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文芸誌みたいなムック『GOAT』2号読んでみた。安くて厚くて最高!

みなさん、小学館から不定期刊行されているムック『GOAT』はご存じでしょうか。

dps.shogakukan.co.jp

この書名は英語でヤギを意味するGOATとGreat Of All Timeをかけて名付けられたそうです。内容はほぼ文芸誌ですが、不定期刊行であることを除いても並みの文芸誌とは一線を画す存在感があります。まだ読了していませんが、ざっと特徴をあげると

・お値段は「ゴート」にかけて510円

・用紙にこだわっており巻末に「資材リスト」がある

・とにかく分厚い(2025年Summer号の厚みは約3cm)

・物理的に重い(この号の重さは約700g。愛用しているiPadより重い)

以上です。要するに、不定期刊行されている安くて分厚くて重い文芸誌ってこと。物理的に重いので寝そべって読むのには不向き(手首への負荷がすごい)な点だけが残念ですが、その他はほぼ理想通りのすばらしい文芸ムックです。今回はこのムックの魅力をお伝えしたいと思います。私はずっとこういう文芸誌が読みたかったんです!  号ごとに特集がちがうので連載小説はなさそうだし(続きはウェブで、という作品はあるけど)書籍は紙派なので紙質にこだわってくれるのは嬉しいし、分厚くて掲載作が多く、読み応えがある。それなのに安い。おまけに表紙のゴートくんがかわいい!  まさに私のような「小説は読むけど文芸誌は読まない」という人間のためにあるようなムック!  小説を読むのは好きだけど既存の文芸誌には不満がある人にむけて刊行されていることが伝わってきます。季刊ですらなく不定期刊行なのは残念といえば残念ですが、不定期刊行にはそれなりのメリットがあるのでしょう。定期刊行しないので購読者という概念がなく、購読者を獲得するために知名度や人気が高い作家の作品を優先的に連載する必要がない。無名作家の作品は掲載しない、なんてことにはならない。不定期刊行だからこそ編集部は締め切りに追われることなく、本当に掲載したい作品をじっくりと集め、納得のいく構成になってから世に出すことができるのでしょう。もしかしたらこのムックは出版界で「そんな夢みたいな文芸誌つくれるわけないでしょ(笑)」と言われ続け、どこかの出版社で誰かが提案するたびに却下され続けてきたアイデアなのかもしれません。この厚みでこの安さは驚異的です。誰だよ、紙の本は厚みと値段が比例するって言った奴は(自分だ)。小学館の執念が感じられます。本当にすばらしいものをつくってくれました。小学館『GOAT』担当のみなさまには心からの感謝を。特に第2号『GOAT Summer2025』特集「悪」は最高です。黒地に緑字の表紙がかっこいいし、ゴートくんの悪っぽい笑みも素敵。掲載作もすばらしかったです。明確な悪役に頼らない卑近な「悪」の数々!  ヒトコワならぬヒトイヤ系*1の短編が集められていて、本当にすばらしい。よくよく考えれば「悪」というのは概念なので、現実の悪は現象なわけで。悪が確固とした存在(悪役)に集約されている世界はフィクション。「世の中の悪しきことが全部、誰か一人のせいだったらいいのに」なんて願望を具現化したものがフィクションの悪役なんですよね。これを思い出させてくれただけでも読む価値がありました。特集「悪」に惹かれて「ディズニーヴィランズばりの美麗な悪役」か「ゴッサムヴィランズばりのいかれ具合の悪役」が活躍する小説が読めるのではないかと期待してしまった自分の子供っぽさを反省。

 

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蛇足:GOAT1号の特集「愛」は第4刷、GOAT2号の特集「悪」は第2刷だそうです。文芸誌が増刷されるとは異例ですが、これも不定期刊行のなせる業か。定期刊行なら購読者申し込みしたのに。とりあえず、増刷おめでとうございます。

*1:ヒトコワは「人が怖い」の略で、怪奇現象と思われたことは生きた人間のしわざだった、という内容のホラーを指す言葉。これに対してヒトイヤは私の造語で「人が嫌だ」の略。人間の嫌な部分に注目して書かれ、嫌悪感を持たせる内容の作品を指す。