「都市伝説解体センター」ファンのみなさん、こんばんは。一周年記念の巡回展「全国解体大巡廻」展は残すところ北海道のみとなり、6月中にはいったん熱が冷めそうですね。コンテンツとしての盛り上がりはここまでで忘れ去られるのか、あるいは2周年で盛り返すのかは公式様のみぞ知ることですが、できれば2周年記念にも何かしてほしい。日々エンタメが過剰供給され、インディーズゲームも無数に生まれている昨今では難しいかもしれませんが、もう少し延命してほしいです。
そういうおまえ自身の熱はどうやねん、と言われると…ノベライズを4冊読んだ程度です。2周めこそプレイしていませんがノベライズに手を出す程度にはハマりました。どの登場人物もビジュアルありきなので小説という文字しかない媒体で表現されても魅力ないだろうな、なんて失礼なことを考えていましたが、幸いにして「断篇集」の2冊はゲーム本編のドット絵が挿絵に使われており、小説でありながらイラストも堪能できてうれしかったです。「断篇集」は2冊ともステッカー付きでお値段以上の素敵な装丁なのでオススメ。
ということで、実はここからが本題。「都市伝説解体センター」ノベライズ、みらい文庫『真実を暴きだせ』の感想をお送りいたします。
まず、全体的な感想としては「ジュブナイルだけどラストが良かった」です。集英社のみらい文庫は主に小学生むけの作品を出しているようです。いわゆるジュブナイル系なので、本書『都市伝説解体センター 真実を暴きだせ』は改行多め・文字数少なめ・挿絵多めで読みやすい。ページ数は本文202ページで、内容的にも物理的にもコンパクト。大人が読むと長編小説を読んだ時の満足感は得られないものの、ゲームを起動させなくても物語を読み返せるのは良いところ。ひとつ注意してほしいのは『真実を暴きだせ』は下巻に相当するので、ゲーム本編の後半しか描かれていないこと。本書には、ゲームで言うと第4話「漏れ広がる邪悪」と第5話「罪人の影」と第6話「崩壊と審判」が収録されています。私はノベライズ独自のラストシーン読みたさに買ったのでいいのですが、物語の全編を読みたければ上巻にあたる『怪異を解き明かせ』もお買い求めください。そうしないときのこ・山田ガスマスクの活躍が見られませんのでご注意を。
それでは本書の各章について具体的に…といっても、内容自体は「限界まで文字数を少なくしつつゲーム本編の物語を再現」といった感じなので、特にコメントすることはないですね。しいて言うなら、文字数の都合なのかして登場しないキャラクターがいることくらいでしょうか。具体的には警備員の井上さんと、クローゼットの司書さんが登場しません。あんな重要人物が登場しないとは大胆な構成ですね。司書さんファンの方は要注意です。ついでに言うとあざみと富入さんの会話も限界まで削ぎ落とされているので、あの名セリフ「私、貴方のそういう所、好きよ」は読めません。なんてこったい。あざみの「色んな所に色んな人がいます。一括りにはしたくないです」とともに重要なセリフだと思うんですけどね。多様性を認めるシーンこそ、お子さん方に読んでほしかったので残念です。
さて、この記事も終わりが近づいてきました。最後に、肝心のラストシーンについて。前述の通りこれを読みたさに買いました。『断篇集 痕』の巻末広告に「エンディングのオリジナル展開は必読」とあった*1ものですから。ただ小説化しただけではなく独自のエンディングを迎えるのならば読んでみようと思ったしだいです。これが絶妙な塩梅でして、ゲームのエンディングに前後を付け足した感じでした。あざみはどんな気持ちでジャスミンを待っていたのか。ジャスミンの「廻屋とあざみはなぜ、如月歩の復讐が終わったあとも存在しているのか」という問いは鋭いですね。その理由に思い至ったジャスミンがどうしたのかは本書を読んでいただきたいのですが、私の気づきをひとつ。この世界線のジャスミンさん、もしかして警察官を辞めたのでは。じゃないとあんなこと言えないと思うんですよね。しかし「解体センターを追いたいから」なんて理由での退職が認められたのでしょうか。特に富入さんから反対され…ないか。富入さんはジャスミンを人間としても信頼してるでしょうから「好きにしなさい。ただし、次は一から階級を上げることになるわ。以前のような権限は持てません。その点は覚悟しなさい」とでも言って送り出してくれたんでしょう。そう思うとお優しい。富入さんはどの版に登場しても株を上げるんですね。
以上、ジュブナイル小説『都市伝説解体センター 真実を暴きだせ』読んでみた感想でした。なかなか良いラストでした。Amazonのリンクはこちら(⇩)
*1:あとで確認してみたら、上巻に相当する『怪異を解き明かせ』の広告でしたが。