たむらしげるの映像作品、その浮遊感。 ~『銀河の魚』など~

今回は、一度に三つ、ご紹介します。ちょっと長い記事になるかも。

たむらしげる、という絵本作家さんはご存じでしょうか?

 

1976年に絵本『ありとすいか』でデビューされたようですが、

英語の教科書『NEW CROWN』の表紙にイラストが使われていたりと、

イラストレーターとしても活躍されています。

 

絵本作品も多い、たむらしげる氏(以下、たむら氏と表記)。

この方は、実は映像作品も手がけています。原作と監修を担当。

以下、三つの映像作品を解説。

 

1、『銀河の魚』(ぎんがのうお)

 

DVDのパッケージ。以下、本記事中の画像はアマゾンへのリンクです。

 

この作品のタイトルは「ぎんがのうお」と読みます。

はい、私も長年、勘違いをしていました。パッケージを読んで

確認したしだいです。

 

あらすじ

銀河にある島に、老人とユーリという少年が住んでいる。

この老人の仕事は、夜空を観察して撮影し、記録すること。

ユーリはそれを手伝いながら、得意のモリ打ちで魚を獲っていた。

 

ある日、ユーリがこぐま座に異変をみつける。

しっぽのあたりに、見慣れない赤い星が出現していた。

やがて、こぐま座は巨大な魚に変身し、

あたりの星を飲み込みはじめた。

 

このままでは大変だ。老人は友人のトンガリ氏と

対策を話し合い、ユーリに特別なモリを持たせ、

この巨大魚を討たせると決めた。

 

ユーリと老人は、灯台ロボットの案内に従い、巨大魚を探した。

銀河に住む魚、星魚たちが逃げてくる方角がある。

ユーリが光り輝くモリをかまえて待つ。

 

ついに出現した巨大魚。星を飲み込んで、ますます大きくなっている。

ユーリは巨大魚をこぐま座へと戻すため、

しっぽの赤い星を狙ってモリを放った。

 

モリは見事にしっぽの星に当たり、巨大魚はこぐま座に戻った。

 

オススメのポイント

たむら氏のイラストがアニメーションで動く時点で

一見の価値ありでしょう。しかしこれは、どの作品でも言えること。

この作品で印象的な色は、青ですね。

 

この作品は、1シーンにつき1色、メインとなる色があります。

なかでも多用されているのは青。舞台は銀河という海の上なので、

水上のシーンがほとんど。青が多用されるわけです。

色彩ではダントツで青系が好きな方にオススメの作品。

 

印象的なシーンは、二人が巨大魚を倒して帰路につくシーン。

渦潮に巻き込まれて、ひとつ下の層へ落ちてしまうのですが、

その層からは地上が見えるのです!

 

町の上を手漕ぎボートで進む二人。

町を俯瞰するとなれば、よくあるのは飛行機。

それなのにこの作品では、ボートで進むのです、夜の町の上を!

このシーンは何度みても、すばらしい!

 

2、『クジラの跳躍』

 

 

あらすじ

ガラスの海、と呼ばれる一帯がある。

そこは海の一部ではあるが、時間の流れがちがう。

 

時の流れが極端に遅いガラスの海では、

船も、トビウオも、クジラも、見る者に

静止していると錯覚させるほど、ゆっくりと動く。

 

クジラに至っては、跳躍するのに半日もかかる。

めったに見られるものではないために、

どこからともなく集まる見物人。

 

モノ売りや大道芸人、スケッチをする画家などで

ガラスの海がにぎやかになっていくなか、黒猫を連れた老人は、

少年のころに船から見たクジラの跳躍を思い出す。

 

オススメのポイント

 今作で印象的な色は、緑です。時間とともにガラスの海の色も

変わっていきますが、緑色のシーンが多い。

色彩ではダントツで緑色系が好きな方にオススメの作品。

 

ガラスの海が半透明で、ガラスの質感がよく表現されています。

この点も見どころの一つですね。

 

朝は黄緑。昼は少し暗い緑色。夜は青色。

海は刻々と色を変え、思い出の語り手も変わっていきます。

主な語り手は黒猫を連れた老人なのですが、

友人の画家や見物人も語り手となり、ちょっとした群像劇の趣が。

 

作中では事件もなく、風景の美しさを楽しむ作品。

静かな時間を過ごしたい方にオススメします。

 

3、『ア・ピース・オブ ファンタスマゴリア

英語表記は「a pice of PHANTASMAGORIA」。

  

 

実は上記のガラスの海は、ファンタスマゴリアの一部です。

 

あらすじ(?)

奇妙な地域が集まる小さな惑星、ファンタスマゴリア

この星は、「まどろみを旅してみつけた、小さな惑星*1」。

 

ガラスの海ことグラッシーオーシャンでは時の流れが遅くなり、

デジタルゾーンでは動物たちが四角になり、

固形の虹から絵具がつくられ、人型のサボテンが歩き、

パンでできた工場がネズミにかじられている。

 

住民たちも奇妙だ。

南国から来たミイラ。心を持つ雪だるまたち。

ロボットにゴースト。生きたクッキーたち。

 

奇妙な地域と、そこに住まう奇妙な住民たちによって

できているこの星では、今日も「小さな物語*2」が生まれている。

 

オススメのポイント

いやね、もうね、書く必要ないというか。

上記のあらすじ(?)に書いてしまったように、

奇妙な小惑星の、奇妙な日常を、ショート・ストーリーで

楽しむわけですよ。全15話収録です。

 

全15話で、全体で78分もあるんですよ?

まさにショート・トリップですよ。観終わった時に、

「現実の世界はなんてゴチャゴチャしてるんだ」と思います。

 

とにかく、現実に戻ってくるのに少し時間がかかる。

嫌なことがあって、リフレッシュしたい時にオススメかも。

 

まとめ

 個人的に、この作家と作品を紹介しないのなら、

なんのためにブログを始めたんだ、ついに真打ち登場だよ!

と思っている作家さん、たむらしげる氏の映像作品を

三作、紹介いたしました。

 

どの作品にも言えるのは、

「現実からの浮遊感がすごい」ということ。

観ている間は現実を忘れられますよホント。

 

それでは。ここまでお読みくださって、ありがとうございました。

 

 

 

*1:作中ナレーションより

*2:同じく、作中ナレーションより