ロマンというほどでもない

日常以上、ロマン未満のモノを紹介するブログ。たまに私見も書きます。

ジョーカーさんイメージの服を作ろうとアイロン手芸に挑戦したけどうまくいってない。

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ひとまず上の画像(⬆︎)の状態までできあがっているので、いったいどこがうまくいってないんだって話ですが。こう見えて本当にうまくいってないんですよ。あ、それ以前に、ベースになってる服とか使ってるパーツとか作ろうと思った動機とかを説明するのが先か。

まずなんでこういう服を作ろうと思ったのかというと、近所の劇場には映画『JOKER』の公式グッズが全然売ってなくてですね。仕方なくアマゾンで検索したら白いパーカーをみつけて「これイイじゃん!」と思った後に「こういうの作ろう」と思いまして。「紫色で無地の服を買ってきて、ニンマリと笑った口と襟飾りだけ付けたろ」と。そして翌日ユニクロに走って、

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紫色の安い服(WコットンフライスクルーネックT、税込¥1100)を一着買ってさらに100均をまわって、

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貼るフェルトと、

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アイロンゼッケンとフェルトセットと、

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両面アイロン接着クロスとを買い、 

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 赤いフェルトから唇を切り抜いて、

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ゼッケンからは白い歯を切り抜いて、

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さらに歯っぽさを出すために切れ目を入れて、

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ウキウキとアイロンをかけて接着クロスでつけた。

ここまではよかったんですけども。問題はここからだったんですよ。なんと、1回じゃフェルトがアイロン接着できなかったんですよ! いや、あんなに分厚いんだし仕方ないとは思いますけど! 意外とアイロンの熱が伝わらなくて。一回試しに着てみたらところどころ剥がれて。そこでもう一度アイロンをかけて出来上がったのが最初の画像なんですけども。見ての通りアイロンあとがくっきりとついていて苦戦のあとがわかります。これでやっと完成したと思うじゃん? でも、もう一度着たらまた唇の一部が剥がれてきてて。おまけに襟飾りに至っては全部取れた。これはもう裏返してアイロンするしかないかと。また明日あたりアイロンがけしてみる予定なんですけど、これでダメだったらもう縫い付けるしかないか。縫い目が見えるといかにも手芸っぽくて口の迫力が減るかなと思って避けてたんですけど、もうそんなこと言ってる場合じゃないな。このままじゃ洗濯できないモノができあがりそうだし。そんなの服として非実用的でナンセンス。だからもうあきらめて縫う。実はこの服、もう一色の貼るフェルトで 

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ジョーカーさんの笑い声「HA」を作って

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背中側に貼り付けてあるんだよ! こっちも一度着たらちょっと剥がれたよ! もちろんこっちも再びアイロン⇒ダメなら縫い付けだよ。自分のバカヤロー!

 

以上。アイロン手芸に挑戦したけどうまくいってない件をお送りしました。

映画『JOKER』を観てジョーカーのにわかファンになったのでバットマンの翻訳版コミック買ってみた。

今週のお題「好きな漫画」

 

今回の記事はタイトルそのまんまの内容をお送りします。今年の映画『JOKER』を観てジョーカーさんのにわかファンになりました。ジョーカーさんは2008年の映画『ダークナイト』に登場していた時から気になっていて、当時はウィキペディアなんかで基本情報を調べたりしていましたが。今年になってpixivなどでファンアートを見たり、あまつさえ翻訳版コミックを買うことになるとは思いもしませんでした。ざっと調べたところ、ジョーカーさんは一話で消える予定のキャラクターだったのに作者の気が変わって作中で生き延び、バットマンシリーズ最大の宿敵になったんだとか。もうこの時点でジョーカーさんに現実が侵食されているような気がします。ジョーカーさんが作者の夢に出てきて「おれ様を死なせるだあ? バカ言ってんじゃねえよ。おれがこの程度で死ぬわけねえだろうが。おれとバッツは永遠に遊ぶんだ! わかったらさっさと結末を書き換えな!」なんて言ったんじゃないかな。ありえそうな気がしません? バットマンシリーズって2019年現在で80周年だそうですが。80年も続くコンテンツってすごくない? やっぱりジョーカーさんの呪いだろ。

今年の映画『JOKER』が印象的だったのは『ダークナイト』に増して作風が現実的で、ジョーカーの誕生過程に現実味があったことと、コミックスで語られている基本的な出自からはあえて離れた独自の誕生譚を描いているという知識が自分にあったからだと思います。80年もの歴史がある作品を、古参のファンに叩かれることを承知のうえで独自解釈するとは。素人からするとすごく勇気がいることのような気がしますが、こんなことができるぐらい「バットマン」という作品はコンテンツとして成熟しているのか。多少、独自解釈した単発作品が出たところでシリーズ全体の人気は不動だということですかね。それにしてもDCさんは懐が広い。今年の映画版ジョーカーさんは、自分と無関係な人をむやみと殺す凶悪さもないし、かといってコミカルな泥棒でもないし。従来のジョーカー像に比べると本当に「ただの人間」って感じがします。今年のジョーカーさんはバットマンに対峙したらすぐに捕まりそうです。要するに今年のジョーカーさんは弱そう。でも、弱そうに見える方がいいのかもしれない。感情移入がしやすくて親近感を持ちやすいから。DCさんが独自解釈を許可したのは、アメコミ原作でもヒューマンドラマはつくれるのだと証明するためだったのかも。アメコミをただの勧善懲悪の幼稚なオタク向けコンテンツだと思ったら大間違いだぞっていう。

