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今回、ご紹介するのは、『元素生活 完全版』です。化学同人から、2017年3月に出た本。以下、リンクを兼ねた画像です。
この本の基本コンセプトは、元素をオジサンで擬人化してわかりやすく解説しよう、というもの。って、急に言われてもよくわからないですよね。ではまず、本文中から、著者がこの本を書いたわけを抜粋してみます。
ふだんの生活の中で元素を意識することはほとんどありません。元素に詳しいとモテるという話も聞きません。(逆はありますが) 机を見て、炭素を感じろといわれても絶対に無理です。元素の話って、なんかピンと来ない。そもそも原子とか電子とか、小さすぎです。それでいて、この複雑な世界を118個に分けるという、大ざっぱさ。元素は世界の核心に触れているような、ウソのない楽しさがあります。でも、生活の中では、それを想像するには小さすぎるし、身のまわりのことを説明するには、ちょっと大ざっぱすぎるのです。この本では、元素の楽しさをなるべく自分サイズにまとめてみました。
以上、同書 p4 INTRODUCTION より
え? これだけじゃイマイチわからない? それでは、次に目次を抜粋しようと思います。本の主旨は目次に現れますものね!
『元素生活 完全版』の目次
INTRODUCTION
1、リビングと元素
2、スーパー元素周期表
3、元素キャラクター
4、元素の食べ方
5、元素危機
あとがき
以上が、本書の目次(一部)。
本当はコラムもあってもっと細かいです。人間の原価(人体の原価)という『鋼の錬金術師』でエドのセリフに使われていたネタも。不謹慎なのかもしれないけど、おもしろい。大きな章は五つ。以下、それぞれの章を簡単に解説します。
INTRODUCTIONは導入部。まえがきです。「1、リビングと元素」は、リビングにあるものにどんな元素が使われているのかを例示しています。
「2、スーパー元素周期表」は、本書オリジナルの周期表。たくさんの元素が集中している「Ln」と「An」のグループを下にとび出させて、わかりやすくしています。
次に、本書のメインである「3、元素キャラクター」この章から、擬人化された元素図鑑がはじまります。他の部分には興味ない、という方はここから読みましょう。
「4、元素の食べ方」では、健康に欠かせない「ミネラル」の正体と、ミネラルをバランスよく摂取できる食べ物を紹介しています。「5、元素危機」では、日本のレアメタルがほとんど外国産であること、輸入が止まったら、レアメタルが足りなくなり、経済や産業が危機に陥るという現状を書いています。
元素をどう擬人化したのか?
お待たせしました。ここから「3、元素キャラクター」について解説していきます。
本書では、決まったパターンで元素を擬人化。以下が、本書での擬人化のルール(要約)です。
元素のヘアースタイル:族をもとにジャンル分けし、髪型を決める。
個体・液体・気体をカラダで。:足の形で、通常の状態を表す。
原子量を体重で。:元素の重さを、体型で表現。軽いと細く、重いと太い。
発見された年を年齢で。:近年に発見されたら赤ん坊、古代だとお年寄り、など。
特殊な性質は背景や服で。:放射性がある・光るものに背景をつける、など。
おもな使用用途を服装で。:研究用なら白衣、産業用ならスーツ、など。
こうして、擬人化された元素キャラクターができあがります。たとえば鉄(He)なら、二本足・ふつう体型・中年・パンツ一丁となります。パンツ一丁なのは、用途が体ミネラルだから。本書では、健康に関わるミネラルである元素はパンツ一丁で擬人化されています。実にシュール!
おわりに。わかりやすいけどシュールな本。
本書を読むと元素への理解が深まります。中学で習ったのを最後に元素のことをほとんど忘れていた私。この本を読んでみて「元素っておもしろい」と思えました。擬人化されると性質がわかりやすくなる。さらに、親近感もわいてくる。いいこと尽くめ! でも、ちょっとだけ問題が。本書ではオジサンで擬人化しているので、ノーパンのキャラでは股間のアレが丸見えなんですよね。そう。アレがわざわざ描いてあるんですよ! おかげで、とってもシュール! みんな、表紙にだまされるな!
以上。元素をオジサンで擬人化した本、『元素生活 完全版』の紹介でした。