5冊まとめ買いしたうちの1冊、第4弾。今回はPHP文庫い101-1、稲垣栄洋著『面白くて眠れなくなる植物学』です。
PHP研究所の公式サイトによると植物のミステリーを解き明かす本らしいのですが、読んでみた印象は植物系の雑学を集めた本ですね。専門知識のない素人むけに、1項目あたり10ページ以内でさくっと解説できるネタが集められています。しかしまあそんな都合の良いネタはそう多くないので、以前読んだ『植物はなぜ動かないのか』とかぶっているネタもあります。分野が同じ、著者も同じ本を複数読んでいると内容が重複するのはいたしかたなし。『植物はなぜ動かないのか』を読んだのはずいぶん前なので、復習になってよかったです。
特に面白かったトピック
・木はどこまで大きくなれるのか?
・トリケラトプスの衰退と植物の進化
・紅葉はなぜ赤くなる?
・竹は木か草か?
・植物はなぜ緑色をしているのか?
・植物の血液型は?
・ねこじゃらしは高性能植物
・オスの木とメスの木
数々のトピックのなかで印象的だったのは上記の8項目でした。現存する木のなかでもっとも背が高いのはアメリカに生えているセコイアメスギで115m。木が水を吸い上げる原理からして、理論上の限界は140mだそうです。このまま温暖化が進んで恐竜の時代くらいの気候になればまた100m級の巨木が増えるのか。恐竜といえばトリケラトプスの分析も面白くて、同時代の首長竜たちとちがって首が短く、口が下向きだったのはなぜなのか解説されています。トリケラトプスは木の葉ではなく草を食べるために進化したのであのような口になった。しかし植物のほうが進化が早くて、やがて生成されたアルカロイド系の毒にトリケラトプスは適応できず、食べ物が減って衰退していたそうです。植物は動きませんが黙って動物に食べられる義理はないので毒性物質をつくって抵抗するのですね。牙や爪で戦う動物よりも静かで賢いやり方です。他に「植物は賢いな」と思ったのは、葉を落とすこと。木の葉は光合成をして糖分をつくる部分ですが、日射量が減るにつれて生産効率が落ちていき、ついには赤字になる。そこで本体である幹は葉を落とすことを決断し「離層」というものをつくって葉に栄養がいかないようにする。しかし葉は活動を続けるので、やがて赤くなって落ちる。つまり、落葉とは木の葉の大量リストラなのです。なんとなくわかっていたけれど、道に落ちた葉はみんな幹に見放されたのだと思うと哀しい。
興味深かったのは、竹は木なのか草なのか論争は決着していないこと。専門家のなかでも意見が割れているのだとか。木・草という区分は便宜上のもので自然界にはないので結論が出ていないようです。竹自身にとってはどっちでもよさそうですが。残りの4つもなかなかに面白かったのですが、書けば書くほどネタバレになってしまい、本を買う楽しみがなくなってしまうのでこのへんで。ひとつだけ言えるのは、小さなお子さんがいるおうちには1冊備えておいたほうがいいってこと。これを読んでおけば「なんで紅葉は赤いの?」「なんで草は緑色なの?」という問いにさっと答えられるので、お子さんから尊敬されることまちがいなし。
以上、『面白くて眠れなくなる植物学』読んで植物に思いをはせた件でした。Amazonへのリンクはこちら(⇩)