ゾーヴァ絵の『ちいさなちいさな王様』、表紙絵と同じ柄のマグネットを買うぐらいお気に入り。

目次

 

今回、ご紹介するのは、絵本『ちいさなちいさな王様』。

アクセル・ハッケ作、ミヒャエル・ゾーヴァ絵で、講談社から出ています。

絵本といえど判型は縦長で、内容は深くて大人向け。

その表紙絵&同じ柄のマグネットをお見せしましょう。以下、画像です。

 

f:id:Mee6:20170711223052j:plain

© 2009 Michael Sowa 

 

右のマグネットは、JR京都駅の美術館「えき」で開かれていた

ゾーヴァ氏の展覧会で買ってきたもの。

本とマグネットを同時に買ったのかどうかは忘れましたが、

この絵を含めて気に入っている絵本です。

 

表紙の絵は、マグカップと同じぐらいの大きさの王様が、

新聞の上にちょこんと立っているところ。

シュールでおもしろい。

 

それでは以下、本作を解説していきます。

 

あらすじ。僕には見えていないものが多いらしい。

ある日、ふらりと僕の部屋にあらわれた、

僕の人差し指サイズの気まぐれな小さな王様。

以上、カバー袖より。

これが物語のはじまりです。

 

王様の名前は「十二月王二世」で、好物はグミベアー*1

この小さな王様は「僕」の生活に興味津々で、質問と説教が多い。

 

この王様の説明によると、王様の国の人は、

生まれた時に体が大きくて、年をとるごとに体が小さくなっていくのだという。

王様の国の人は、生まれつき大きいのだから、

当然ながら女の腹からは生まれない。

 

それではどうやって生まれるのかというと、

夫婦が空から星をとってきてベッドに入れておくらしい。

そうしておくと、翌日に我が子がベッドで目覚め、

その日から働きはじめるのだそうだ。

 

この説明を聞く限りだと、王様の国の人たちは自分たちと逆のようだが、

王様に指摘されて「僕」は気づく。

見方によっては自分たちもまた、生まれつき大きくて、

年をとるごとに小さくなっているのだ。

 

幼いころには想像力と可能性を持っているのに、

年をとるごとに知識が増えて想像力は衰え、

いつのまにか大人になって職業を持ち、他の何かになる可能性を失う。

 

ある日、王様は「僕」の休日に、「職場へのルートを案内しろ」と

言ってきた。毎日通っているから退屈だし、今日は職場へ行かなくてもいいのに。

 

「僕」がしぶしぶ王様を胸ポケットへ入れ、

通りにある店を説明しながら案内していると、見慣れぬ者たちがいた。

交通を鎮静しようとする白い服の詩人や、

出勤している人々を攻撃する竜など。

 

どうやら、「僕」には見えていないものが多いらしい。

小さな王様がそばにいてくれることが、せめてもの慰めだ。

 

読んだ感想など(ネタバレ注意)

いやあ、この王様の指摘は鋭いですね!

言われてみれば同意することですが、指摘されるまで気づきませんでした。

 

さて、この物語のオチなんですが、

なんと、王様がどうなったのか、最後まで読んでもわかりません。

 

王様がどうやってグミベアーを入手しているのかは書かれています。

王様は直筆の絵と引き換えに、グミベアーを得ているのです。

 

王様の絵を引き取ってグミベアーをくれるのは「絵持ち」という人物。

たくさんの部屋がある家で一人で暮らしていて、

日がな一日、無数の絵を観てまわっているそうです。

 

「僕」がソファで目を閉じて(眠って?)、

王様の小さなトラックに便乗し、絵持ちの家を訪ねた日までが

描写されています。

 

このあとどうなったのか書かれていないところも、

お気に入りの理由かもしれません。

もしかしたら描写されていないだけで、

この物語の世界は今も続いているのかも、なんて想像すると楽しい。

 

以上、アクセル・ハッケ作、ミヒャエル・ゾーヴァ絵、

絵本『ちいさなちいさな王様』の紹介でした。

 

 

 

*1:クマの形をしたグミのキャンディー。ドイツでポピュラーなお菓子のひとつ。