マイナポイントをdポイントで申請して無事に7500ptいただいたので、面倒な手続きを経てAmazonで購入した2冊のうちの1冊がこの『異形再生』です。分厚かったですが無事に読み終わったのでご紹介することにしました。Amazonでdポイントを使う手続きが面倒だった件はこちら(⇩)
それではこの「異形再生 付『絶滅動物図録』」をご紹介していこうと思います。
『異形再生』前半、スペンサー・ブラック博士の伝記
本書の前半はスペンサー・ブラック博士の伝記です。ブラック博士は、神話の生物は架空の存在ではなく、現代では絶滅している種族であると主張し、神話上の生物が過去に実在したことの証明に生涯を捧げました。先天的に手足がない人は神話生物の子孫であるとし、しかるべきパーツを移植してやれば、患者は健康になると信じていました。どちらの主張も同僚たちには受け入れられず、博士は勤めていた医学院を離れることになります。それでもめげない博士は妻子とともに各地を巡業しながら自説を主張しました。先天的に腕がない女性に鳥の翼を移植してショーに出演させたり、動物の死体を継ぎはぎして神話生物を作って見せるなど活動し、自身の説に説得力を持たせようとします。観客の中には博士の主張を信じてくれる人もいましたが、医学界には受け入れられないままでした。最終的にブラック博士は行方不明になり、息子が研究を引き継いだ…ということになっています。ここでひとつ注意してほしいのは、スペンサー・ブラック博士は架空の人物であること。この伝記には、博士の家族構成の記述どころかショーのチラシの挿絵まであり、もっともらしく書かれているので危うくブラック博士の実在を信じてしまいそうになりますが、この博士は実在しません。もしもフランケンシュタイン博士が人造人間ではなく神話生物の再生に血道をあげていたら、こんな感じになっていたかも。
『異形再生』後半、神話生物の解剖図
スペンサー・ブラック博士が描いた(ということになっている)、神話生物の骨格予想図です。ブラック博士はあくまでも神話生物=絶滅種だと信じていたので、本書のタイトルでは「絶滅動物図録」となっています。付録という体なので記述されている種はわずか11種。類書と比べると数が少ないですが、骨格に加えて筋肉も描かれており、骨格図というより解剖図となっています。さらには分類も記され、亜種についての記述もあるのが興味深い。本書の表紙から受ける印象とは異なり、もっとも詳しく記述されているのは人魚ではなくハルピュイア(ハーピー)です。人魚の尾びれが背骨に対して縦向きに付いていてちゃんと魚っぽかったり、ヒトの上半身と魚の下半身の繋ぎ目や鰓の構造など、人魚の解剖図も面白いのですが、本書の目玉はなんといってもハルピュイアの解剖図。骨格と筋肉だけならともかく、内臓まで真剣に考察している人はそういないでしょう。呼吸器どころか生殖器の図まであり、卵のなかで育つ胎児(雛)の発育過程まで描かれているのはすばらしい。本書は人魚好きよりもハルピュイア好きに読んでほしい一冊です。
最後に
実用書でもないのに新品のお値段が3200円+税ですが、装丁に加え、三色刷りで印刷まで豪華なので所有欲を満たせる本です。こればっかりは電子書籍では意味がない。電書なら半額ぐらいじゃないと釣り合わない。内容を読みたい人よりも、ファンタジーな蔵書を持ちたい人にオススメです。
以上、架空博士の伝記+空想生物の解剖図『異形再生』をご紹介しました。