ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

IMAXで「ダークナイト」観た。このジョーカーはシリアルキラー図鑑じゃなくて人の死因事典を持っていそう【ネタバレ注意】

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証拠のチケット画像。家バレ防止で支店名塗りつぶし。

ちょっと画像が暗いですが。IMAXバットマンの映画「ダークナイト」を観てきた証拠のチケット画像。新型コロナ流行中につき、向かって左側がちぎられていません。後になってこの「ちぎられていないチケット」がヤフオクとかに出品されてプレミア化するのかも。

ダークナイト」の公開当時(2008年)は学生だったので劇場で観ようと思えば観られたはずなのですが、その当時はジョーカーさんを好きになってなかったのでスルーしていたようです。我ながらもったいないことをした。12年ぶりのリバイバル上映ありがとうございますユナイテッドシネマ様。リバイバル上映でも通常料金だったのでレディースデイを待つことになりましたが。

ということで以下、IMAX2Dでバットマンの実写映画「ダークナイト」を観た感想をお送りします。

 

シリアルキラー図鑑」じゃなくて「人間の死因事典」を持っていそうな人だ。

本作を初めて観たわけではないのですが、久しぶりだったので改めて上映時間の長さにビビりました。チケットの印字によると12時30分始まりなのに終了時間は14時30分よりも後。つまりこの映画は2時間以上ある大作なんですよね。ウィキペディアによると本作の上映時間は152分。え? アメコミ原作でしょ?  バットマンの映画でしょ?  バットマンとジョーカーが戦うだけの物語でなんでこんなに長いわけ? 最初は疑問まみれでしたが、後になって思い直しました。上映時間が長いってことは、それだけ長くヒース・レジャーさんが演じる例のジョーカーを眺めていられるってことじゃないですか。素敵。座席につく頃にはむしろこの長さにワクワクしていました。同じ料金を払うなら長い映画の方がお得でコスパいいと思うし。

ストーリーの長さの謎は観たら解けました。バットマンvsジョーカーという単純な物語ではなく、ハービー・デントの周囲や、ゴッサムのギャングたちと、ギャングたちの資金洗浄を担当している実業家のことや、ジョーカーとギャングたちのやりとりなどがあるからストーリーが長いんですね。だからといって不要・退屈だと思うシーンがないのはさすが。

というわけで冒頭の銀行強盗のあたり。ユナイテッドシネマの作品紹介ページを読むとジョーカーが強盗団に紛れ込んで金を横取りしたのかと思いますが、そうではなく。自分が計画して手下に指示した件でした。ボスのジョーカーはアジトで待っているのかと思いきや現場に。ジョーカーは手下を次々に撃ち殺し、一人でスクールバスに乗って金を持ち逃げすることに成功するのでした。この銀行強盗のあたりを観ていると、ジョーカーだけではなくジョーカーの手下も気軽に人を撃ち殺します。人殺しに抵抗がなさすぎる。飛び道具を使うと罪悪感が減るからか。それとも撃つのが簡単すぎるのか。しみじみと、銃は悪い文明だと思いますね。引き金が知恵の輪にでもなってて撃つのがめちゃくちゃ難しかったら、殺しにくくて良いのかも。でもそれ芸術作品かジョークグッズだよな。無理か。でもコミック版のジョーカーさんなら一丁ぐらいそんな拳銃持ってても良さそうだけど。バットマンを捕獲したら使うんだとか言って特注で作らせてそう。

話がズレましたね。ええと、この次に印象的だったシーンは、と。例の「マジック」のシーンでしょうか。「このエンピツを消す」マジックは初見だとビビる暇すらない。めっちゃカジュアルに人殺ししてる。カルタの札に「犬も歩けば棒に当たる」というのがあるし「ジョーカーが歩けば人を殺す」っていうカルタ札があってもいいんじゃないですかね。お手並が鮮やかすぎ。さてはアンタ、ヘマした手下とか誘拐した市民とかで練習したな? いくらジョーカーさんでも思いつきかつぶっつけ本番でこんなにうまくいくわけないだろ。