こんなことを考えながら、とりあえずアマゾンで(以下、画像はアマゾンへのリンクです)

『エンドゲーム』(⬇︎)と 

バットマン:ヨーロッパ』(⬇︎)をポチり。

なんでこんなラインナップになったのかというと「ジョーカーさんの正史上でのバットマンとの別れ方を知りたい」というのと「ジョーカーさんが主なヴィランで登場人物が少ないものを読みたい」と思ったから。アメコミについて少し調べると、正史(メインストーリー)の他に、ミニシリーズと呼ばれるパラレルワールドを舞台にした短編があることがわかったので、あらすじを読みながら好みのものを探したところ『バットマン:ヨーロッパ』を発見。バットマンがジョーカーと共闘する!? しかも舞台はゴッサムだけじゃない!? これは好みの予感! ということで迷わず購入。かくして私の人生初アメコミは『バットマン:ヨーロッパ』に。『バットマン:ヨーロッパ』を読んでよかったことは、ファンアートでよくある「Bad joke」「Bat joke?」の元ネタが知れたことですね。海外でのカップリングタグ「Batjoke」もこれが元ネタなのかな。『エンドゲーム』もたしか同日に届いたんですが、分厚くて読む気力がなかったので後回しになりました。それにしてもアメコミってすげえな。公式の版元からまるで2次創作みたいな説定と展開の作品がバンバン出版されてるじゃん。天国じゃん! マジですごいわ。

この他に私が購入して摂取したのは

『喪われた絆』(⬇︎)と 

『ロング・ハロウィーン』(⬇︎)と 

ホワイトナイト』(⬇︎)と

『ダークビクトリー』(⬇︎)です。 

『喪われた絆』は表紙が怖すぎて買うのを躊躇していたのですが、正史の一部だし『エンドゲーム』以前の事件も知りたくなったので、時系列的に中間の『真夜中の事件簿』をスルーして購入。ジョーカーさんがよくも悪くも大活躍するので買って損なしでした。勇気を出してよかったです。『ロング・ハロウィーン』は個別記事を書くほどにお気に入りの1作になりました。『ロング・ハロウィーン』のジョーカーさんは太い眉と大きな口と細い腕と黒っぽい口紅が特徴です。独特のビジュアルをしているので一度見たら二度と忘れないと思います。明けないハロウィーンだってあるさ。その名はバットマンワールドだ! 『ホワイトナイト』は映画のパンフレットで紹介されていたので購入。続編の企画があるとのことなので翻訳版が出るのを気長に待ちます。『ホワイトナイト』はシュッとした線で描かれているキャラデザ(特にトゥーフェイス)が私好みだったうえに内容が面白かったです。ジョーカーが正気に返るというよりも、過剰投薬で人格が善悪に分裂して、善の人格がバットマンを追い詰めながら警察などの不正を暴きまくって街を浄化していく物語でした。って、この設定だけ聞いているとマジで2次創作くさいな。高品質な絵と素敵な物語がついているので不満はありませんが。公式が供給してくれるんだったらそれに越したことはないさ。『ロング・ハロウィーン』よりも多くのヴィランが集まった会合の集合絵とかね。しかし、お互いに憎み合っていたはずなのに、用意された飲み物を無警戒に飲む『ホワイトナイト』のヴィランたちって実は仲がいいんじゃないだろうか。というかどうやって連絡とったんだろう。よく考えたら連絡先を知ってる時点でけっこう仲良しじゃなない? そう考えると微笑ましいですね。『ホワイトナイト』はジョーカー(悪)とジャック(善)人格の入れ替わりを髪の色・髪型・瞳の色・肌の色で表現しており、同じ身体を使っていながらも非常に見分けやすくなっています。ホワイトナイト』のジョーカーはなぜかオッドアイ フェチシズムが刺激されますね! フルカラー万歳! 個人的にはジャックの目がオッドアイになっている、人格切り替わり中の状態が一番好き。

『ロング・ハロウィーン』の続編『ダークビクトリー』は、あの世界のデント氏がどうなったのか知りたかったのと、もっとティム・セイルさんの絵が観たいと思って購入。ジョーカーさんがたいして活躍しないのは残念ですが、やっとペンギンにもセリフが与えられたしミスターフリーズが登場するし。例の、トゥーフェイスがアイビーにキスされたがギルダへの愛が強すぎてフェロモンが効かなかったシーンも見られたし。短編「バットマン:マッドネス」も読めたのでよかったです。しかし今作と前作のスケアクロウとマッドハッターは狂気が濃いな。スケアクロウはほぼマザーグースの引用しかしゃべらないし、マッドハッターは「アリス」の引用でしか話さないし。この印象で『ホワイトナイト』と読むと「マッドハッターが引用以外のことを話してる! かなり正気!」とか思ってギャップを感じます。

あとは『バットマン:ウェディング』も読みたい。ヤバイなバットマンワールド。ヴィランがキャラ立ちしてて魅力的で。まさか、1人好きになると主要メンバーが次々に好きになるという構造!?  楽しいけど怖いな(予算と収納スペースの確保を考えた時に)。

 

以上。最近はバットマンシリーズを読んでいる件をお送りしました。

※本記事は2019年11月9日に加筆しました。

ハロウィンなので『バットマン:ロング・ハロウィーン』の話を。絵もお話も素敵な一作!

