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【ネタバレ注意】ディズニー小説『ホール・ニュー・ワールド』読了して怒る。

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小説版ディズニー「ツイステッドテール」シリーズより「アラジン」を元にした『ホール・ニュー・ワールド』上下巻を読了しました。舞台は同じ砂漠の国アグラバーなのに、起きることが悲惨すぎる。エンタメ作品ではあるのですが。図書館だったら「YA(ヤングアダルト)」というティーンエイジャー向けの書棚に入れられていること間違いなしのジュブナイル小説ではあるものの意外と人が死ぬし、市街地が爆発したり城の一部が焼けたりするし。おまけに死人(グール)の軍隊が登場するし。劇場版アニメとちがってホラーテイスト増し増し。おまけにあの愛くるしいオウムのイアーゴが登場しない(正確にはしょっぱなから退場してる)し。なんつうか…いや、真面目に考えればむしろこうなるだろという展開ではあるのですが。アニメ版がご都合主義すぎるだけで。アラジンに「ほぼジーニーのおかげじゃないか」「移動は魔法のじゅうたんまかせかよ」「努力家のジャファー様を見習え」というツッコミを入れた人は数知れずいると思んですよ。だから、今作のめっちゃがんばるアラジンはアニメ版よりも好感が持てるのですが。ジャスミンも父王の性格に問題があったことを認めて反省してるし。しかしまあ読了直後の感想は「何もかも身分制が悪いっ」でしたが。作品の外側から大人げないツッコミ入れんなや。いやでもね、これ読むと「身分制って悪しき制度だったんだな」「現代に残ってなくてよかったな」としみじみ思いますね。ジャファー様の生い立ちについても少し書かれていてよかったです。公式作品に書かれている内容ならば公式設定なわけですよね。実写版でも貧しい出自をにおわせてましたし、どうやら本当に苦労人のようです。そんな人が苦労のくの字も知らない生粋の王族(しかも無能)の下で働いてたらそりゃムカつくでしょうよ。そんでもって王もジャスミン王女もそれをまったく想像できないとくればもう憎まれて当然でしょうよ。悪役派というかジャファー様派の私としては、あの王を突き落とすシーンは小気味よくてスカッとしましたね。勧善懲悪の必然から悪役は必ず死ぬのだとしても、同時に諸悪の根源も滅ぶべきじゃないですか? こればっかりは悪行よりも善行に数えられるべきかと。いや、人殺しではあるんですけど。あるんですけどね? せっかく小説なんだし。アニメ版ではポリコレへの配慮が必要になるのでどうしても小動物や子供や老人への暴力は禁じられてしまいますが、小説ならそこまでの制約はないわけで。やっぱりね、死ぬべき人は死ぬべきだと思うのですよ。悪役が死ぬのが物語の必然ならば無能な王が死ぬのは政治の必然だろうと。思うのですよ。今作ではジャファー様が奇人を通り越して情緒不安定な人物になっているのが残念でしたが。もしもジャファー様が達観した人だったなら、イアーゴにこう言ってくださったのではないかと。

玉座になんぞ興味はない。あれは無能のための椅子だ。あの王は、国王以外の何者にもなれぬ。だから、しかたなくあそこに座っているのだ。あの無能のことなど放っておけ。奴について考える時間ももったいない」

と、言ってくださったならば。そして、ジャスミンが王とジャファー様の間に立って、ジャファー様のご不満をきいてくれていたら。きっともっと、すべてが穏便に…アグラバーは平和だったはずなのです。こう考えると今回は当事者全員が悪いですね。あのような血みどろの事態になってしまったのは全員が闘争を選んでしまったからです。しかしまあこれも大人げないツッコミではある。闘争はフィクション(特にエンタメ作品)の必然ですからね。ぶっちゃけ、平和なアグラバーになんか誰も興味ないんですよ。それこそ住民じゃない限りは。しかし今回は魔法のじゅうたんもオウムのイアーゴもジャファー様も死亡エンドだからなあ。どう考えてもこの世界線の続編は無理なんだよな。そう思うと劇場版アニメの「ジャファーの逆襲」でジャファー様が魔神モードで続投してることには心から感謝しなくちゃな。ジャファー様はゲームの「ドリームライトバレー」にも出演なさったみたいだし、やはり人気者でいらっしゃる。ご安心くださいジャファー様。アグラバーでは嫌われ者でも、作品の外ではめちゃくちゃ愛されてますから。ジャファー様よ永遠なれ(私の胸のなかで)!

 

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