を意味しているのか。アリーナのDNAは誰から継いだものなのか。真の答えを知るのはブルースとアルフレッドだけだが、ジョーカーがアリーナを自分の娘だと思っている限り、また生きて二人の前に現れるだろう。最終的にアリーナはブルースに保護されるが、さて。平和な思春期を過ごせるだろうか。ジョーカーが生きている限り、アリーナに恋人ができても片っ端から撃ち殺されそうな気がするのだが。そしていつか誰も寄り付かなくなり、アリーナはジョーカーの娘だという噂が流れ、友達も離れていき、学校で孤立したアリーナはジョーカーとの対決を余儀なくされるという展開の続編が読みたい。本作の10年後ぐらいの設定で。蛇足だと思われるかもしれないが。私は子供キャラを見ると大人の姿が見たくなるのだ。せめて18歳のアリーナが見たい。さらに欲を言えばゴッサム市警の制服を着たアリーナがジョーカーに手錠をかけてパトカーに乗せ、警察署に着くまでパトカーの中で「ジョーカー、私を覚えてる?」なんて会話するシーンが見たい。でもまあこれは私の勝手な願望なので置いておこう。何気なく初養子がディック➡︎アリーナという大改変が起きている気がするがまあいいか。正式な養子縁組はしておらず、ただ単に保護しているだけなのかもしれない。とりあえず、アリーナ、どうかお幸せに。

 

アーカムアサイラム』増補改訂版

見ての通りカバーイラストが怖いうえに読みにくい画風なので「バットマン」を初めて読む人にはおすすめしない。

ジョーカーのファンからすると本作で一番注目するべきなのは精神科医ルース・アダムスの

「私達と違ってジョーカーは、外界から受け取る知覚情報を制御していないみたいなのよ」(P41、6コマ目)

というセリフだろう。このセリフは次のページに続いているのだが、ここだけ読むとジョーカーはただのAIというか、周囲に対して自動的に応答しているだけで人格を創ってさえいないのではないかと思う。自分の姿が変わってしまったことを知った瞬間、もう二度とまともな人間として見られないことを悟り、それならば人間のように思考することをやめようと決意し、他人がみなす通りの道化師的な言動をしている。つまり常に計算され尽くした行動をしているとも考えられるのだ。それが「超正常な人間」という表現が意味するところではないだろうか。本作のジョーカーは、表情が変わらず仮面のようで現実味がない顔と、少し曲がった緑色の付け爪や関節のシワがある指が描かれた右手のリアルさのギャップが面白い。ジョーカーに限らず、本作では患者であるヴィランたちの方がはっきりと描かれ、黒々としたスーツのバットマンは暗い背景に半ば同化している。私にはバットマンがこのままアーカムの一部になるのが自然に思え、バットマンアーカムの外に戻るべき存在であることが信じられなくなった。これはジョーカーも思っていたことらしく、去りゆくバットマン

「辛くなった時にゃあ思い出せよ…お前の場所はいつでも用意してあるからよ」(P114、9コマ目)

と言う。うっかりするとジョーカーに同意してしまいそうになる危険な一作。 

 

『ハーリーン』

本作で描かれているのは、精神科医のドクター・クインゼルがハンサムで危険でどこか弱々しく見える魅力的な男、ジョーカーに溺れていく過程である。「まとも」ではないのに自己嫌悪に陥らず生きることは簡単ではないだろう。しかしゴッサムヴィラン達は易々とそれを実行している、自己肯定感の塊のような人物ばかりだ。この中から自分の理論に一致した患者をみつけることはできそうにない。そう思っていたドクター・クインゼルがジョーカーに会った時、ドクター・クインゼルは、この男は私の理論に合致する患者だと思った。「私なら彼を救える」と考えたドクター・クインゼルの使命感はいつしか恋心に変化していく。そして彼を守るために人を撃ち殺し、トゥーフェイスになったハービー・デントと同様に社会的な立場を完全に失う。かくして彼女の居場所は彼のそばだけになる。いつも満月が浮かぶ夜空を見て、ハーレイは、ここは夢の中だと思う。その「満月」はバットシグナルで、今見ている夜空は現実の景色であることからはあえて目を背ける。彼女が「夢」から覚めるのはいつになるだろうか。時に言葉で相手をからめとる狡猾な男ジョーカーと、「仕事」と「愛」の間で揺れ動き、「愛」を取ってしまった女ハーリーンの顛末が読める美麗な名作。ハンサムなジョーカーと美しいハーレイが見たい人にオススメの一作である。