(⬆︎)これは2冊セットのリンク。ただしアマゾンでは売り切れ中です。

 

本日は10月31日! ハロウィンですね! 日本では渋谷のコスプレが有名ですが、今回はアメコミ作品の翻訳版『バットマン:ロング・ハロウィーン』の話をします。実は映画『JOKER』を観てからこっちバットマンのジョーカーにハマってるんですよ。そこからボチボチと、メインの悪役がジョーカーさんのものを選んで翻訳版コミックを読んだり、長編アニメを観たりしています。だからバットマンシリーズのファンとしてはすげーニワカなんですけども。この時期に読んだからにはこの話をするしかないだろうと。それじゃあ解説と感想いってみよう!

 

目次

 

あらすじ

ゴッサムの新任地方検事ハービー・デントは、この街から悪と不正を一掃すると決意した。ゴードン警部とバットマンの力を借りれば、これは可能だとデントは信じていた。しかし、そんなデントに異変が起きる。

ゴッサムを牛耳るマフィア、ファルコーネ一家のボス、カーマイン・ファルコーネと利害関係にある人間を次々に殺していく連続殺人鬼「ホリデイ」が現れた。デントはこの事件を追ううちに、妻と家、さらには己の顔にも被害を受ける。デントはすぐに法廷から病院へ運ばれたが、顔の治療を拒み、医師を刺して逃亡した。焼けただれた顔を抱えたままで。

これは殺人鬼「ホリデイ」の正体を追う物語であると同時に、スーパーヴィラントゥーフェイス」誕生の物語。

 

主な登場人物

バットマンゴッサムで活躍するダーク・ヒーロー。コウモリを模した黒いコスチュームに身を包んで戦う男。悪人は捕らえるが殺さないのがポリシー。その正体は、青年実業家ブルース・ウェイン。有り余る資産を元にバットマンの装備や乗り物を整え、法の外で自警活動をしている。

ハービー・デント:ゴッサムの新任地方検事。ゴッサムでギルダという女性と結婚し、法の正義を信じて殺人鬼ホリデイの事件を追っていたが、悲劇に見舞われて私刑人と化す。

ジェームズ・ゴードン警部:妻子持ちでゴッサムに居を構えている警部。バットマンが信頼している数少ない友人で、バットマンからはジムと呼ばれている。

ホリデイ:正体不明の連続殺人鬼。カーマイン・ファルコーネと利害関係にある人物を1年に渡って殺し続けた。祝日にだけ人を殺し、犯行現場に銃とその祝日にちなんだ物を置いていく手口から、ホリデイと呼ばれるようになる。

トゥーフェイス:顔の左半分が焼けただれている悪党。無事な右半分の顔はハービー・デントのものだが、本人いわく「ハービーは死んだ」らしい。片面に傷をつけたコインを持ち歩いており、コイントスで次の行動を決める。

 

感想(ネタバレ注意)

本作は、バットマンワールドにおける有名悪役トゥーフェイスの誕生秘話であり、作中の法廷で起こる事件は正史(New52!シリーズ)にも採用されている重要な事件だということで、ジョーカーさんメインではないにも関わらず読んでみることに。ピクシブでオススメしている人もいたことだしハズレではないだろうと読み始めたら、個人的にすごくアタリの作品でした。もちろんストーリーも面白かったのですが、最初に感動したのはストーリーよりもイラスト。

本作はライター(脚本担当)さんとアーティスト(イラスト担当)さんが別人です。つまり分業制で制作されているわけですが(これはアメコミでは通常の手法らしい)、本作のアーティスト、ティム・セイルさんの絵がすばらしい! まず全コマがカラーだし、画風は漫画というより絵本の挿絵のようで、イラストの連続という印象を受けました。日本の漫画で、話の筋がわかればいいという気持ちで描かれた白黒のコマを見慣れた人間からすると、この絵を観るだけで驚きでした。日本の漫画とは全然違う。大げさに言うと芸術性が高い。バットマンの世界を全然知らなくても目の保養になります。ホリデイが人を撃ち殺すシーンはモノクロで、死体のそばに、銃と一緒に置かれた物だけがカラーになっています。配色自体で魅せるというのはカラー漫画ならではの手法かと。

この他に本作のイラストでお気に入りの点は、キャラクター(特に悪役)の服装がオシャレなこと! フィクションの悪役は「そんな服どこで売ってるの?」と思うものを着ていることが多いのですが、バットマンワールドの悪役は色が変でも形は普通の服を着ている人もいます。ジョーカー・リドラートゥーフェイスはこのタイプですね。並々ならぬこだわりが詰まった特注品を着ているのだと思うと素敵。ジョーカーさんの衣装は衣装屋を襲撃して奪ってストックしてあるんだろうと想像しているのですが、トゥーフェイスの場合は左半身と右半身で色が違うという凝りすぎなスーツを着ています。さすがにこれは既存の衣装を盗んだだけでは説明がつかないので、行方不明だった1ヶ月の間に注文しておいたんだろうなあ。しかもカフスボタンが陰陽柄ときた! ジョーカーさんは「J」の刻印が入ったカフスボタンを愛用していますが、これに匹敵するこだわりですね。まあ、ジョーカーさんの場合は愛用のデカイ拳銃にまで「J」の刻印を入れているので、持ち物へのこだわりはトゥーフェイスの上をいってるみたいですが。美しく細い指にピッタリ合う手袋は特注品ですかね。

