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⇧紙の本だとヒグチユウコさんのイラスト入り帯がついてくるかもしれない。
どうせ買うなら紙の本がおすすめ。電子書籍に「帯」という概念はないから。
なんでまた急にタコ関連の本なんか読んでみたのか
なんでまた急にタコ関連の本なんか読んでみたのかというと、まず、元から欲しいものリストに入ってたのでAmazonブラックフライデーのついでに2000円抱き合わせ購入したのと、あとは某ゲームに異星人でも悪魔でも吸血鬼でもゴブリンでもないのに肌が青いキャラクターが登場するからなんですね。具体的にどのゲームなのかお伝えするのはこの記事の最後までお待ちいただくとして。ヒントを出すと、黒いスーツにあわせられた灰色のワイシャツが青い肌に映えて男女ともにすごいセクシーな人たちなんですけど、そんな彼らを攻略本で眺めながら私は考えました。いくら敵役とはいえ、同じ地球人のはずなのにこれほど明確に肌が青いとはこれいかに。さては彼らの祖先はサルではないな? ということは、肌が青い=血液も青い=祖先はタコか! と考え至ったわけです。これは私の勝手な想像なのでキャラデザ担当者さまがここまで深く設定したわけではなく、実際は敵役のキャラクターを見分けやすくするために肌を青くした*1そうですが。それにしても青い。彼らの肌色は「敵役の外国人だから」で片づけるには青すぎるのです。彼らの肌色はどう見てもホモ・サピエンスではない。ならば、あの世界にはホモ・サピエンスとは異なる種、タコを祖先に持つ種族が建国した国家があると考えるほうが自然ではないか。では、タコを祖先に持つ彼らの文化や価値観はどのようなものか。ここまで考えて行き詰ったんですよね私の貧弱な想像力が。考察してみたのはいいけどよく考えたら私、タコのことちっとも知らないわ、って。だからとりあえず1冊、安い関連書を読んでみようと思ったわけです。そもそもこういう理由で欲しいものリストに入れてたわけで。ハードカバーで大判の単行本は値段が高いので安価な新書を買いました。
タコ250分の1種、マダコの賢さ
マダコには条件づけが可能で、白いボールを攻撃するとエサがもらえ、赤いボールを攻撃すると電気ショックをくらう、ということを学ばせることができます。さらに、この条件づけをした個体(デモンストレーター)の行動を他の個体(オブザーバー)に見せると、他の個体も同じことができるそうです。つまり、タコは観察学習ができる。タコは他の個体を認識し、行動をマネすることができるのです。
条件づけ以外にも賢さ(知能の高さ)を示す実験があります。ビンに入ったカニを取り出す実験です。野生の世界にビン入りのカニはいないはずですが、タコはこのビンのコルク栓を開けてカニを手に入れることができます。カニが透明なものに囲まれていることを理解し、さらにその上にコルク栓があることを理解し、吸盤を使ってコルク栓を抜いてカニを捕まえることができるのです。野生ではありえないこと、初見のことを自力で解決する。これは「新規課題の解決」と呼ばれる能力だそうです。これは賢い!
今のところ知能を観察する実験がされているタコはマダコぐらいで、他のタコの知能はあまり調べられていないそうです。タコは今みつかっているだけでも250種ほどいるそうなので、タコという生物全体の賢さはまだわかっていないようです。250分の1しかわかっていないとは、まだまだ未知の部分がある分野ですね。これから研究対象を選ぶ人には狙い目なのかも。
タコは単独性だから、社会性はないってホント?
マダコは単独性らしく、自分の蛸壺に他の個体の蛸壺が近づくと離れて距離を保つのだそうです。このマダコの習性を見るとタコは独りでいることを好む生き物のように見えます。しかしマダコはあくまでのタコの1種にすぎず、タコ全種の習性を体現していると考えることはできません。なぜなら他のタコ種には社会性が認められるからです。
ソデフリダコの場合、初対面ではつかみあったりするものの、面識のある同性同士では互いに体を密着させるのだとか。トロピダコという種では、個体識別できるようにマーキングして観察したところ、仲良くしている*2個体同士があるそうです。この組み合わせは雌雄の場合もありましたが、同性同士のこともあったのだとか。トロピダコの世界には友情があるということかもしれません。
このように、一部のタコ種には面識のあるなしで相手への行動が変わったり、個体識別をして同じ個体と行動するなどの社会性が見られるようです。タコといっても単独性の種ばかりではなく、社会性のある種もいる。どちらの種もいるのがタコの魅力です。
おわりに。タコっておもしろい!
タコは足が8本あったり骨らしい骨がなかった*3り、頭のように見える膨らみは頭というより腹*4だったり、口のように見える部分は「漏斗」と呼ばれる排泄器官なので実は口じゃなかったり、体色を変化させてコミュニケーションをとっていたりと、外見だけでも十分におもしろい生物です。しかし、タコのおもしろさは外見だけではありません。
彼らの賢さや社会性から現れる行動も興味深いものです。単独性のマダコでも賢いことが知られているため、タコの場合は知能が高い➡社会性を持っているわけではなく、単独行動が多くてなんでも自力で解決しなければならないため、独立独歩でいるために知能が高くなったのでしょう。そうか…一人で生きていくためには賢くなければならないのだな。それは人間社会でも海の中でも変わらないのか…厳しい世界ですね。それでもマダコは1年ほどの寿命を謳歌し、一生に一度だけ繁殖して死んでいきます。遺伝子のプログラムだから仕方ないとはいえ潔い生き方ですね。ファンタジーものでは人間よりも賢い生物=長寿のイメージがありますが。賢いのに短命というのも、それはそれで神秘的。浮力のある海では動物デザインの自由度が高くて愉快ですね。地上だとつい無脊椎動物=低知能と思ってしまいますが、海は自由だなあ。
それでは最後に。私が青い肌の人たちを見たゲームはずばり『ゴーストトリック』です。本作は発売時のプラットフォームがニンテンドーDSという古いゲームですがプレイ記事は今でもたまに読まれており人気の深さを感じます。
以上、ゲームキャラの肌が青かったのでタコの本を読んでみた件をお送りしました。これで少しはタコのことがわかったので二次創作がはかどりそうです。
蛇足:探せば他にもいるのかもしれないな。異星人でも悪魔でも吸血鬼でもゴブリンでもないのに肌が青いキャラクターって。たしか『突撃!! ファミコンウォーズ』*5のエキシルバニア帝国の人も肌が青かった…と思ったけど、画像検索してみたらエキシルバニア人の肌色は青じゃなくて灰色でした。肌が青っぽい印象だったのはエキシルバニア帝国のイメージカラーがブルーだからか。とんだ思い違いでしたわ。