こんにちは。夏風邪との戦いが意外と長引いているミーシックスです。次の木曜日で、発症して3週間になります。熱の出ない風邪がこんなに長引くとは思いもしませんでした。今は自分の免疫力の弱さに驚愕しております。風邪をひいていると労働どころか私生活もままならないので闘病に集中するべく、お仕事はお休みしています。しかし休みとはいえゲームばかりしていると目に悪いので、本を読もうと思い立ちました。いや、治りたいんだったらまず昼寝しろって話なんですが、マジで具合悪いと昼寝もできないんですよ。鼻と喉の調子が悪い時に横たわると息苦しいので眠りにくい。かといってこんな状態だとあまり難しい本は読めないので(視力より集中力の問題)、久しぶりになんかライトな内容の本を読もう。しかしライトといってももうライトノベルは趣味じゃないし、ここはやっぱり人文系の新書かな? とAmazonの欲しいものリストを眺めました。シリコンパフ6個セットで700円ほどだから、あと2800円分は何を買おうか。2800円の本を1冊買うことも検討しましたが却下。同じ金額でも一度に届く物は多いほうが楽しいので、1400円×2冊の本を注文することに。
こんな経緯でやってきたうちの一冊が『その本は』です。この本をあえてジャンルづけするとすれば、挿絵付きの小説かな。ところどころ挿絵があるので子供向けに見えますが、その実、内容は大人向けで面白い。ヨシタケシンスケさん、こんなシリアスな本にも挿絵描いてたんだ。ヨシタケ先生の挿絵は内容にとても合っています。すばらしき人選。イラストが主体の部分では文字も手書きになっており、絵本を読んでいる気分。プロローグとエピローグのイラストには、この本そっくりの本が登場しています。その本がその本に登場するというこの構図、エンデの『はてしない物語』で見たな。あれのイラスト版だと思うとクスッと笑えます。
奇妙な特徴を持つ「その本」の短文レポートと、絵本の抜粋のような軽い読み物のくりかえしで最後まで進むのかとおもいきや「第7夜」で異変が現れます。なんと、急にシリアスな「交換日記」が展開されるのです。これが短編小説ばりの文章量でして。「第7夜」を読んでいると、自分が「本の話を集めた本」を読んでいることを忘れてしまいます。作中作のボリュームじゃない。これはまた別作品のために温存しておくべきアイデアだったのではないかと、失礼ながら心配になってしまうほどの完成度でした。シリアスな「第7夜」をすぎて「第13夜」とエピローグに至れば、そこで物語はおしまい。プロローグを含めて全15章なのですが。ループものだと解釈すれば章の数は無限とも言えます。あるいは無限の入れ子構造(マトリョーシカ)か。母に読んでもらったら「いや、べつにループはしてないでしょ。ただ単に『その本』の物語をでっちあげて延命しようとしてるだけじゃないの」と言われましたが。私はこの本、ループものだと思うんですよ。そうじゃないと、一文目と最後のセリフが一致してる必要がないでしょう。少なくとも、これが一致しているところまでは又吉さんの意図したところで、問題は読者の解釈ではないかと。私は初読で「そうきたか! ループものだ!」と思ったんですが。いつか弟にも読んでもらおう。そして解釈をきいてみよう。
以上、『その本は』読んでみた件でした。