ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

エロール・ル・カイン絵『フォックスおくさまのむこえらび』 ケモノ好きなら一度は読んでみて。

目次

 

今回、ご紹介するのは絵本『フォックスおくさまのむこえらび』です。エロール・ル・カイン絵で、ほるぷ出版から1983年に初版が出ています。

以下、リンクを兼ねた表紙の画像です。

 

 

私は一時、エロール・ル・カインの絵本を集めていました。この『フォックスおくさまのむこえらび』も、お話を知らずに挿絵が目当てで買いました。結果、大正解でした。私は動物キャラが好きなんですよ。この絵本では動物が擬人化されており、登場人物ならぬ登場動物になっています。主役はフォックスおくさまですが、一番出番が多いのはメイドさんのミス・キャット。キツネとネコの組み合わせは、西洋童話では鉄板のようですね。この絵本の原作はグリム童話「奥さまきつねの結婚」のバージョン2みたいです。バージョン1だと、夫の古狐が死んだふりをして奥さまを試すらしい。

「奥さまきつねの結婚」のあらすじを知りたい方は、以下のリンクをどうぞ。

grimmdowaclub.net

 

登場動物一覧

フォックスおくさま:若くして夫を亡くし悲嘆にくれている女狐。屋敷の持ち主?

フォックスさん:おくさまのだんなさま。亡くなっている。しっぽが九本もあった。

ミス・キャット :メイドの雌猫。おしゃれで働き者。目は緑色。

求婚者たち:オオカミ・ライオン・イヌ・ヤギ・シカ・クマ・

      しっぽが1~9本の男狐たち

 

読みどころ

表情が豊な動物たち

それぞれの動物の性格は文を書いた人がつくっています。文を書いた人のイメージが反映されているのでしょう。中にはあまり好意的に描かれていない動物も。とりあえず、オオカミ好きの方は読まないほうがいいかも。それぞれの動物がどんなふうに描かれているかは読んでのお楽しみ。

 

カバー袖には

ユーモアあふれる絵本です。おくさまにことわられ、ガッカリしてかえっていくどうぶつたちのかおつきが、いちばんのみもの!

と書かれています。

確かに、ガッカリ顔も見所のひとつ。彼らは動物なのですが、絵なので表情が豊かです。ある者は悔しそうに、ある者は悲しげにおくさまの屋敷から去っていきます。もちろん、求婚者たちに応対するミス・キャットも、様々な表情を見せてくれます。高貴な客にはにこやかに、卑しい客には顔をしかめながら、来る日も来る日も求婚者たちに応じるのです。大変ですね。

 

フォックスおくさまについて考える(ネタバレ注意)

ただでさえフォックスおくさまは、夫を亡くしたとたんに次々と求婚者が現れるぐらいの美人です。そんなおくさまが一番美人に見えるシーンは、喪服で寝椅子に横たわってお菓子をつまんでいるシーン。紫色のアイシャドウがとてもお似合いで、まつ毛が長く、頭身が高くてすごく美人に見えます。擬人化キツネがお好きな方は必見じゃないでしょうか。肌の露出はありませんが。

さて、このおくさまについて考えてみるのも、楽しみのひとつ。再婚相手に望むことが外見ばかりである点について考えます。どうやらこのおくさまは、亡き夫の性格ではなく外見を愛していたらしい。

おくさまが再婚相手に望む条件は、

・しっぽが九本であること

・毛皮がえんじ色であること

・そろいの色の靴下をはいていること

です。見事に外見の話ばかりですね! 以前のだんなさまは、この条件に合ったから結婚したのではないでしょうか。こんな無茶な条件の相手が一人みつかった時点で奇跡的です。しかし、こんな無茶な条件に合う相手が、またみつかってしまいます。なんと、最後の求婚者はしっぽが九本あるキツネだったのです!

おくさまは

「おうけしますわ あなたこそ わがおっと」

と、この求婚を受けます。仮に一日につき一人の求婚者がいた場合、この日はだんなさまが亡くなってからまだ15日目です。おくさま、薄情すぎ。条件に合えば誰でもいいんかい! しかも、どうやら二人は結婚後、ずっとお屋敷でダンスパーティをしているらしいのです。もしここが夫の屋敷だったら、二人は出て行くはずですから、この屋敷はおくさまの持ち物なのでしょう。つまり、おくさまは美人のうえに資産家なのです! うらやましい! それなら男はよりどりみどり、おむこさんへの条件が外見ばかりになっても仕方ない気がします。なぜなら、この屋敷に欠けているのは「完璧なだんなさま」だけだから。

 

あなたなら誰と結婚したいですか?

最後に。自分がフォックスおくさまの立場だったら、誰と結婚したいかを考えながら読むのも楽しいです。私なら、ダントツで「シカのわかしんし」が好みです。りりしいお顔! ぶっちぎりでハンサムだと思います。本文では若紳士ですが、挿絵では王冠らしきものをかぶり、王様のように描かれています。ここはル・カイン氏の解釈でしょう。

 

以上。絵本『フォックスおくさまのむこえらび』の紹介でした。

動物の手が手袋でごまかされてないのも、お気に入りのポイントです。

 

 

※本記事は2022年3月12日に修正してタグを加えました。