ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

この機に吸血鬼マンガ『HELLSING』について語ります。ペンウッド卿がカッコいい。

今週のお題「鬼」

 

 

実は「鬼」そのものという種族のキャラクターはあまり知らない。なので「鬼」というお題を見た時に思い浮かべたのは少しズレた種族「吸血鬼」だった。私の中で吸血鬼は鬼系の種族でもっともメジャーな種である。だからこの記事で話題にするのは、吸血鬼の主人公が敵の吸血鬼や人間を殺戮しまくるマンガ『HELLSING』だ。

このマンガを話題にしておいてなんだが実は私、暴力表現は苦手である。正直言ってグロいのは無理なのでスプラッタ映画を観たことはない。そんな私だがこのマンがは読めた。白黒のイラストだと血も臓物も真っ黒でグロさが大幅に減じるので読めるのだ。

このマンガの何がすばらしいって、キャラクターの性格、いや、信条がすばらしい。目的のためなら死んでもいいのだ。敵である吸血鬼の軍隊「最後の大隊」は元から死ぬこと自体が目的だし、主人公が属する「王立国教騎士団」はイギリスを守るために命をかけて戦う。「第13課」は不死者という神の摂理を超えた、存在自体が赦せない者たちを殲滅するべく戦う。主要な登場人物は死ぬことを怖れておらず、大半の者は喜々として戦場に立つ。文字通り絵に描いた格好良さ(ほとんどのマンガはそうだが)である。私はもういい大人なのにいまだに死ぬのが怖いので、彼らのように死の恐怖を持たない人が心底うらやましい。

と、ここまで書いておいてなんだが、この作品中で一番印象的なのは戦闘員ではない人物、ペンウッド卿だったりする。この人物は心身ともにまったき人間で、人並みに死ぬのが怖かったようだが、自分では何も努力せず与えられたことをこなしてきただけだから、この職務はまっとうしなければならないと思う、と言う。そして、吸血鬼に噛まれてゾンビになるぐらいなら先に死ぬ、と自害した部下たちの死体を前にして、侵入してきた敵の吸血鬼たちを見て笑いながら自爆スイッチを押す*1。ペンウッド卿は権力者の血筋であり、前線には立たないお偉いさんなのに、ほんの数時間のうちに死を覚悟してしまうのはすごい。自分も確実に死ぬのに、死ぬのは怖いのに逃げない。正直な話、作中で一番立派な人物だと思う。ペンウッド卿の死に様は作中屈指の格好良さなので必見だ。

それならおまえはペンウッド卿が好きなのかと問われるとちょっとちがう。もっとも尊敬する人物ではあるが、自分の生命より職務を優先してしまうなんて精神力が強すぎる。立派だと思うが感情移入はできない。では他のキャラクターになら感情移入できるのかというとそうでもない。他のキャラクターは吸血鬼その他の人外だったり、人間でも精神力が鬼のように強くて人間離れしており理解不能だったりする。『HELLSING』はビジュアル的に中二っぽい格好よさが満載なので中二っぽいものが好きで未読の方にはオススメの作品だが、全話読んでも好きなキャラクターはできにくいと思う。心身ともにケタはずれに強いキャラクターの中で比べるからペンウッド卿が気弱な一般人に見える。しかし、ペンウッド卿は受動的な生き様を極めることで死の覚悟を決めている。あれはあれで普通ではないと思う。よく考えればペンウッド卿の死に様が一番ありえないのかもしれない。

以上。気がついたら「鬼」のお題なのに人外キャラの話をちっともしていないけど『HELLSING』で一番格好いいキャラはペンウッド卿だと思う件をお送りしました。

 

 

 

 

*1:単行本6巻P30