家から出ないでショートトリップできる写真集、『スコープ少年の不思議な旅』

 

夏ですね暑いですよね? インドア派の方は、いつにも増して

家から出たくない季節ですよね? だったら、

家から出ないでショートトリップしてみませんか?

 

といっても、ありふれた景色じゃつまらないですよね。

じゃあ、ちょっとこの写真集でもご覧くださいな。

 

というわけで、今回、ご紹介するのは、写真集『スコープ少年の不思議な旅』。

以下、リンクを兼ねた画像です。

  

 

この本は、(株)パロル舎 から出ています。

上記画像は2013年に出た増補新版ですが、手元にあるのは2005年に出た旧版です。

 

この本は桑原弘明さんの作品「スコープ」の写真集です。

では、「スコープ」とはどんな作品なのか。以下、本書の解説から抜粋します。

  外から見るかぎりでは、スコープは小さな箱に似ている。形や大きさはすこしずつちがうけれど、どれも掌にのる直方体で、だがずしりと重い。この箱は真鍮のような合金でできており、内部もただの空洞ではないからである。(中略)

 箱といったけれども、蓋はどこにもなく、あけて内部を見ることはできない。かわりに細い筒が一本つきでていて、先端の小さなレンズから覗きこむようになっている。

以上、同書解説、巌谷國士「・・・不思議な旅」より。 

 

と、まあこんな作品なのでございます。

この写真集、というか作品集で焦点があてられているのは、

小さな箱「スコープ」の内側に広がる、手製のミニチュア模型による情景です。

 

この模型がまたすごい。もちろん外側も、金属製の箱をつくるのも

大変なのでしょうが、それ以上に中身の模型がすごい。

とにかく小さい! 巻末の解説中にある参考写真では、

椅子の模型が、大人の人差し指の爪の上に乗っています。

 

え、作中にあるオブジェは全部、こんな縮尺なの!?

そう思って見返してみると、情景の美しさとともに、

製作者の並々ならぬ情熱が感じられて、また感動します。

  

手元にある旧版には36作品が掲載されています。

これが増補新版となれば、さらに多くの作品が掲載されているのでは。

今から買う方のほうがお得ですね。

 

本書(旧版)の章構成は、

・部屋

・窓

・扉

・庭

・ふたたび部屋

・夜

以上、6章からなっています。

 

しかし本書の場合、章というよりはテーマというべきでしょうか。

各テーマに沿った作品をまとめて一章としています。

 

「スコープ」の外観と、その中に見える光景をえんえんと撮影して

できあがっているのが本書なのです。

 

ここまで語っておいて、一番好きな作品名を書かないのはどうなのか。

ということで、私のお気に入り作品は「ふたたび部屋」にある「現れよ」です。

 

無限に続いているかのような廊下。

そこにあるのは、同じく無限に見える、リンゴを乗せたテーブルとイス。

廊下の奥には謎の球体。

この空間は本当に、小さな箱「スコープ」の中に収まっているのかと

疑ってしまう光景です。

 

実際の「スコープ」は、小さな穴に懐中電灯で光を当てながら

覗きこまなくてはいけませんし、そもそも見られる機会が限られています。

それを親切に撮影してくださった方がいるのですから、

私たちは遠慮なく楽しみましょう!

 

以上、家から出ないでショートトリップできる写真集、

『スコープ少年の不思議な旅』の紹介でした。