イラストで感動した点は、各話の扉絵ですね! 全13話の本作は祝日ごとに事件が起こるので、各話の扉絵は祝日のモチーフと、各話で活躍する悪役を絡めたイラストになっています。私のお気に入りは大晦日の絵。バットマンとジョーカーが乾杯していますが、描かれているのはグラスを持つ手もとのみ! 真っ黒の背景に、グラスを握った2人の手が描かれています。グローブをはめたバットマンの右手と手袋をはめたジョーカーの左手とグラスに映る2人の顔。何だこのハイセンスなイラストは。美しい。美しすぎる。ティム・セイルさん、ありがとう。面識はないけど心からの感謝を。

各話の扉絵は画像検索してもらうとして。ここまでイラストの話をしてきたので次はストーリーの話をしようと思います。バットマン初心者からすると本作はトゥーフェイス誕生譚ですが、古株のファンからはミステリーとしても高く評価されているとか。犯人が作中で明示されず、殺人鬼ホリデイの正体は読者の推理に任されているので推理ものとしてはモヤモヤしますが、このおかげで飽きられることなく長く読まれているのかもしれません。まあ、ホリデイはトゥーフェイスの言う通り2人だけなのか、合計3人なのかすらハッキリしないのはさすがにひっかかりましたが。さらに言うと、1巻であがったホリデイの候補者が2巻で次々に殺されていき、ノーマークだった人物が証拠品を処分しているラストシーンになるのも反則といえば反則のような気がします。でもいいんだ。だって私はあくまでもトゥーフェイスの誕生譚として読んでいるからな! 一連の殺しは法廷シーンへの前フリだと思えば腹も立たないさ! 

ここからは各キャラクター(悪役)の話! カーマイン・ファルコーネのライバル、サルバトーレ・マローニが証言台に立ってデント検事に対面した時、スパイから受け取った薬剤(即効性制酸剤)をデント検事の顔にかけて取り抑えられます。この薬剤はコンクリをも溶かすとのことですが、こんなものを浴びたのに被害は皮膚だけで済んだなんて奇跡というか、デント氏の生命力が強すぎるというか。左目に入っていたとしたら失明していそうなものですが、瞳の色が変わっただけで見えてはいるらしい。こっちはマジで奇跡ですね。さすがに歯は助からなかったようで左半分が変色していますが、話せているということは表情筋はなんとか無事なのか。しかし、顔が左右非対称になったからって開き直って左右非対称のスーツを着るとは。デント氏は生命力も常人以上ですが、精神力も異常というかファッションに(文字通り)命をかけてるな。このファッション狂っぷりを見ているとデント氏には元から悪役の才能があったんだと思います。ここは顔の傷を治して「悪には屈しないぞ」って言うところだろ、というのはしょせん凡人の発想なんだと思い知らされました。っていうか、そんなマトモなことをされたらトゥーフェイスが誕生しなくてファンが泣くよね。ということで悪役ファンの私としてはこれからも、デント氏にはファッションに命をかけていてほしいところです。バットマンは、ファルコーネの屋敷でハービーに再会した驚きで「ハービー…」とつぶやいていますが、内心では「そのスーツどうした!?」と思ってたんじゃないかと。まさかおまえそのスーツ待ちで1ヶ月も潜伏してたんかと。その驚きゆえにバットマンは言葉に詰まったのではないかと。フルオーダーのスーツだとしたら納入までに1ヶ月ぐらいかかるんじゃないですかね。知りませんけど。

本作のジョーカーさんは眉が太く口が大きく口紅が黒いという独特のビジュアルをしています。細長い指と、袖口からのぞく細い手首が実にセクシーです。それにしても、わざわざ脱獄して一般家庭で盗みを働いたうえに住人を殺さないとは珍しいこともあるものですね。どういう心境なんだか。余程ヒマだったのか。まあ、クリスマスを監獄で過ごすのは誰だってイヤだから脱獄したこと自体には納得ですが。しかし単独でアーカムから逃げるとは。ジョーカーさんがすごいのか、アーカムの警備がザルすぎるのか、どっちだ。そして続く大晦日の一件。殺人鬼ホリデイを仕留めるべくゴッサムスクエアへ飛ばしている小型飛行機の操縦席で「ちょい待ち 時計が12時になったら…」と言ったから、てっきり「時計塔が爆発するんだぜ」と続くかと思いきや「アタイにキスして頂戴な?」ときたもんだ。これは殴られて当然だね! これは完全にジョーカーさんが悪いわ。私がバットマンでも殴る…いや、むしろハグして意表を突くかな。「キスはできないがハグならできるぞ。一緒にここから降りよう」って言って、一緒に飛行機から飛び降りたい(完全に妄想)

トゥーフェイスとジョーカーさんの他に活躍するキャラクターは、主にポイズン・アイビーです。本作のアイビーはジョーカーさんと同様にかなり印象的なビジュアルになっています。アイビーは赤い髪で描かれることが多いキャラクターですが(肌の色が緑色かどうかは作品による)今作のアイビーはそもそも髪が人毛ではなく植物で、人外度が爆上がりしています。これで彼女がフリーク(化物)扱いされることに納得がいきました。こうすれば操る植物をどこからどうやって生やしているのか問題は一瞬で解決するし、絵的に美しい。すばらしき解決方法ですね! 植物を操るアイビーの他には、幻覚ガスで恐怖を撒き散らすカカシの格好をした男「スケアクロウ」と機械工学を駆使して人の精神を操る帽子屋の格好をした老人「マッドハッター」なんかも登場して、この2人が馬車に乗ってる図なんてちょっとした悪夢なのですが。ポイズン・アイビーが悪夢を与えるのは、男をフェロモンで操った後のこと。森を抜けて我に返った男たちが見るものは何でしょうか? 本作ではブルース・ウェインが自分がしたことの後始末に追われましたが、人殺しをさせられなかっただけ良しとしましょうよ。