  

『キラースマイル』

本作を読むと、ジョーカーと通常の人間における「現実」の捉え方のちがいを知ることになる。常人にとって「現実」とは、自分の外側にあるもの、迷宮の出口である。常人は狂気・幻覚という迷路から脱出して正気・現実というゴールに着くことを目指す。だから、常人はあるべき現実にたどり着くまでさまようことになる。これに対してジョーカーは、いつ・どこが現実なのかなど気に留めていないように見える。捕まれば脱走する。他のヴィランをみつければからかい、バットマンをみつければ挑発し、市民をみつけたら退屈しのぎに殺す。いつ・どの世界線だろうがジョーカーのすることは大して変わらない。もしかしたらジョーカーにとって「現実」とは自分で選ぶものなのかもしれない。そう決めてしまえば何が現実なのかと思い悩むことはなくなり、本作のようなぶれない人物になれるのだろう。どうやらこの世界線ではジョーカーが先に「ミスター・スマイル」という名で誕生しており、長じたブルースが後からバットマンになったようだ。ジョーカーとバットマンの発生順が逆転した世界らしいが、それでもあの二人がすることは、他の世界と変わらない。結局のところ決着がつくまで戦うのである。夢と現実を、正気と狂気を行き来しながら。「キラー・スマイル」の主人公、精神科医ベン・アーネルがどうなったのかは 、あなたの目で確かめてほしい。

 

バットマン:カース・オブ・ホワイトナイト

待望の『ホワイトナイト』の続編だがジョーカーとアズラエル以外のヴィランのファンにはおすすめしない。なぜなら前作で活躍(?)したおなじみのヴィランたちは本作でアズラエルの手にかかり、アーカムの狭い独房であっさりと殺されるからだ。アズラエルは近接戦闘も強いのでヴィランたちがフル装備で共闘しても各個撃破されていたかもしれないがここまであっけない最期にはならなかっただろう。あえて背中から刺されて己の胸から生える剣先をみつめているトゥーフェイスの死に様は気高くてすばらしいが。ついでに言うと前作で登場した「ネオ・ジョーカー」ことマリアン・ドリューズは完全に蚊帳の外で一コマたりとも登場しない。名前しか出てこないという不遇さである。おまけに本作はまさかの続き物。映画でよくある、ヒットしたからいっそ3部作にしようというやつだ。いっそ1作目で終わっていたほうが作品としては名作だったような気がするがこれは商業作品なのでいたしかたない。もとからゴッサムの謎とウェイン家の秘密に焦点を当てていた作品なのでそこまでズレた展開でもないことだし、ここまで来たからにはもうこの世界線を見守るしかない。ひとつ残念なのはヴィランたちが一掃されたことで、ジョーカーの子供たちを救う可能性のある人間が減ってしまったこと。ジョーカーに恩を売るためにジョーカーの子供たちを救うヴィラン、という展開は見られなくなってしまった。この点はかなり残念だ。さて。ジョーカーが言う「最後の大舞台で使う小道具」とは何か。これが判明するまで、彼は生きていることだろう。たとえ頭を撃たれても。

 

