ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

小説家志望者にオススメの本『文体練習』には99パターンも文体が載ってて感動した。

お題「読書日和」

  

 

やばい。仕事が立て込んできててブログを更新するヒマがない。このままだと10日以内更新が達成できない。だから今日、更新する! ということで温存していた奥の手その2をお送りします。その名も『文体練習』という本です。小説家志望の方にはガチでオススメなのでぜひお読みください。ただし、お値段3000円越えですが。それでもオススメ。ただの短編小説集に飽きている方にもおすすめ。同じ状況をちがう文体にして書きまくるという実験的な本です。この本の存在を講義で教わった時、これだけでも大学に来た甲斐があると思ったほどに感動しました。なんとこの本、文体の見本が99パターンも載っているんですよ。これだけの文体を思いつくとは。著者のレーモン・クノー氏は筆力ありすぎ。目次の総項目数は99の文体見本+3つの付録+訳者あとがき=103項目となっています。壮観ですね! この99パターンの中には、これを文体と呼んでいいのかと疑いたくなるものから、これを文体と呼ぶのは無理があるだろとツッコミたくなるものも。例えば35~37の「音消失」系や54~58の五感系はかなり無理やり感があり、「34・同一語の連続使用」と61・62の置き換え系に至っては無理やりを通り越してもはや反則です。この項目は正直に言って小説家志望者が読んでも全然参考になりません。しかしこの反則っぷりも含めて楽しい作品です。おすすめの読み方は「1・メモ」を読んで主題になっている状況を覚える➡目次をざっと読んで気になった項目を読む、ですね。なにせ文体見本の数が多いので順に読んでると疲れますし、早く読み終わってしまうともったいないので。99文体の中で私のおすすめは、著者が中二病にかかったかのような文体「45・荘重体」と、傑作ショートショートを読んだ気になれる「99・意想外」ですね。これはさすが最後にされているだけのことはある。

今思いついたこの本の面白い読み方は、まず「1・メモ」を読み、自分ならこの状況をどう描くかを考えて実際に小説を書き、自分の書いたものと見比べながら読む、ですね。まず自分で書いてから読んだほうがさらに面白いかもしれません。自分が(しいて言うなら)どの文体に近いかわかりますし。これはいつか実行してみたい。

最後に。この本でもっとも驚くべきことは、本書は翻訳書であることですね。しかも原書はフランス語なんだとか。この本で化物なのは著者じゃない、翻訳者だ…そういえば、アルファベットのEを一度も使わずに書かれた原書を、ひらがなの「い」を一度も使わずに和訳した人とかいたな…あれに比べればまだマシなのか? どちらにせよ本書を和訳しようと思った時点でものすごくチャレンジングなのは間違いない。翻訳者様ありがとうございます。今後私がどれだけ困窮しても、この本だけは手放しません。

 

3000円以上する本なんか買わない図書館で借りるわという方向けに、以下、本書の簡易な書誌情報を載せておきます。

 

タイトル:文体練習

著者:レーモン・クノー

訳者:朝比奈弘治

発行所:株式会社朝日出版社

 

以上。99パターンも文体見本が載ってる本『文体練習』をご紹介しました。懐に余裕のある方はぜひお買い求めください。