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【ラヴクラフト】『アウトサイダー』 恐ろしき老人を眺めたい。

申し訳ありませんがご新規さまに配慮した記事は前回でお終いです。今回からは趣味全開でお送りしていきます。ということで、安いから読んでみた小説第三弾。今回はラヴクラフトアウトサイダー新潮文庫です(⇩)

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新潮文庫は安くて助かりますね。高校時代に星新一ショートショート集を何十冊も買い集められたのは新潮文庫の安さのおかげです。おかげさまで全集を買うに至ったので新潮社さまには頭が上がりません。星新一ショートショート全集『ショートショート1001』を発行していただき、ありがとうございました。現在では新品入手不可になっているようで残念…おっと失礼。話をラヴクラフトに戻しましょう。新潮文庫になっているラヴクラフト作品集のうち、もっとも安価だったのがこの『アウトサイダー』です。本文は233ページですが、収録数はなんと15作。ほんの十数ページで終わるものが多いので、古風な文体のわりには読みやすくて助かりました。今回も翻訳者の南條氏が編者を兼任しており、収録作はオリジナルセレクトだとか。収録作をざっと読んだ印象は「まだ設定が固まっていなかった頃の習作かな?」「夢を本来の居場所だと思い込んでいる男は、ラヴクラフト自身がモデルなのかも」「怪異に立ち向かうとは驚き!」でした。収録作「忌まれた家」では主人公が叔父とともに怪異に立ち向かう姿勢を見せます。おまけに「相手に実体があるかどうか」を考え、武器を2種類も持ち込む周到さ。夢のなかで暮らしたいと願い、本当にそちらの世界へ行ってしまった男たちと比べたらずいぶんと実際的な態度で驚きました。「忌まれた家」の主人公は、わずか5年の間に7人もの人が死んだ不吉な家を調査し「血族が標的になっているわけではない」「家の地下にいる何者かが家に住む人間を殺している」という仮説を立てます。そして、その何者かを退治するため叔父とともに地下室で夜を待ち、それと対決したのでした。勝敗は読んでのお楽しみです。

「忌まれた家」の他に印象的だったのは「ウルタルの猫」「恐ろしき老人」「霧の高みの奇妙な家」でした。猫好きなら「ウルタルの猫」ははずせませんね。長年にわたり遊び半分で猫を殺してきた老夫婦にどのような罰がくだったのかは本文をお読みください。それにしてもこのエジプト風の集団についている神さま(?)はすごい。少年の祈りに応えているし猫を操れるようです。正体は…しいて言うならバステト様なのでしょうか。作中では明言されませんが。

次に「恐ろしき老人」「霧の高みの奇妙な家」について。この2作には同一人物「恐ろしき老人」が登場するので連作といってよいでしょう。若い頃は船長だったという「恐ろしき老人」は高齢すぎて年齢不詳のうえ、街の人々との交流が少なく、本名を知る人も少ないとのこと。この老人は3人の強盗を撃退できるほど強力な魔法使いのようです。そんな老人でも中の様子を知らない謎の家が「霧の高みの奇妙な家」なのです。なんでもこの家は、老人の祖父が少年の頃から今の姿でそこに建っていたのだとか。この家の出入口はなぜか海側にあり、おまけに足場がありません。どうやらこの家の住人は空中から戸口に出入りしているようなのです。この家に住んでいるのはいったい何者なのか。好奇心に負けてこの家を訪問した主人公トマス・オルニーの運命やいかに…というお話です。オルニーが無事に戻ったのかどうかは置いておくとして、あの老人と仲良くなるとはすごい。いくら哲学者とはいえ、偏屈そうな老人の家に招かれるなんて。よほど気に入られたようです。学識のある人ならば言語にも通じているのでしょうか。この老人はおそろしく高齢のようですから、話す言葉も若者とはずいぶんちがうでしょう。この老人が話す言葉は「とうの昔に消滅したと思っていた〇〇方言の極端な形」だったかもしれません。あるいは古いスペイン語か。なんにせよ老人を会話する気にさせた時点でオルニーはかなりの言語通だったのでしょう。好奇心が強すぎるのが玉にきずですが、すごい人だったんだな…あの老人とどんな会話をしていたのやら。私はこの老人と話してみたいとは思いませんが、遠くから眺めたいとは思いますね。なんせ長身痩躯の老人らしいので。きっと、おそろしく背が高くて威圧感があるのでしょう。悪役には腕の太さよりも上背で威圧してほしい派なので、同じ街で暮らしていたら見るたびにどきどきしていたかも。いろんな意味で。

他にも「アウトサイダー」のオチが衝撃的だったり「家の中の絵」の映画的な演出に感動しながら無理のあるオチに笑ったりしたのですがキリがないのでこのへんで。

 

以上、ラヴクラフトアウトサイダー』を読んで恐ろしき老人を眺めたくなった件でした。Amazonリンクはこちら(⇩)

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