『スリー・ジョーカーズ』

P143最後のコマは、楽しむ悪魔/苦しむ人間を、あるいは笑う道化師/泣く男というジョーカーの二面性をひとつの顔と一言のセリフで表している秀逸な1コマなので必見。どのジョーカーが生き残るのか予想しながら読むという残酷な関心から始まり、バットマンの思慮深さと優しさで締められる一作。この世界線では、1人目のジョーカーが、ジョーカーを3人にまで増やしていた。人まねを嫌うであろう彼は、皮肉にもバットマンに似たことをしている。いや、もしかしたらバットマンの行動から着想を得たのかもしれない。それが「より良いジョーカーをつくる」という発想につながったのだろう。最終的にジョーカーは読者の予想どおり、1人だけになる。自分が1人目なのか2人目なのかは明かさないが。この世界線バットマンはジョーカーの本名を知っているという。しかし公表はしない。とある母子を守るために。今さら彼の家族が生きていることがわかったところでジョーカーが元の人間に戻ることはない。それに、今の彼はそれなりに安定している。下手に人間的な幸福なぞ与えようものなら次に何をするか読めなくなる。仮にあの母子に悪意を向けなかったとしても自分が捨てられたことを知って苦しむだけかもしれない。両者のためにも伏せておこう。この優しさは安定のバットマン思考である。そう、結局のところいつもどおりなのだ。バットマンが優しくて、おまえのほうがオレよりもおかしいのだというジョーカーの指摘に同意しないのも。ジョーカーが己の二面性から逃れられないのも。

 

以上。最近はバットマンシリーズを読んでいる件をお送りしました。

ハロウィンなので『バットマン:ロング・ハロウィーン』の話を。絵もお話も素敵な一作!

(⬆︎)これは2冊セットのリンク。ただしアマゾンでは売り切れ中です。

 

本日は10月31日! ハロウィンですね! 日本では渋谷のコスプレが有名ですが、今回はアメコミ作品の翻訳版『バットマン:ロング・ハロウィーン』の話をします。実は映画『JOKER』を観てからこっちバットマンのジョーカーにハマってるんですよ。そこからボチボチと、メインの悪役がジョーカーさんのものを選んで翻訳版コミックを読んだり、長編アニメを観たりしています。だからバットマンシリーズのファンとしてはすげーニワカなんですけども。この時期に読んだからにはこの話をするしかないだろうと。それじゃあ解説と感想いってみよう!

 

目次

 

あらすじ

ゴッサムの新任地方検事ハービー・デントは、この街から悪と不正を一掃すると決意した。ゴードン警部とバットマンの力を借りれば、これは可能だとデントは信じていた。しかし、そんなデントに異変が起きる。

ゴッサムを牛耳るマフィア、ファルコーネ一家のボス、カーマイン・ファルコーネと利害関係にある人間を次々に殺していく連続殺人鬼「ホリデイ」が現れた。デントはこの事件を追ううちに、妻と家、さらには己の顔にも被害を受ける。デントはすぐに法廷から病院へ運ばれたが、顔の治療を拒み、医師を刺して逃亡した。焼けただれた顔を抱えたままで。

これは殺人鬼「ホリデイ」の正体を追う物語であると同時に、スーパーヴィラントゥーフェイス」誕生の物語。

 

主な登場人物

バットマンゴッサムで活躍するダーク・ヒーロー。コウモリを模した黒いコスチュームに身を包んで戦う男。悪人は捕らえるが殺さないのがポリシー。その正体は、青年実業家ブルース・ウェイン。有り余る資産を元にバットマンの装備や乗り物を整え、法の外で自警活動をしている。

ハービー・デント:ゴッサムの新任地方検事。ゴッサムでギルダという女性と結婚し、法の正義を信じて殺人鬼ホリデイの事件を追っていたが、悲劇に見舞われて私刑人と化す。

ジェームズ・ゴードン警部:妻子持ちでゴッサムに居を構えている警部。バットマンが信頼している数少ない友人で、バットマンからはジムと呼ばれている。

ホリデイ:正体不明の連続殺人鬼。カーマイン・ファルコーネと利害関係にある人物を1年に渡って殺し続けた。祝日にだけ人を殺し、犯行現場に銃とその祝日にちなんだ物を置いていく手口から、ホリデイと呼ばれるようになる。

トゥーフェイス:顔の左半分が焼けただれている悪党。無事な右半分の顔はハービー・デントのものだが、本人いわく「ハービーは死んだ」らしい。片面に傷をつけたコインを持ち歩いており、コイントスで次の行動を決める。

 

感想(ネタバレ注意)