んーと。気がついたらとりとめのない記事になってしまったな。まあいいか。とりあえず、絵が美しいコミックと、何か一作バットマンを読んでみたいという人は読んでみてはいかがでしょう。バットファミリーが登場する以前の話なので、ブルース・ウェイン側の人間が少なくてわかりやすいのでオススメ。それにしてもゴッサムってスーパーヴィランが多すぎだよね。トゥーフェイスは長いハロウィーンが明けたって言ったけどさ。むしろ、アンタが誕生したことでゴッサムのハロウィン感は増し増しだよ! 主要登場人物のほとんどが仮装してるゴッサムは年中ハロウィンだろうが! スーパーヴィランが一掃されて、本当にゴッサムのハロウィンが明ける時なんか永遠に来ないんじゃないのか。というか来るな。悪役ファンにとっては平和こそが一番の悪夢なんだよ(もはや危険思想)

 

以上。ハロウィンなので『バットマン:ロング・ハロウィーン』の紹介をお送りしました☆

 

追記:続編の『ダークビクトリー』も読んだ!

トゥーフェイスのファンの人はみんな、続編の『ダークビクトリー』も読んでるんだろうなあ。だって、ヴィランとしては新人のトゥーフェイスが先輩ヴィランたちを仕切っててかっこいいし、死にも捕まりもしないで勝ち逃げするし。大物感で出ていていいですね。『ロング・ハロウィーン』と『ダークビクトリー』を読んでトゥーフェイスのファンになった人も多いのでは。

それにしても『ダークビクトリー』のバットマンは健気です。トゥーフェイスにはハービー、スケアクロウにはクレーン、マッドハッターにはテッチと、それぞれに人名で呼びかけています。バットマンは彼らも1人の人間だと思っているのですね。もしかして、人間として呼びかけ続ければいつか正気に返ると思っているのかもしれない。そう考えると健気を通り越して、いじらしいですね。しかし彼らがフリークと呼ばれるゆえんは外見や能力や狂気のせいだけではなく、皆、人間としての過去に関心がないのが一番の理由なのではないかと。要するに、取り戻したい人生や戻りたい場所がないのでは。だからこそ平気で犯罪を犯すことができるし治療に応じないのでしょう。治りたいと思っていない患者でも投薬などで治療してこその医療な気がしますが、そこはフィクションですから。バットマンワールドではきっと、治りたいと願っている人しか治らないんでしょう。ということは、スーパーヴィランたちは永遠に治らないってことかな。バットマンは戦闘の訓練をしているヒマがあったら精神医療を研究するべきなのでは。アーカムの医者ってみんな無能な気がするし。

『ダークビクトリー』の2巻に収録されている短編「バットマン:マッドネス」ではバットマンが、ジョーカーとスケアクロウトゥーフェイスはそれぞれ異なる狂気を抱えていると言っていますが。それを区別できている時点でバットマンもかなり彼らに近しいのでは。まあ、正気の人間から見たバットマンヴィランと警察官のどちら側に見えるかと言えばヴィラン側だと思うので、彼らの狂気を理解できてしまうのも納得といえば納得なのですが。バットマンの精神構造は正気の人よりは彼らに近いんだろうなと思わせる短編でした。重傷を負いながらマザーグースを暗唱している時点で、アンタもかなりヤバイぞバットマン。気をつけないとあっち側に転落しますよホントに。

 

※本記事は、2019年11月9日に加筆しました。

 

こちらは1巻へのリンク。オレンジの表紙が1巻です。

 

こちらは2巻へのリンク。ブルーの表紙が2巻です。

ダイソーで買ったデッサン用人形を秋服に着せ替えてみた。

目次

 

今回はタイトル通り、前記事(⬇︎)でご紹介した、身長15cmのデッサン用人形を秋服に着せ替えしてみた件をお送りします。

http://mee6.hatenablog.jp/entry/2019/07/08/222837

下の画像が完成図です(⬇︎)

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ご覧のように服といってもリカちゃんやバービー人形のような凝った服ではなく、生地は100均で買った色紙だし貫頭衣式のワンピースなので作り方は簡単ですが、脱がすには破くしかないので基本的に使い捨て(⬇︎)です。この点はあしからずですが…

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こうやって脱がすのですが。なんかヤバイ図になってる(汗)

まるで乱暴された人みたいになってるぞ…(注)私には人形でそういうシチュ*1を再現する趣味はありません!