ジョーカーは、ギャングの会合に乗り込んでいった時に「お前らから奪った金で買った高級スーツだ」と言っています。なのに、後のシーンでは「服は無銘の既製品」と言われている。不思議ですよね。きれいな紫色のロングコートとか、六角形の柄のワイシャツとか。こんなに凝ったものが無銘の既製品のわけないだろ。あんたらどんだけファッションに疎いねん。もしかしたらジョーカーさんが、すごく丁寧にブランドのタグを切り取ったのかもしれません。あとがわからないぐらいに。本作のジョーカーさんはナイフ使いが上手そうなので可能かも。というか、あんなにジョーカーさんに似合うものどこでみつけてきたんだよ。あれだけ似合ってればお気に入りだろうな。あの世界にはジョーカーさん好みの面白いメンズ服飾ブランドがあるのだろうか。あるのかもしれないな。ゴッサムになら。

この後に印象的だったというかびっくりしたのは、バットマンの仮装をしてジョーカーのメイクを施された死体が市庁舎の窓に叩きつけられるシーンですね。作中の市長と同時に映画の観客も驚かせることを狙った演出なのでしょう。IMAXであることも相まってかなり驚きました。覚えていたシーンなので、そろそろ出るなとは思っていたのですが。それでもびっくりしました。私には臨場感がありすぎた。

この後、ジョーカーがパーティに乱入するシーンがありますね。豪華なオードブルがところ狭しと並んでいるのを見たジョーカーは、一口つまんでモグモグと食べた後、女性から酒が入ったグラスを奪い取って飲み干し、グラスが置かれたテーブルにそっと置きます。このシーンを観てるとつい考えてしまいますね。このシーンがNGになって撮り直しになったら、その度に飲み食いしないといけないのかと。おなかいっぱいになる前に、できれば一発で撮り終えたいシーンだったのでは。本作に限らず飲食シーンは全部そうだと思いますが。つまみ食い➡︎レイチェルを捕まえるシーンでは、ジョーカーが切り裂かれた口の傷についての話をしてくれます。実はこの話、作中で2パターン目なんですよね。これを聞くと左右の傷は別々の時に1回ずつ切られたのかなと思いますが。果たして3パターン目はあるのか。

市長の殺害を予告したシーンでは、わざわざ「ハービー」と「デント」という姓の市民を探して殺してメイクして死体を設置し、市長の死亡記事が載っている新聞をつくって置いてありました。芸が細かすぎる。わざわざパソコンであの新聞をつくっているところを想像すると怖いというより感心しますね。人殺しだけど芸術家っぽいな。

弁護士のリースがテレビでバットマンの正体を明かそうとしたところでジョーカーが放送に割り込み「バットマンの正体は明かすな」「リースを殺せ」と言うのは怖いというより笑えました。バットマンが正体を明かさないと市民を殺すと脅していたのは誰でしたっけね。あの時点で「バットマンの正体は知りたくない、あいつとずっと遊んでいたい」と思っていたようです。バットマンが気に入ったらしい。

他に印象的なシーンといえば病院ですよね。ジョーカーは男性なのにあえてナースの格好で「デント」の名札をつけ、ハービーが入院している病院に潜入しているという。ジョーカーが病院に潜入するシーンがないのは残念でした。ジョーカーはハービーを殺す気かと思いきや、ベッドに縛り付けられているハービーの両手を自由にしてやり、銃を取り出したと思ったらハービーに握らせて自分の額に銃口を押し付ける。「おれは混沌の使者」「混沌は公平」と言うジョーカー。銃を握らされたハービーはコイントスでジョーカーの生死を決めます。実は製造ミスで両方が表面だったハービーのコインは、爆発で片面が焼け焦げて裏面ができていました。だからここでジョーカーを撃ち殺さなかったのは、単純にコインの表面が出てしまったから、とも考えられますが。もしかしたらジョーカーが「今ここで撃ち殺されてもかまわない」と本気で思っていることを察して、その姿勢を償いだと捉えたのかもしれません。だから許してあげたのかも。そうでないといくら「ただの狂犬」だと言っても首謀者を見逃すことはないのでは。マジでコイントスの結果なのかは二人だけが知ることですが。

ジョーカーが逮捕された後のシーンもすごい。ジョーカーの手下が「腹が痛い」と言っているのはきっと爆弾だろうと思いましたが時限式ではなく、着信で爆発するとは。道理でジョーカーが電話をかけたがっていたわけだ。アドリブであることで有名な、ゴードンの昇進に拍手するシーンも観られました。あの状況なら確かに拍手しそうなキャラクターですよね。あの拍手が脚本に書かれていなかったことのほうが不思議なぐらいに自然。どこかで「実はあの拍手はアドリブだった」と聞いて驚きました。