本作は、バットマンワールドにおける有名悪役トゥーフェイスの誕生秘話であり、作中の法廷で起こる事件は正史(New52!シリーズ)にも採用されている重要な事件だということで、ジョーカーさんメインではないにも関わらず読んでみることに。ピクシブでオススメしている人もいたことだしハズレではないだろうと読み始めたら、個人的にすごくアタリの作品でした。もちろんストーリーも面白かったのですが、最初に感動したのはストーリーよりもイラスト。本作はライター(脚本担当)さんとアーティスト(イラスト担当)さんが別人です。つまり分業制で制作されているわけですが(これはアメコミでは通常の手法らしい)、本作のアーティスト、ティム・セイルさんの絵がすばらしい! まず全コマがカラーだし、画風は漫画というより絵本の挿絵のようで、イラストの連続という印象を受けました。話の筋がわかればいいという気持ちで描かれた白黒のコマを見慣れた人間からすると、この絵を観るだけで驚きでした。日本の漫画とは全然違う。大げさに言うと芸術性が高い。バットマンの世界を全然知らなくても目の保養になります。ホリデイが人を撃ち殺すシーンはモノクロで、死体のそばに、銃と一緒に置かれた物だけがカラーになっています。配色自体で魅せるというのはカラー漫画ならではの手法かと。

この他に本作のイラストでお気に入りの点は、キャラクター(特に悪役)の服装がオシャレなこと! フィクションの悪役は「そんな服どこで売ってるの?」と思うものを着ていることが多いのですが、バットマンワールドの悪役は色が変でも形は普通の服を着ている人もいます。ジョーカー・リドラートゥーフェイスはこのタイプですね。並々ならぬこだわりが詰まった特注品を着ているのだと思うと素敵。ジョーカーさんの衣装は衣装屋を襲撃して奪ってストックしてあるんだろうと想像しているのですが、トゥーフェイスの場合は左半身と右半身で色が違うという凝りすぎなスーツを着ています。さすがにこれは既存の衣装を盗んだだけでは説明がつかないので、行方不明だった1ヶ月の間に注文しておいたんだろうなあ。しかもカフスボタンが陰陽柄ときた! ジョーカーさんは「J」の刻印が入ったカフスボタンを愛用していますが、これに匹敵するこだわりですね。まあ、ジョーカーさんの場合は愛用のデカイ拳銃にまで「J」の刻印を入れているので、持ち物へのこだわりはトゥーフェイスの上をいってるみたいですが。美しく細い指にピッタリ合う手袋は特注品ですかね。

イラストで感動した点は、各話の扉絵! 全13話の本作は祝日ごとに事件が起こるので、各話の扉絵は祝日のモチーフと、各話で活躍する悪役を絡めたイラストになっています。私のお気に入りは大晦日の絵。バットマンとジョーカーが乾杯していますが、描かれているのはグラスを持つ手もとのみ! 真っ黒の背景に、グラスを握った2人の手が描かれています。グローブをはめたバットマンの右手と手袋をはめたジョーカーの左手とグラスに映る2人の顔。何だこのハイセンスなイラストは。美しい。美しすぎる。ティム・セイルさん、ありがとう。面識はないけど心からの感謝を。

各話の扉絵は画像検索してもらうとして。ここまでイラストの話をしてきたので次はストーリーの話をしようと思います。バットマン初心者からすると本作はトゥーフェイス誕生譚ですが、古株のファンからはミステリーとしても高く評価されているとか。犯人が作中で明示されず、殺人鬼ホリデイの正体は読者の推理に任されているので推理ものとしてはモヤモヤしますが、このおかげで飽きられることなく長く読まれているのかもしれません。まあ、ホリデイはトゥーフェイスの言う通り2人だけなのか、合計3人なのかすらハッキリしないのはさすがにひっかかりましたが。さらに言うと、1巻であがったホリデイの候補者が2巻で次々に殺されていき、ノーマークだった人物が証拠品を処分しているラストシーンになるのも反則といえば反則のような気がします。でもいいんだ。だって私はあくまでもトゥーフェイスの誕生譚として読んでいるからな! 一連の殺しは法廷シーンへの前フリだと思えば腹も立たないさ! 

