ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

マンガ『数学と文系ちゃん』 数学が苦手な人に。男子高校生が、身近な数学の使い方を解説します。

目次

 

今回、ご紹介するのは、マンガ『数学と文系ちゃん』。タテノカズヒロさん作で、少年画法社から2016年に出ています。以下、リンクを兼ねた表紙の画像です。

 

手前にいる女子が主人公のまどか。数学は苦手な文系ちゃん。

奥にいる男子が数学の得意な八神。数学で解決できそうな話題に敏感な数学バカ。

どっちも有名なキャラと名前の一部がかぶってるけど、たぶん気のせい。

この二人の外見はリアルめですが、他のキャラは個性的なルックスなので見分けやすいです。

 

このマンガの内容(目次など)

マイナス×マイナスはなんで+になるの?

苦手意識にサヨナラ! 身近な話題で笑いながら学べる脱力系数学マンガ!

数学がバカなまどか達に数学バカ八神が徹底教育!

 以上、同書 帯より

 

私も数学が苦手でして、公式は原理を理解せずに丸暗記してテストを乗り切っていたタイプの人間です。だから、本作を読むまでマイナス×マイナスがなぜ+になるのか、理解できていませんでした。

そんな私は、本作を読んでついにマイナス×マイナスがなぜ+になるのか理解できました。この問題は、第3話「どうしてマイナスかけるマイナスがプラスになるの?-負の数」で解説されています。ここだけでも読む価値があるマンガです。

 

このマンガは全12話。目次(抜粋)はこんな感じ(⇓)

第1話 決戦は金曜日ーじゃんけんの必勝法

第2話 スカイツリー3本分のトランプー宝くじの当選確率

第3話 どうしてマイナスかけるマイナスがプラスになるの?-負の数

第4話 32×25が3秒で解ける方法ーインド式計算

第5話 あの子とつきあえる告白戦略ー恋のゲーム理論

第6話 美人になれる法則ー黄金比

第7話 何%の確率で起こったことが奇跡といえる?ー誕生日問題

第8話 アンケートの罠ー平均値

第9話 恋のL字廊下争奪戦ーくじ引きの公平性

第10話 伊呂波歌ラブレター ー暗号

第11話 お金持ちと貧乏人ーギャンブル必勝法

第12話 幽霊を信じたほうがいいかを決める方法ーパスカルの賭け

 以上、同書 P2目次より(八神の補習授業シリーズは割愛)

 

この目次を見て、どれか一つでも興味を持ったら読んでみてください。 

 

読んだ感想。面白かったのは第12話!

本作の主人公は高校生なので、話題になるのは他愛ないことが多いです。どうやったら食堂じゃんけん(負けたほうが相手の昼食代を払うじゃんけん)に勝てるかとか、宝くじで一等を引き当てる確率は1000万分の1だとか、恋愛において告白するほうとされるほうのどちらが得かとか、23人集まれば同じ誕生日の人が含まれる確率は50%を超えるとか、お小遣いの平均額なんてお小遣いが突出して多い子がいたら意味ないとか、くじ引きで当たりを引く確率は一定だから残り物に福はないとか、ギャンブルの手堅い勝ち方とか。例えがわかりやすくて勉強になるんですけど、面白いわけじゃない。

じゃあ面白い話は一話もなかったのかというと、そんなことはありません。一部で有名な「パスカルの賭け」について解説し、幽霊を信じたほうがよいかどうかを計算する第12話は面白かったです。幽霊のことなんて夏の怪談シーズン以外は忘れているので身近な話題と呼べるかは微妙なところですが。

幽霊が存在しないことは科学的に証明できないので、幽霊を信じるなんて非科学的だとは断言できません。しかし、幽霊を信じたほうがよいかどうかは計算で求められるのです。では、第12話で八神くんが出した答えをお教えしましょう。答えは「幽霊は信じないほうが合理的」です。

では八神くんはどうやってこの答えを出したのか。まず、幽霊がいる確率を50%、幽霊がいない確率を50%とします。そして、

・幽霊を信じている人が幽霊に出会った場合

・幽霊を信じている人が幽霊に出会わなかった場合

・幽霊を信じていない人が幽霊に出会った場合

・幽霊を信じていない人が幽霊に出会わなかった場合

以上4通りの損得を計算していきます。

幽霊を信じている人が幽霊に出会った場合=信じていても怖さは減らないので得は0

幽霊を信じている人が幽霊に出会わなかった場合=いないものを怖がって余計な行動が増えるので、気苦労はマイナス

幽霊を信じていない人が幽霊に出会った場合=信じている人と同様に怖いので得は0

幽霊を信じていない人が幽霊に出会わなかった場合=生活に変化はないので得は0

以上の結果から期待値を計算すると、幽霊は信じないほうが合理的だという答えが出ます(計算式は本書のP122をご覧ください)。

私はいい歳して霊的なものが怖かったりするので、この話はありがたかったし、数学で解決できるのは物理的なことに限らないのだとわかって面白かったです。

 

まとめ

こうして考えると意外なことが数学で解決できるんですね。このマンガは、数学は丸暗記科目で面白みがないと思っていた人や、数学は中学の時点でつまずいたから嫌いだという人に読んでほしいです。現役の中学生や高校生の方にもオススメ。

 

以上。マンガ『数学と文系ちゃん』をご紹介しました。