ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

劇場版アニメ『ひるね姫』。説明不足だけど、二回観るとおもしろい。

目次

 

今回、ご紹介するのは、劇場版アニメ『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』。

監督は神山健治さんです。

以下、ストーリーを黒字で、感想をオレンジで書いていきます。

 

ストーリー&感想(ネタバレ注意)

岡山県倉敷市で、車の整備工をしている父親のモモタローと

二人暮らしの高校生、森川心羽(ココネ)。

時は西暦2020年の夏、オリンピックの三日前。

ココネにとっては、高校生最後の夏休み。

ココネは、まだ進路に悩んでいた。

え、高校三年の夏休みに進路が決まってないの!?

大丈夫なの!? 進路指導の先生は何をしていたの!?

 

そんな大切な夏休みに、事件が起こった。

父が警察に捕まったというのだ!

ココネが地元の警察署にかけつけると、父はもう

東京に連れて行かれたあとだった。

いったい何が起こったのか。途方にくれたココネは、

これからどうするのか、昼寝してから考えることにした。

うん、眠い時はまず寝ないとね。一眠りしたらなにか

いい考えが浮かぶかもしれないし。

 

ココネの昼寝は、インターホンの音で中断された。

こんな時間に、いったい誰が訪ねて来たのだろう?

ココネは用心しながら、インターホンについたカメラを確認した。

そこに映っていたのは、夢で見た国「ハートランド」の、

大臣らしき男、ベワンによく似たヒゲ面の男。

ココネはインターホンに応じず、居留守をして様子を見ることにした。

うんうん。知らない人を家にあげちゃいけませんよ。

特に、大人がいない時はね。ココネちゃん、正しい判断です。

 

ココネが様子をうかがっていると、なんと男たちが家に入ってきた!

ちょっと! 住居不法侵入ですよ! しかも、女の子しかいない家に!

アンタら、あらぬ疑いがかかる前に出て行きなさい!

どうやら、父のタブレットと、ココネのことを探しているらしい。

みつかったらまずい! ココネはとっさに押入れに隠れてやり過ごした。

 

ヒゲ面の男がタブレットをみつけ、部下を一人だけ残して

立ち去った。ココネを捕まえることはあきらめていないらしい。

ココネは、タイミングよく訪ねてきた、幼なじみの大学生モリオに

バイクを運転させ、自分はサイドカーに乗り込んで家から脱出した。

このサイドカーつきバイクは、普通免許で運転できるそうです。

 

タブレットを奪い返すべく、二人はそのまま高松空港に向かった。

幸い、ヒゲ面の男はまだ、フロントで手続き中だった。

ココネは首尾よくタブレットを奪い返し、二人はいったん追手から逃れた。

 

タブレットを奪い返したのはいいものの、相手はどうやら、

警察まで動かしているらしい。うかつに動くのはまずい。

こちらも、警察の知り合いに助けてもらおう。

そう決めた二人は、迎えが来るまで一眠りすることにした。

うーん。いくら夏とはいえ、野外で寝るのは寒くないですか?

おまけに、二人とも寝てていいの? 見張りは?

 

ココネはまた、「ハートランド」の夢を見た。

しかも、今回は明晰夢。夢だとわかっている夢だ。

夢の世界なら、魔法が使えて便利だ。こちらの世界から、

父を助け出そう。この夢は、現実とつながっている。

いつのまにかハートランドに来ていたモリオは半信半疑ながら、

ココネに従ってバイクの「ハーツ」を運転した。

 

バイクの「ハーツ」が燃料切れで墜落してしまうところで

目覚めたココネとモリオ。

夢って、墜落しそうになると覚めるんだよね。お約束!

二人が眠っている間に、ハーツは二人を大阪の道頓堀まで運んでいた。

そして、ハーツの燃料切れが現実になっていた。

 

給油しに来たガソリンスタンドにいた怪しい二人をまくために、

給油したハーツだけを家に帰したモリオは、

ココネとともに東京に向かうため、二人で大阪駅へ向かった。

しかし、東京まで行く軍資金がない。どうしよう?

一緒に持って来てしまった、ヒゲ面の男「渡辺一郎」の

トランクからお金を借りようというモリオに対し、

ココネちゃんは「それは泥棒」と言う。

えらいぞココネちゃん! 人間、困っても悪いことはしちゃダメだ!

 

ココネがタブレットを使って父に連絡すると、

職員が新幹線の乗車券を持って現れ、「お二人の切符です」という。

ココネは深く考えず、モリオはわけがわからぬまま切符を受け取り、

二人は新幹線に乗って東京へ向かった。

 

新幹線のなかで、ヒゲ面の男・渡辺の名刺にあった企業

「志島自動車」についてモリオが確かめたところ、

ココネの母・イクミは会長の娘であり、

会長はココネの母方の祖父であることがわかった。

それを聞いたココネは、弁当を食べて眠かったこともあり、また眠ってしまった。

東京までヒマだし、お腹いっぱいだし、色々あったもんね。寝な寝な。

 

ココネはまた、「ハートランド」の夢を見た。

しかし、主人公は自分ではなかった。

夢の主人公は母のイクミに変わり、タブレットを父のモモタローに

託して落ちていくところまでを見て、ココネが目覚めた。

あれは、ハートランドの物語は、自分のものではなく、亡き母の物語だったのだ。

子供の時、お父さんから聞かされていたのは、作り話じゃなかったんだ!

よく見たら、ハートランド王の顔、会長の顔だった!

 

東京駅で志島自動車の社員にみつかってしまった二人。

モリオが社員たちを引き受け、ココネは一人で志島自動車の本社へ向かった。

がんばれ! おじいちゃんに会うのだココネちゃん!