ここからは各キャラクター(悪役)の話! カーマイン・ファルコーネのライバル、サルバトーレ・マローニが証言台に立ってデント検事に対面した時、スパイから受け取った薬剤(即効性制酸剤)をデント検事の顔にかけて取り抑えられます。この薬剤はコンクリをも溶かすとのことですが、こんなものを浴びたのに被害は皮膚だけで済んだなんて奇跡というか、デント氏の生命力が強すぎるというか。左目に入っていたとしたら失明していそうなものですが、瞳の色が変わっただけで見えてはいるらしい。こっちはマジで奇跡ですね。さすがに歯は助からなかったようで左半分が変色していますが、話せているということは表情筋はなんとか無事なのか。しかし、顔が左右非対称になったからって開き直って左右非対称のスーツを着るとは。デント氏は生命力も常人以上ですが、精神力も異常というかファッションに(文字通り)命をかけてるな。このファッション狂っぷりを見ているとデント氏には元から悪役の才能があったんだと思います。ここは顔の傷を治して「悪には屈しないぞ」って言うところだろ、というのはしょせん凡人の発想なんだと思い知らされました。っていうか、そんなマトモなことをされたらトゥーフェイスが誕生しなくてファンが泣くよね。ということで悪役ファンの私としてはこれからも、デント氏にはファッションに命をかけていてほしいところです。バットマンは、ファルコーネの屋敷でハービーに再会した驚きで「ハービー…」とつぶやいていますが、内心では「そのスーツどうした!?」と思ってたんじゃないかと。まさかおまえそのスーツ待ちで1ヶ月も潜伏してたんかと。その驚きゆえにバットマンは言葉に詰まったのではないかと。フルオーダーのスーツだとしたら納入までに1ヶ月ぐらいかかるんじゃないですかね。知りませんけど。

本作のジョーカーさんは眉が太く、口が大きく、口紅が黒いという独特のビジュアルをしています。細長い指と、袖口からのぞく細い手首が実にセクシーです。それにしても、わざわざ脱獄して一般家庭で盗みを働いたうえに住人を殺さないとは珍しいこともあるものですね。どういう心境なんだか。余程ヒマだったのか。まあ、クリスマスを監獄で過ごすのは誰だってイヤだから脱獄したこと自体には納得ですが。しかし単独でアーカムから逃げるとは。ジョーカーさんがすごいのか、アーカムの警備がザルすぎるのか、どっちだ。そして続く大晦日の一件。殺人鬼ホリデイを仕留めるべくゴッサムスクエアへ飛ばしている小型飛行機の操縦席で「ちょい待ち 時計が12時になったら…」と言ったから、てっきり「時計塔が爆発するんだぜ」と続くかと思いきや「アタイにキスして頂戴な?」ときたもんだ。これは殴られて当然だね! これは完全にジョーカーさんが悪いわ。私がバットマンでも殴る…いや、むしろハグして意表を突くかな。「キスはできないがハグならできるぞ。一緒にここから降りよう」って言って、一緒に飛行機から飛び降りたい(完全に妄想)

トゥーフェイスとジョーカーさんの他に活躍するキャラクターは、主にポイズン・アイビーです。本作のアイビーはジョーカーさんと同様にかなり印象的なビジュアルになっています。アイビーは赤い髪で描かれることが多いキャラクターですが(肌の色が緑色かどうかは作品による)今作のアイビーはそもそも髪が人毛ではなく植物で、人外度が爆上がりしています。これで彼女がフリーク(化物)扱いされることに納得がいきました。こうすれば操る植物をどこからどうやって生やしているのか問題は一瞬で解決するし、絵的に美しい。すばらしき解決方法ですね! 植物を操るアイビーの他には、幻覚ガスで恐怖を撒き散らすカカシの格好をした男「スケアクロウ」と機械工学を駆使して人の精神を操る帽子屋の格好をした老人「マッドハッター」なんかも登場して、この2人が馬車に乗ってる図なんてちょっとした悪夢なのですが。ポイズン・アイビーが悪夢を与えるのは、男をフェロモンで操った後のこと。森を抜けて我に返った男たちが見るものは何でしょうか? 本作ではブルース・ウェインが自分がしたことの後始末に追われましたが、人殺しをさせられなかっただけ良しとしましょうよ。

