ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

車窓から見た、破滅したベランダ

通勤ラッシュにもまれながら私は車窓から外を見ている。乗り物に乗りながら文字を読むと酔うし、スマホは持っていない。だから私はいつも街の景色を眺めながら出勤している。

ずっと気になっている出窓があった。とあるアパートの一室にある出窓は物が積み上げられており、いつ見ても完全にふさがっている。あれでは開閉できないどころか光さえ入ってこない。換気する以前に採光に問題がある。あれならせめて花瓶かぬいぐるみでもごちゃごちゃと飾ってあるほうがまだましだ。何かを飾ってあるだけなら開閉できなくてもせめて光は入ってくるだろう。

あの部屋の住人はどんな人なんだろう。片づけが苦手なのかな。でも、集合住宅は窓の数が少ないから、出窓がふさがってるのはもったいないと思う。きっと、整理整頓するヒマもないぐらい忙しい人なんだろうな。いつかあの出窓が片づけられて、あの人が明るい(物理)部屋で暮らせますように。私はあの出窓を見るたびにこんなことを思ってた。この時にはまだ心に余裕があったから。

私が心の余裕をなくし、電車のなかで密かにドン引きしたのは、別の部屋を見た時だった。その部屋の異常は窓どころかベランダにまで現れており、思わず引いてしまった。そのベランダにはトイレットペーパーが山積みになっていたのだ。しかもそのトイレットペーパーは、部屋の中からあふれ出しているように見えた。ベランダに通じる出入口の窓を通って、部屋からベランダにあふれている。あの大量のトイレットペーパーを撤去しない限り窓が開閉できないどころかベランダに出られもしない。ほんの数秒見ただけでも十分に異常だった。あれは瞬間的な異常で後に片づけられたのか、それともいつもあんな状態なのか。そもそもあの部屋に人は住んでいるのだろうか。見間違いの可能性もあるが、答えを知りたいとは思わない。初見こそ驚きすぎて引いてしまったが、これからもあの部屋を観察しようと思う。いつかあのトイレットペーパーが片づけられる時は、あの部屋の住人が入れ替わる時だろう。

 

以上。破滅したベランダを目撃した件をお送りいたしました。お願いだから見間違いであってくれ。