 

えー…それでは気を取り直して。以下、この人形服(秋バージョン)を作った手順をご説明しましょう。まずは用意する道具のリストから。

 

用意するものリスト

・お好きな色紙2枚

・定規(30cmモノサシ)

・マスキングテープ 又はセロハンテープ

・シャーペン又はエンピツ

・両面テープ

最低限これだけあればOKですが、帯を巻きたい方はこれに加えてお好きなリボンも用意してください。さらに、

・カッターナイフ

・カッター板

があればなおいいです。一直線に長く切る場合はカッター板をしいて、カッターナイフにモノサシを添えて切るとキレイに切れます。

 

貫頭衣式人形服の作成手順

いよいよ「色紙製貫頭衣式人形服」の作成手順を。作っているのは服なのですが手芸というより工作という感じ。全体で7ステップです。生地に使ったのは、同じくダイソーで買った少し固めの色紙(⬇︎)

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今回使ったのはこのデザインペーパー。この画像で人形が着ているのは以前作った夏服です。前回、人形服の作成に初挑戦した時は採寸も手順もテキトーだったのでメモしていませんでした。今回はちゃんとメモしたので記事にできました。

それでは、秋服の作成スタート。

 

1、好きな色紙を2枚、貼り合わせる(⬇︎)

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以後、貼り合わせたものをAと呼ぶ

 

2、Aの中心に2cm×2cmの正方形を描く(⬇︎)

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3、描いた正方形を切り抜く(⬇︎)

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4、ガイドラインを引き、Aの両端を3cmずつ切り落とす(⬇︎)

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切り離すと、スタート時よりも少しスリムな長方形になります。

ここで両端を切り落とさないと人形のヒジが服の下になり、動かしにくくなるので注意。フリーハンドで一直線に切るのは難しいので、シャーペンなどでガイドラインを引いてから、その線に沿って切り落とすのですが。ガイドラインを引いた状態で撮影し忘れました(汗)

ここでカッターナイフとカッター板を使うかはご自由に。私はカッターナイフで一気に切るのが好き。

 

5、Aを2つに折り、両端の下辺から継ぎ目の2.5cm下まで両面テープを貼り、中心に開けた穴に頭を通して着せる(⬇︎)

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着せてみるとこんな感じ。上部2.5cmがアームホールになります。

ここだけ項数が多いのは、両面テープを貼った生地も撮影し忘れたからです(汗)

わかりにくくてすみません。

 

6、両端の両面テープの紙を剥がし、前後を貼り合わせる(⬇︎)

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ここで両サイドの両面テープの紙を剥がし、いよいよ生地の貼り合わせです。ちょっと失敗して、向かって左側がシワクチャに(汗) 

無理に端を合わせようとせず、そのまま貼り合わせてズレた部分を切り落とすことをおすすめします。

 

7、腰から下を後ろ向きに折り、腰の位置でリボンを結ぶ

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これで完成。横から見るとこんな感じ(⬇︎)

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なかなか素敵な仕上がりになりました。作成手順は以上です。

みなさんも、お手持ちのデッサン用人形を見飽きたら着せ替えしてみては。Aの長さ(着せた時の縦幅)を調節すればヒザも出せるので足のポージングもできますよ。

それでは今回はここまで。

 

読者の方へ:更新の間が空きまして失礼しました。実はまた風邪をひきまして。ただでさえ変化の少ない生活でネタに困っているのに風邪で気力を奪われていたという体たらく。やっとこさ回復したので夏服のまま放置されていたデッサン用人形を着せ替えてみました。季節の変わり目に風邪を引くようになると歳ですね。みなさまもお気をつけて。

 

※本記事は、2019年10月23日に目次とリンクを加えました。

 

蛇足: 個人的にブログ更新期間の最長記録を更新してしまいました。失礼。



 

*1:シチュエーションの略。日本語で言うと状況だが、この場合は「鑑賞者の性欲をかきたてる特殊な状況」を表す。私は省略形の「シチュ」はエロ用語から派生したオタク用語だと思っている。人形愛のことはピグマリオンコンプレックスというらしい。

【ネタバレ注意】映画『JOKER』をもう一度観たら、印象が変わった。

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目次

 

劇場でグッズがみつからなかったのでたまたま通りかかった金券ショップでムビチケを買いました。買ったからには台風が近畿地方近くに来る前に使おうと映画『JOKER』をもう一度みてみたら印象が変わったので再びの感想記事を。2回目なのでネタバレありでお送りします。

本作はまず、予告編と本編で印象が違います。天才犯罪者ジョーカーが、バットマンがいない頃のゴッサムで警察を相手に好き放題に暴れまわる話ではありません。予告編ではけたたましく笑うアーサーと、うまく刑事から逃げ、タバコをふかしながら警官とすれ違うジョーカーのシーンが多く映るので派手な犯罪が観られそうに思いますがそんなことはない。派手な犯罪が観たい方には本作はおすすめしません。

さらに印象が変わるのは初見の時と二度目の時だと思います。初見の時の私は宣伝文句に影響されていたので「真面目に社会に馴染む努力をしていたのに失敗して狂った哀れな男がジョーカーになってしまった話」だという印象を受けたのですが、二度目の時には先入観を捨てて観たからか「実は元から破壊的なことが好きだったが生きるために無害な市民を装っていた男がやっと本性を表に出してジョーカーとして解放された話」だと思いました。アーサーは色々と恵まれていないので哀れな男であることには間違いありませんが、可哀想ではない。なぜならアーサーは我慢や努力を放棄することで遠慮なく本性を出せるようになり、母から呼ばれていたように「ハッピー」になるからです。つまり本作はアーサーのバッドエンドではなくジョーカーのハッピーエンドで、ジョーカーからすればやっと表に出られて万々歳なんじゃないかと。アーサーが笑いの仮面をかぶっていたのではなく、ジョーカーが市民の仮面をかぶっていたのが真相である。これが私の大まかな感想です。