んーと。気がついたらとりとめのない記事になってしまったな。まあいいか。とりあえず、絵が美しいコミックと、何か一作バットマンを読んでみたいという人は読んでみてはいかがでしょう。バットファミリーが登場する以前の話なので、ブルース・ウェイン側の人間が少なくてわかりやすいのでオススメ。それにしてもゴッサムってスーパーヴィランが多すぎだよね。トゥーフェイスは長いハロウィーンが明けたって言ったけどさ。むしろ、アンタが誕生したことでゴッサムハロウィーン感は増し増しだよ! 主要登場人物のほとんどが仮装してるゴッサムは年中ハロウィーンだろうが! スーパーヴィランが一掃されて、本当にゴッサムハロウィーンが明ける時なんか永遠に来ないんじゃないのか。というか来るな。悪役ファンにとっては平和こそが一番の悪夢なんだよ(もはや危険思想)

 

以上。ハロウィンなので『バットマン:ロング・ハロウィーン』の紹介をお送りしました☆

 

追記:続編の『ダークビクトリー』も読んだ! 

トゥーフェイスのファンの人はみんな、続編の『ダークビクトリー』も読んでるんだろうなあ。だって、ヴィランとしては新人のトゥーフェイスが先輩ヴィランたちを仕切っててかっこいいし、死にも捕まりもしないで勝ち逃げするし。大物感が出ていて良いですね。『ロング・ハロウィーン』と『ダークビクトリー』を読んでトゥーフェイスのファンになった人も多いのでは。

それにしても『ダークビクトリー』のバットマンは健気です。トゥーフェイスにはハービー、スケアクロウにはクレーン、マッドハッターにはテッチと、それぞれに人名で呼びかけています。バットマンは彼らも1人の人間だと思っているのですね。もしかして、人間として呼びかけ続ければいつか正気に返ると思っているのかもしれない。そう考えると健気を通り越して、いじらしいですね。しかし彼らがフリークスと呼ばれるゆえんは外見や能力や狂気のせいだけではなく、皆、人間としての過去に関心がないのが一番の理由なのではないかと。スケアクロウことジョナサン・クレーンにいたっては母の日に母をしめ殺したそうですし。わざわざ肉親を殺すなんて、人間をやめることへの決意が堅すぎる。要するに、取り戻したい人生や帰りたい場所がないのでは? だからこそ平気で犯罪を犯すことができるし治療に応じないのでしょう。治りたいと思っていない患者でも投薬などで治療してこその医療な気がしますが、そこはフィクションですから。バットマンワールドではきっと、治りたいと願っている人しか治らないんでしょう。ということは、スーパーヴィランたちは永遠に治らないってことかな。バットマンは戦闘の訓練をしているヒマがあったら精神医療を研究するべきなのでは? アーカムの医者ってみんな無能な気がするし。

『ダークビクトリー』の2巻に収録されている短編「バットマン:マッドネス」ではバットマンが、ジョーカーとスケアクロウトゥーフェイスはそれぞれ異なる狂気を抱えていると言っていますが。それを区別できている時点でバットマンもかなり彼らに近しいのでは。まあ、正気の人間から見たバットマンヴィランと警察官のどちら側に見えるかと言えばヴィラン側だと思うので、彼らの狂気を理解できてしまうのも納得といえば納得なのですが。バットマンの精神構造は正気の人よりは彼らに近いんだろうなと思わせる短編でした。重傷を負いながらマザーグースを暗唱している時点で、アンタもかなりヤバイぞバットマン。気をつけないとあっち側に転落しますよホントに。

 

※本記事は、2021年2月6日に修正しました。

 

こちらは1巻へのリンク。オレンジの表紙が1巻です。

 

こちらは2巻へのリンク。ブルーの表紙が2巻です。

  

こちらはダークビクトリーのセット売り。

 

※本記事は、2019年11月22日に微加筆してリンクを加えました。

ダイソーで買ったデッサン用人形を秋服に着せ替えてみた。

目次

 

今回はタイトル通り、身長15cmのデッサン用人形を秋服に着せ替えしてみた件をお送りします。

 

下の画像が完成図です(⬇︎)

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ご覧のように服といってもリカちゃんやバービー人形のような凝った服ではなく、生地は100均で買った色紙だし貫頭衣式のワンピースなので作り方は簡単ですが、脱がすには破くしかないので基本的に使い捨て(⬇︎)です。この点はあしからずですが…

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こうやって脱がすのですが。なんかヤバイ図になってる(汗)

まるで乱暴された人みたいになってるぞ…(注)私には人形でそういうシチュ*1を再現する趣味はありません!

