残暑が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。相変わらず気温は高く陽射しは強いですが湿度は下がり、日照時間が短くなってきたので、かなり過ごしやすくなってきましたね。ありがたや。夏の終わりが近いようなので今日はセミの話をします。といってもちょっとしたエピソードなので短い記事になるかと思いますが、これも私の夏の思い出にはちがいありませんので。
ここで言うセミは、そう、あの、昆虫の蝉(以下、セミ)です。夏のある日、ご近所のドラッグストアに向かっていた私は、思わず立ち止まりました。とあるオフィスビルの玄関前で、ひっくりかえったセミをみつけたからです。日本で暮らしていると夏の間はしょっちゅう「ひっくりかえったセミ」を目撃することになりますから、仰向けになったセミ自体は珍しくありません。また、私は昆虫の知識がないのでセミの種類を見分けることができません。なので、その玄関前にいるセミが珍しい種類なのかどうかも、オスなのかメスなのかもわかりませんでした。
ではなぜわざわざ足を止めたのかというと、そのセミがジタバタしていたからです。それほど派手な動きではありませんでしたが、哀れにも6本の脚で宙をかいていました。みなさんご存じの通り、力尽きて木にしがみついていられなくなったからこそセミが地面に転がっているわけですから、ひっくりかえったセミが生きているのは珍しいことです。たまに、静止しているくせにまだ生きているものがいて、近寄ったらジジジッと鳴かれてビビったりしますね。しかしあれは例外だからこそ驚くのであって、地面に落ちてひっくりかえっているセミは基本的に死んでいるものです。それなのにこいつは生きているらしい。そうなったら助けてやりたくなるのが人情でしょう。幸いにしてセミの近くには落ち葉がありました。私はその落ち葉をそっと拾い、セミの体に対して垂直の角度にして、ゆっくりとセミの足に近づけました。するとセミは葉っぱの気配に気づき、6本の脚でしっかりと落ち葉にしがみつきました。それを確認した私はそっと落ち葉を放します。するとセミの重さで落ち葉が倒れ、セミの背が地面から離れました。自分の体勢が変化したことを感知したセミは落ち葉から脚を放し、地面に脚をつけました。これでセミの腹が下向きになり、このセミは通常の体勢になれたのです。
やっとうつ伏せ(通常体勢)になれたセミはまだ静止せず、地面の上でゆっくりと脚を動かしました。地面の感触を確かめていたのかもしれませんが、私には「やれやれ」と言っているように思えました。セリフにすると「はー、やれやれ、やっと元に戻れたぞ。葉っぱが落ちてきて助かった」という感じでしょうか。目の前にいる私のことに気づいているのかいないのか、危機感のなさそうな、なんともユーモラスなしぐさでした。この日、私は初めて知ったのです。セミにも「やれやれ」という気持ちがあるのだと。え、なんで「私にありがとうと言っている」と解釈しないのかって? いや、それはさすがに擬人化しすぎかと思いまして。あと、セミからすると人間って山みたいに大きいので生物だと思われてない気がしますし。だから、きっと「やれやれ」と思ってるんだろうな、と。
…おや、意外と長い記事になっていますね。長くなったついでにお伝えしておくと、通りすがりで虫を助ける場合は
・素手でつかまない
衛生面の問題もありますが、素手だと力加減が難しく、うっかり握りつぶしてしまったらかわいそうなので素手は避けましょう。
・その虫の脚でつかめそうな大きさ・厚さの物を使う
昆虫の脚は木にしがみつきやすくなっているので、胴体に対して垂直の角度で物をあてがうとしがみついてくれます。脚の間にそっと置いてあげましょう。
注意事項はこれぐらいですかね。幼少期にはたまにカナブンを助けていたので虫助けにには知見があります。ご参考までに。
以上、虫助けのコツを伝授しま…あれ、記事の主旨がちが…まあいいか。