この他、私がもう一度観て気がついた・思い出した細かな点をあげると

・アーサーの初登場時にはメイクが完了しているので最初は素顔がわからない

・母親ペニーの「あなたの幸せな笑顔でみんなを楽しませるのよ」は後に現実になっている

・アーサーが冷蔵庫に入って凍死自殺しようとした時、母親ペニーはまだ生きて入院していた

・アーサーは3人を殺したことを「悩むかと思ったけどすっきりした」と言っている

・最後にアーカムで面談を受けているシーンでは机にマイクが置かれている

・赤い足跡をつけて廊下を歩くシーンではズボン右足の裾に赤いシミが広がっている

以上です。以下、それぞれの点について書きます。

 

初登場時にはメイクが完了しているので素顔がわからず親しみを持ちにくい

初登場時のアーサーはメイクが完了しており、最初は素顔がわかりません。素顔からメイクしていくステップが観られるのは終盤です。出勤→到着→同僚に挨拶→メイクを始めるという生活臭のある過程を経てこのシーンに繋がっているはずですが、この過程はまるっと飛ばされて、アーサーのメイクが完了しています。観客の私たちは後のシーンにならないと彼の素顔がわかりません。素顔でない人には感情移入しにくのではないでしょうか。これは、本作では主人公に親しみを持たせる気がないことを表しているのかもしれません。アーサーはロッカーがある部屋でメイクしているので、このメイクは犯罪用ではなく仕事用であり、彼にとっては日常であることがわかります。アーサーが職業ピエロ(パーティークラウン)であることはCMからもわかることですが、あのメイクは仕事用であることを改めて伝えられると興ざめするかもしれません。さらに、終盤になるとアーサーがピエロマスクを見ながらメイクしており、彼のピエロメイクは彼のオリジナルではなく市販品を真似たものであることがわかります。親しみを持ちにくい導入部に加えて彼には独創性がないことを描く終盤。これを見る限りだと本作は主人公アーサーを肯定的に捉えていないようです。

 

「幸せな笑顔でみんなを楽しませる」は後に現実になっている

アーサーは母から「あなたの幸せな笑顔でみんなを楽しませるのよ」と言われて育ったようです。そのくせ母親は彼をいわゆる社会人にさせようとしていたらしいので、この言葉は「辛いことがあっても笑顔を忘れないようにしなさい」という意味だったのでしょう。しかしアーサーは文字通りの意味だと解釈してしまいコメディアンを目指したようです。アーサーのズレた解釈は後に現実になりますが、これはアーサーが当初思い描いていたのとは違った形でした。現実になったのは「ジョーカーとしての幸福な笑みが一部の暴徒を熱狂的に喜ばせる」という形です。皮肉といえば皮肉ですがジョーカーが幸福ならば私は文句なしですね。現実にいたら迷惑を通り越して有害な人なのはわかっておりますが。ついでに言うと、アーサーが自首して刑務所に入り囚人たちを楽しませるというルートを選ばなかったのは、実は彼には他人を楽しませる気がなくて自分が注目されたいだけだからだと思います。コメディアンになることに執着していたのはそのせいかと。だから、コメディアンになり損なって殺人ピエロになってしまっても平気なのでしょう。みんながもてはやしてくれるのですから。こう考えるとアーサーは可哀想というよりは自己中心的な人物に見えます。

 

冷蔵庫を使った自殺未遂は母親の入院中である

ひとりになったアーサーは自宅の冷蔵庫の棚を全部はずして冷蔵庫の中へ入ってしまいます。おまけに上半身には何も着ていません。どうやら冷蔵庫を使って凍死自殺しようとしたようです。このシーンはてっきり母親殺しの後だと思っていましたが、もう一度観たら母親の入院中でした。母親を殺して自暴自棄になったのではなく、母親が入院して世話をする心配がなくなったので心置きなく死のうとしたようです。3人殺したのに自首していないのは母親が心配だったというのもあったのか。この冷蔵庫は二人暮らしだった割には全然食料品が入っていません。家賃その他を払うと食費がろくに残らなかったのか、この家には食料品の買い置きがないようです。こんなシーンでも貧しさが伝わってきてやりきれない。ちなみにこのシーンはアーサー役のホアキンさんのアドリブだったとか。これが脚本にないシーンだったのなら、そもそもアーサーが一度自殺を試みるというアイデア自体がなかったのかもしれません。そうなるとアーサーが死に方を変えるというか、「ショーに出演する来週の木曜日まで生きていないといけなくなったので」気が変わって自分の出自を調べに行ったという流れ自体が、ホアキンさんのアドリブで生まれたことになります。すごいなぁ。

 

3人殺したことを悩まずに「すっきりした」と言っている

3人殺したアーサーが自首しなかった最大の理由は悩まなかったから。「ひどいことをした。悩むかと思ったけどすっきした」と言っています。犯罪であることは自覚していても罪悪感はなかった。アーサーは生まれて初めて人殺しをしたことで自分はムカつく奴を殺しても罪悪感を持たない人間であることを自覚したようです。いくら気が動転していたからといって、その場から逃げたのはともかくトイレでスローダンスを始めてしまう人に罪悪感なんてあるわけがないですもんね。あそこにあったのは罪悪感ではなく高揚感だと思います。最初にこのセリフを聞いた(読んだ)時はアーサーが狂いつつある兆候に見えたのですが、よく考えたら元からこういう性格だったのではないかと。そう思うと印象が変わるセリフですね。アーサーが一度死のうとしたのは自分の邪悪さを自覚したからなのかも。自宅で死んでひっそりと社会から消えようとしたあたり、罪悪感はなくても良心はあったらしい。もっとも、この最後の良心はショーで司会者を撃ち殺した瞬間に消し飛んだようですが。憧れの人を殺して憧れから卒業してしまったようです。