 

えー…それでは気を取り直して。以下、この人形服(秋バージョン)を作った手順をご説明しましょう。まずは用意する道具のリストから。

 

用意するものリスト

・お好きな色紙2枚

・定規(30cmモノサシ)

・マスキングテープ 又はセロハンテープ

・シャーペン又はエンピツ

・両面テープ

最低限これだけあればOKですが、帯を巻きたい方はこれに加えてお好きなリボンも用意してください。さらに、

・カッターナイフ

・カッター板

があればなおいいです。一直線に長く切る場合はカッター板をしいて、カッターナイフにモノサシを添えて切るとキレイに切れます。

 

貫頭衣式人形服の作成手順

いよいよ「色紙製貫頭衣式人形服」の作成手順を。作っているのは服なのですが手芸というより工作という感じ。全体で7ステップです。生地に使ったのは、同じくダイソーで買った少し固めの色紙(⬇︎)

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今回使ったのはこのデザインペーパー。この画像で人形が着ているのは以前作った夏服です。前回、人形服の作成に初挑戦した時は採寸も手順もテキトーだったのでメモしていませんでした。今回はちゃんとメモしたので記事にできました。

それでは、秋服の作成スタート。

 

1、好きな色紙を2枚、貼り合わせる(⬇︎)

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以後、貼り合わせたものをAと呼ぶ

 

2、Aの中心に2cm×2cmの正方形を描く(⬇︎)

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3、描いた正方形を切り抜く(⬇︎)

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4、ガイドラインを引き、Aの両端を3cmずつ切り落とす(⬇︎)

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切り離すと、スタート時よりも少しスリムな長方形になります。

ここで両端を切り落とさないと人形のヒジが服の下になり、動かしにくくなるので注意。フリーハンドで一直線に切るのは難しいので、シャーペンなどでガイドラインを引いてから、その線に沿って切り落とすのですが。ガイドラインを引いた状態で撮影し忘れました(汗)

ここでカッターナイフとカッター板を使うかはご自由に。私はカッターナイフで一気に切るのが好き。

 

5、Aを2つに折り、両端の下辺から継ぎ目の2.5cm下まで両面テープを貼り、中心に開けた穴に頭を通して着せる(⬇︎)

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着せてみるとこんな感じ。上部2.5cmがアームホールになります。

ここだけ項数が多いのは、両面テープを貼った生地も撮影し忘れたからです(汗)

わかりにくくてすみません。

 

6、両端の両面テープの紙を剥がし、前後を貼り合わせる(⬇︎)

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ここで両サイドの両面テープの紙を剥がし、いよいよ生地の貼り合わせです。ちょっと失敗して、向かって左側がシワクチャに(汗) 

無理に端を合わせようとせず、そのまま貼り合わせてズレた部分を切り落とすことをおすすめします。

 

7、腰から下を後ろ向きに折り、腰の位置でリボンを結ぶ

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これで完成。横から見るとこんな感じ(⬇︎)

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なかなか素敵な仕上がりになりました。作成手順は以上です。

みなさんも、お手持ちのデッサン用人形を見飽きたら着せ替えしてみては。Aの長さ(着せた時の縦幅)を調節すればヒザも出せるので足のポージングもできますよ。

それでは今回はここまで。

 

読者の方へ:更新の間が空きまして失礼しました。実はまた風邪をひきまして。ただでさえ変化の少ない生活でネタに困っているのに風邪で気力を奪われていたという体たらく。やっとこさ回復したので夏服のまま放置されていたデッサン用人形を着せ替えてみました。季節の変わり目に風邪を引くようになると歳ですね。みなさまもお気をつけて。

 

※本記事は、2019年10月23日に目次とリンクを加えました。

 

蛇足: 個人的にブログ更新期間の最長記録を更新してしまいました。失礼。



 

*1:シチュエーションの略。日本語で言うと状況だが、この場合は「鑑賞者の性欲をかきたてる特殊な状況」を表す。私は省略形の「シチュ」はエロ用語から派生したオタク用語だと思っている。人形愛のことはピグマリオンコンプレックスというらしい。