ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

ヘアドライヤーは老いと適応の象徴

今週のお題「爆発」

 

私は25歳まで髪を乾かさないで就寝していた。単純にドライヤーをかけるのが面倒だったのもあるが、髪をまったく乾かさないで寝ても風邪をひかなかった。しかし20代も後半になると翌朝に風邪っぽくなるようになってしまったので、さすがの私も髪を乾かしてから寝るようになった。

髪を乾かさないで寝ていたもうひとつの理由は幼稚な反骨精神だ。天然パーマかつショートカットだった小学生の私は、いつもボサボサの頭で登校していた。そして、一部の男子から「やーい、天パー!」とバカにされていた。からかわれることを気にしていなかったわけではないが、当時の私は誰にも相談しなかったし、髪をセットする努力もしなかった。些細なことで親に心配をかけたくなかったし、からかわれないように自分を変えたくもなかった。自分が人をからかうようなバカ男子に負けるようで、どうしても嫌だった。だから小学生時代はずっと意地でショートカットにしていたし、翌朝のことを考えてドライヤーをかけるなんてこともしなかった。

中学生になると髪を伸ばした。伸ばしてヘアゴムでくくるという方法を母に提案されたからだ。自分には長髪は似合わないと思って敬遠していたが、ヘアゴムでくくれば髪型で悩まなくて済む。少しは成長して他人の意見にも耳を貸すようになっていた私は、母の案を採用した。しかし、ドライヤーはかけないままだった。毎朝髪をといてヘアゴムでくくってまともな髪型にするなどという努力をしてやっているのだから、これ以上譲歩してやることはない。だからドライヤーはかけない。

当時の私は、明文化されていないルール、社会通念とやらに従うのが嫌いだった。強制力のないものにとりあえず従うことが納得できなかった。

実を言うと、ドライヤーで髪を乾かすのは、翌朝の髪型を整える=社会通念上そうする、という意味の他に、本人の健康のためであることを理解したのは25歳を過ぎてからだった。自分が「髪は乾かしてから寝たほうがいい」と実感してはじめて、ドライヤーで髪を乾かすことに納得がいったのだ。学生時代、一人暮らしのワンルームに1台のドライヤーも持たなかった私は、今の部屋に引っ越してきてからようやくドライヤーを買った。私にとってドライヤーは、健康面での老いと、社会通念への適応の象徴である。髪を乾かさなくても風邪をひかない若者よ、今夜もそのまま眠るがいい。そして翌朝、爆発した頭のまま外出するがいい。君はまだ自由だ。

 

追記:この記事の公開後に読者様が増えました! 登録ありがとうございます! 不定期更新のうえテーマも曖昧な匿名素人ブログですが、末永くお付き合いいただけましたら幸いです。