ディズニーの実写版「リトル・マーメイド」みてきました! カットされたシーンや細かな設定変更はあれど、ストーリーの流れはアニメ版とほぼ変わらず、すばらしい!残念ながらセバスチャンがお城のコックと台所で戦うシーンはありませんでしたが、全体的には大満足です。 歌唱シーンは実在生物を躍らせているので少し不気味でしたが。字幕版で聴いてもアリエルの歌声はアニメ版(日本語吹き替え版)とほぼ変わらず、ちがう言語で聴いているのを忘れるほど。アリエルが秘密の洞窟で歌うシーンで初めて、本作のアリエルを「アリエルだ!」と感じられました。実写版のキャラクターはどれも静止しているとコレジャナイ感がありますが、動いて話してくれると、ちゃんと「あのキャラだ」と思えます。本作は背景の海も実写風なので画面が全体的に薄暗く、アースラ様のお美しい触手のクネリ具合がよく見えないという弊害はありますが、映画館は暗いので臨場感があり、これはこれで良い。アニメ版よりも画面が暗くなってアースラ様の姿がよく見えないことは制作陣も承知のようで、いくつか工夫がされています。アースラ様の顔まわりに光るパーツをつけることでバストアップ場面を華やかにしたり、黒い触手の裏側を青白く光らせて動きを強調したりして、アースラ様の動きを見えやすくしてくださったのです。おまけに、アースラ様が棲家で探し物をするシーンでは、上半身にある腕とは別に触手(足)が勝手に戸棚を開けてビンをつかみ、ご本人の眼前に差し出します。どうやらこの黒い触手は、アースラ(脳)の指示がなくても動けるようです。おそらくこれは実在する蛸の性質を参考にした演出でしょう。実在する蛸は脳を経由することなく足と足が互いに情報交換し、脳に頼らず自律的に動けるようです。吸盤が青白く光るのは映画的な演出ですが、この足の自律的な動きによって蛸型人魚の生態の演出が現実味を増している。この点は特にグッジョブ! アースラ様推しからすれば、この探し物シーンだけでも十分に観る価値のある映画です。アースラ様の演出だけでもこの調子なのですから、他も推して知るべし。蟹のセバスチャンは音楽家ではなくトリトン王の執事という設定ですが音楽センスは抜群で惜しみなく歌ってくれるうえに、地上では歩くたびに固そうな足音がして甲殻類らしさを発揮。トリトン王は実写で半裸なのはマズいのかして貝でできた鎧を着ていますが、女性人魚の胸元はブラジャーではなく鱗で覆われており、防具はともかく衣類を着る文化はなさそうなデザインになっています。これもまたグッジョブ! アリエルにとっては靴どころか服を着ること自体が初めての経験であり、だからこそ、あの青いドレスが特別なのですね。初めてもらったドレスを着て裸足で城に戻る。アリエルにとってはこれが人間らしさと自分らしさの適度なバランスなのかも。エリック王子と地上で暮らす決意をすれど、自分らしさは忘れない。美しいドレスは着るけれど、窮屈な靴は履かず、自分らしく歩く。犬のマックスとともに現れたアリエルのあの姿を見ただけで、アリエルの決意がわかる。思えばニクい演出ですよね。トリトン王の魔法なら人間の足だけではなく靴まで用意できたのでは? それなのにアリエルが靴を履いていないのは、やはり決意の表れなのではないでしょうか。この点はアニメ版では気づきませんでした。本作ではアースラがアリエルのおばを名乗ったり、アリエルの母(王妃?)は人間に殺されたという話があったりします。こうすることで、アースラが権力に執着するのはアースラも王族の血筋だからだとわかったり、トリトン王が人間を敵視する理由が理解できたりする。本人たちの事情を深掘りすることで、より人情味が増しているのも良いところ。いやあ、久しぶりに良いものを観ました。本作は幼少期にアニメ版を観ていた人にこそオススメしたい。自分の視点の変化や、キャラクターや演出への理解度が上がっていることがわかり、観客としての成長が実感できます。これを機に食わず嫌いしてた他の実写版も観てみようかな。
以上、実写版「リトル・マーメイド」みたら、ストーリーそのままで素晴らしかった件をお送りいたしました。
追記:映画のパンフレットに加えて、例のポケモンTシャツもちゃんと買えました! 我ながら良き一日でした。幸せだなあ。
追記2:この記事の公開後に読者様が増えました! 登録ありがとうございます。アニメやディズニーの専門ブログではありませんが、ヴィラン派であることには変わりないと思うのでこれからもよろしくお願いいたします。