「ゲームに参加しない者はゴッサムを出ろ」「橋とトンネルには爆弾をしかけた」と言うジョーカー。これは船への誘導なのでしょうが、本当にしかけてあるかもしれないのがジョーカーの恐ろしいところ。「これは罠だ、本当に爆弾があるのは船だ」と思った誰かが橋やトンネルを通ったら爆発して生き埋めになってジョーカーが高笑いするなんて展開が目に浮かびます。

ここから先はさすがに覚えていました。爆弾つきフェリーの一件と、ビルでのジョーカーたちとの戦闘ですね。起爆スイッチを受け取った囚人が、スイッチを窓の外に捨てたのには感動しました。自分たちが相手を爆破して助かる道を放棄したのですね。犯罪者なのに意外と道徳的だ。ジョーカーの思い通りになるのが嫌なだけなのだとしても、死ぬ覚悟をするのは潔い。この判断ができる人はきっと更生できると思います。

ビルでの戦闘は面白かったですね。ピエロのマスクがジョーカーの手下と認識されていることを意識して、あえて逆をやる。人質にピエロのマスクをつけさせ、手下には素顔で白衣を着せる。ジョーカーさんは自分で手下を撃ち殺す人です。手下なんかどうなってもいい。だからこれは、手下を減らさないためというよりも、SWATに市民を撃たせるための策なんでしょうね。実に悪趣味です。

このビルの戦闘でバットマンvsジョーカーはいったん決着。ここでジョーカーがバットマンに傷の話をしていてくれたら、傷の話の真偽がわかったのに。3パターン目があったらウソで、以前の話を繰り返したら本当だと判断できたのに。脚本家さんが、わざとここをぼかして想像の余地を残してくれたのはわかるのですが。傷の話、3パターン目も聞いてみたかった。

ビルでバットマンに宙吊りにされたジョーカーが語ることは他に「人は悪に染まる」「ひと押しで狂気に落ちる」というものがありました。「今時の奴らは信用ならん」と言い、フェリーが爆破されなかったことを残念がっていたジョーカーですが、ハービーに関してはこれが現実になりました。つまりは素質の問題なのでしょうね。思えばハービーには悪役の素質がありました。顔が焼ける前から、捕まえた人を脅してましたもんね。やはり素質は必要なんだと思います。2019年の映画「JOKER」のパンフレットにあった「誰でもジョーカーになり得る」というのは的外れでしょう。私が考えるにジョーカーさんは、心の中に押し込めていた「何か」が溢れ出た結果、犯罪の才能が目覚めた人です。常人にアレが真似できるわけないと思います。ジョーカーさんみたいに葛藤もなく人殺ししまくりながら人生を楽しめたら誰も苦労しません。

本作のジョーカーはどうやら「人は悪に染まる」ことを証明したがっていたようです。それは自明の理だと信じているのであれば、わざわざ証明する必要はありません。証明したがるということは、本人がそれを信じきれていないのではないでしょうか。犯罪者になる以前の彼は性善説者だったのに、何かのきっかけで悪に走り、性悪説者になったのでは。本作のジョーカーさんの過去が気になりますが「ジョーカー」を名乗り始めた時点で過去の情報は抹消済みなのでしょうね。

さてと。私の感想はざっとこんなところなんですが。本作のジョーカーさんの印象をまとめると「シリアルキラー(連続殺人鬼)図鑑は持っていなさそうだけど人間の死因事典は愛読していそう」でした。分野を問わず先人の仕事には興味がなさそうですが、人の面白い殺し方は熱心に研究していそうですよね。人殺しをしまくるキャラといえば、私はマンガ「亜人」の佐藤さんも好きなんですが。あの人は奇抜な殺し方はしなくて、いつもガチで戦闘して、格闘もめちゃくちゃ強いんですよね。佐藤さんが一人の人間に執着して、捕獲してネチネチいたぶるところはちょっと想像できないです。最新刊では永井くんにお別れ言ってるし。それに比べてジョーカーさんはバットマンにめちゃくちゃ執着してる。佐藤さんとは対照的です。あと、佐藤さんは元軍人なので無人島でも余裕でサバイバルできそうですが、本作のジョーカーさんは普通に死にそう。人殺ししか能がないひ弱な文明人。殴られても怯まないところは共通していますが。大量殺戮系犯罪者にも色んなタイプがいるんだなと思わせてくれる一作でした。

以上。みんな、せっかくだし、劇場公開されているうちにIMAXで(ジョーカーさんの活躍を)観ようぜ! 

 

※本記事は、公開翌日に修正・微加筆しました。