 

モリオが社員たちの話をよく聞いてみると、志島自動車は今、

二つの考えに割れており、役員の渡辺が強硬手段に出たという。

それが、この騒動の始まりだった。渡辺の目当ては、タブレットの中身。

自動運転に必要なプログラムのオリジナルで、イクミが遺したものだという。

 

そんなことは知らずに本社に着いたココネだったが、

会長の孫だと言っても通してもらえない。

どうやら、会社の人たちは、ココネの存在を知らないらしい。

お父さんは、会長さんにココネちゃんが生まれたことを伝えてない!

またしても途方にくれたココネがベンチに腰掛けて悩んでいると、

運よく会長が現れた!

 

孫だと名乗らず、会長と話しはじめたココネ。

母がどんな人だったのか聞くことができたが、

いつのまに眠ってしまったのか、会長はハートランド王へ変わり、

「鬼」を退治するべく行ってしまった。

 

王が立ち去ったあと、ヒゲ面の男・ベワンが現れた。

ベワンはココネを捕え、独自開発した兵器をココネに見せ、

「鬼」はこれを使わないと倒せないと言い、奪ったタブレットを投げ捨てた。

タブレットが壊れたらどうするんだ! いや、壊したかったのか?

 

タブレットを追って飛び降りたココネ。

タブレットを拾うことはできたが、今度は自分が落ちかける。

無茶するからだ! もしかしてココネちゃん、体育会系なの!?

そこへ、ハートランド王が現れた。

ココネが自分の孫だと悟った王は、ベワンが国をのっとろうと

していることに気がつき、ベワンを捕えた。

 

企みが阻止され、国ののっとりに失敗したベワンは、

自分の携帯端末を使って「呪いの魔法」を使った。

それは、一通のメッセージ。

「自動運転車の開発は、オリンピックに間に合いませんでした」という文面だった。

呪いって、内部リークのことかい! じゃあ、鬼ってのはマスコミのことか?

 

呪いによって鬼が暴走し、ハートランドを燃やしていく。

大変だ! 炎上(リアル)だ! 現実では志島自動車が炎上してるのかも!?

そしてベワンは、まるで呪いが波及したかのように燃え、消えてしまった。

えーと、これは比喩だよね? 社内の地位がなくなったってことかな。

ベワン=渡辺さんだもんね。まさか死んでないよね!?

 

そこへ、モリオと合流した父・モモタローがかけつけた。

このあたりで、渡辺さんもちらっと映ります。よかった。生きてた!

現実の世界では、本社の30階からココネが落ちそうになっているという!

急いでお父さん!

 

鬼が兵器に退治されている夢から覚めたココネ。

わけがわからないまま、父に腕を掴まれて救われた。

間に合ったあ! でも、着地はどうするんですか!?

 

さらに、なぜか駆け込んできたバイクのハーツの働きで

無事に着地したココネとモモタロー。

ちょっとご都合主義かも。でも、二人が助かったから、よしとするか。

二人は、会長とともに新聞記者に取り囲まれることになった。

 

ココネの父・モモタローは母・イクミと駆け落ちしており、

会長はココネのことを知らなかったが、モモタローと和解してくれた。 

今日は、三人で縁側にいて、これからスイカを食べるところだ。

会長さんが黒い浴衣を着ています。お似合いです。

ココネちゃんも浴衣です。浴衣でスイカ! これぞ日本の夏!

 

夏休みの終盤。ココネは父に、母のような研究者になるべく、

東京の大学に行くことも考えていると伝えた。

進路の問題は解決、したんだろうか? 今から勉強して受かるのか?

 

まとめ。説明不足だけど、二回観るとおもしろい。

この夢がいつのまにか現実と地続きとなり、

ココネちゃんが寝るシーンなしにはじまるようになるのは

個人的にちょっと納得いきません。

 

夢=未来予知であるならば、現実と地続き(リアルタイム)になる

必要がない気がします。また、作中では

ココネちゃんが不思議な夢を見られる理由がわかりません。

 

そういう体質なの? 家系なの?

だったら、『君の名は。』みたいに作中で説明してほしかった。

タブレットにヒビが入ってしまった理由も、

母のイクミが亡くなった理由も、はっきりとは説明されないのです。

雰囲気からなんとなく察することはできるのですが。

 

あ、もしかして。

ココネちゃんにとってどうでもいい、気にならないことは

説明されていないのかな? この作品、ほとんどココネちゃんの視点だし。

だとしたら納得です。

 

ストーリーに関してはこのへんにしときましょう。

個人的に、ビジュアル面で気に入った点を書きます。

 

・王女エンシェンのドレスのデザイン。コルセットに錠がついていて、

 拘束具っぽくてイイ!

・夢でエンシェンがピーチの上着を着ていること。ダボダボなのがカワイイ!

・渡辺一郎さんのヒゲと顔。現実にいたらセクシーでモテそう。

 スーツが似合うし、仕事できそうなのがいい。

 

最後に。できれば、出だしの「ハートランド」のシーンを二回観てほしいです。

上記のストーリーでは省略してしまいましたが、

ココネちゃんが登校前にハートランドの夢を見ています。

 

お話が進んでいくにつれ、

ハートランドのピーチ青年=父のモモタロー

大臣ベワン=渡辺一郎

ハートランド王=会長

ハートランド王女、エンシェン=母のイクミ

ハートランド=志島自動車

鬼=マスコミその他、悪いウワサを流すもの

であることがわかってきます。

 

そう思って出だしのシーンを観てみると、

ハートランドの首都「イーストポリス」にある巨大工場の

マークが志島自動車のロゴマークであり、

王女のエンシェンが使う「魔法」は、

母イクミが組んだプログラムであることがわかります。

カラクリわかってくるとおもしろい。

 

以上。劇場版アニメ『ひるね姫』は、二回観るとおもしろい件をお送りしました。