ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

炭火焼ステーキが食べられる奇跡の店にはお世話になりました。

今週のお題「肉」

 

幼少期、家族ぐるみでお世話になっていたステーキハウスがある。郊外にあるファミリーむけの店らしくお子様連れ歓迎。ベビーカーOK、お子様用イスあり。焼かれた肉の香り漂うホールの一角にあるイスには、いかにもお子様ウケしそうなキャラクターぬいぐるみ(大)が座らされていた。そのくせディナータイムには一人前一万円のコースがあり、予約すれば数十万円のワインでも仕入れて提供してくれるという妙な店だった。

このステーキハウスは鉄板に調理済みの肉が乗せられて提供されるタイプの店ではなく、客がセルフで焼くタイプである。この形式はステーキハウスというより焼き肉店のほうが近いだろう。テーブルの中央には囲炉裏があり、そこにウェイターさんが炭をセットして網をかぶせてくれる。あとは網が十分に温まるのを待ち、客が自らの手で野菜と肉を焼いていく。この過程を見ているだけで外食感が高まり、子供心にテンションが上がった。インドア派の両親に育てられた私がバーベキュー経験もなく「炭火焼はうめえ」と学習できたのはこの店のおかげである。ありがたや。ブランド牛という概念を知る前に神戸牛を食べて「ヒレ(ヘレ)肉うめえ」と思い、生まれて初めて炭火焼の松茸を食べて「めっちゃいい香りしてうめえ」と思った。

お子様歓連れ歓迎でセルフスタイルというカジュアルさでありながら神戸牛が食べられるこのステーキハウスを両親はいたく気に入り、年に数回通ってくれたおかげで我が一家はめでたく常連に認定された。おかげさまで私と弟にはコップではなくビールジョッキ(小)でお冷が提供されるようになり、時にはメニューにない美味しい苺をデザートにこっそり食べさせてもらったりと優遇されるようになった。今思えば、あの奥まったコーナーは常連様用だったのだ。もちろんあの苺の代金だってきっちり請求されたはずだが子供の私には関係なかったし、他の客に隠れてメニューにないものを密かに食べるのは得も言われぬ背徳感があったのでワクワクした。オーナーが客のいるテーブルに挨拶しに来てくれるような小規模独立系飲食店ならではのエピソードだろう。大人になった私はドライな接客と明朗な会計のチェーン店を好んでいるものの、幼少期に特別あつかいしてもらったことは良き思い出である。あのステーキハウスは末永く営業していてほしい。

 

追記:この記事の公開後に読者様が増えました! 登録ありがとうございます! 不定期更新で匿名かつ素人のブログですが、末永くお付き合いいただければ幸いです。