 

アーカムでの面談シーンでは机にマイクが置かれている

ジョーカーは捕まって入院させられたようです。真っ白な病院の壁を背景にして女性医師(?)と面談するシーンでは、机にマイクが置かれています。つまり彼の話は録音されているのですね。これは面談・カウンセリングというよりは取り調べの延長なのかも。しかし作中でアーサーは妄想を持ちうることがわかっているので、この記録は信頼できないという指摘をしている方もいます。私はこのマイクを見るまで、ジョーカーの話が録音されていることがわからず、この物語がアーサーの回想であることに気づいていませんでした。映画を観る際には小道具に気づくかどうかも大切ですね。

 

赤い足跡をつけて歩くシーンではズボンの右足の裾にシミが広がっている

彼がジョークを思いついたと言う→医師が聞かせてと言う→理解できないさと彼が言う→彼が足跡をつけながら廊下を歩くという流れになっているので、彼は面談の後に医師を殺したのではないか。その血をしたたらせながら歩いているのではないかという解釈も見ましたが、彼のズボンの右足の裾に赤いシミが徐々に広がっているのが確認できたのでこの解釈は違うかなと。私は彼が自分で自分の右足首を切ってわざと血をたらしながら歩いているんだと思います。これが、彼が先ほど思いついたジョークなのかは謎ですが。これを見る限り彼は理性のタガが外れており、かなり狂気じみています。そもそも一度も退院しておらず外で暮らしたことも事件を起こしたこともない、というわけではなさそうです。赤いスーツに緑の髪のジョーカーは現実に英雄になっていることでしょう。それならば、いつか支持者たちがアーカムを襲撃して彼が逃がされる未来もありえるのかもしれません。というか、実現してほしい。

 

以上。とりとめのない記事になりましたがひとまずここまで。いつか3回目に観たらまた感想記事をお送りします。

 

追記:この映画には4通りの見方があるよね。

この映画には4通りの見方があります。アーサーがかわいそうだと思うか否かと、作中のできごとは作り話であるか否かです。ちょっと図解してみます。

まず、アーサーがかわいそうか否かという視点を二つに分け、それぞれをAとBとします。

A:アーサーは何もかもを失って狂った哀れな男であるという視点

B:アーサーは元からジョーカー的な性格を内包していたという視点

次に、作中のできごと(アーサーがアーカムでマイクを前にして話したこと)は、アーサーの作り話であるか否かという視点を二つに分け、それぞれを1と2します。

1:作中のできごとはすべて現実に起きたことである

2:作中のできごとの一部または全ては、アーサーの作り話である

以上の視点を組み合わせは、以下のように考えられます。

A1、A2、B1、B2の4通り。

みなさんはどの組み合わせの感想を持たれたでしょうか。私は初回ではA1、2回目ではB1の感想を持ちました。ブログなどで他の人の感想記事を読む場合は、筆者はこの4通りうち、どの視点によっているのか考えながら読むといいかと。この4通りは感想を語り合ううえでの大前提なので、この部分が共有されていないと話がかみ合わないと思います。お友達と感想を話し合う際のご参考までに。

 

※本記事は、10月12日に加筆しました。

 

映画『JOKER』(2019)を観た。 ありがとうアーサー、おめでとうジョーカー。

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映画『JOKER』にはIMAX版限定で先着順の入場特典があるとのことだったので、近所にユナイテッドシネマがあるのをいいことに公開初日の朝イチで観てきました。入場者特典はA3サイズのポスターです。詳しくは以下のリンク(⬇︎)からどうぞ。

 

wwws.warnerbros.co.jp

 

入手後はとりあえずダイソーに行けば¥200+税でA3サイズの黒い額縁が買えるぞ! 私はさっそく額に入れて飾りました。ポスター写真の背景にもマッチしている不吉な色味でかっこいい!

公開早々にネタバレするのも酷なのでできるだけネタバレしないように気をつけますが、抽象的な感想のみをお送りするだけの語彙もないので所々、作中でどんなシーンがあったか書きます。これすらも嫌だという方はブラウザバックを推奨。あと、パンフレットにはあらすじが9割方書かれているので、ネタバレは絶対に嫌だという方は、鑑賞後にパンフレットを購入したほうがいいかと。

それでは以下、私の感想をお送りします。

 

ありがとうアーサー、おめでとうジョーカー。

観終わって最初に思ったことは、自分の日常が平穏に続いているのはひとつの奇跡なのだということ。些細なことで歯車は噛み合わなくなる。主人公のアーサーが危なっかしくも懸命に維持していた平和な人生は、段々と壊れていく。

観終わった後で、あのシーンは象徴だったのかなと想像したシーンがふたつ。これは観客の私が勝手に想像しただけなのだが。まずは、看板を奪われたアーサーがチンピラを追い、自ら看板に突っ込んで看板を壊してしまうシーン。あれは、アーサーが自分の手で大切だったものを壊していくという、この映画の筋立てを表していたのかもしれない。次に気になったのは、アーサーが母が入院している病院に、自動ドアの出口から無理やり入っていってしまうシーンだ。彼は出口から人が出てきたすきに病院へ入ってしまう。これは、彼がいずれ間違った手段で目的を達するようになることを暗示していたのかもしれない。

パンフレットによると、アーサーがアパートに帰るために階段を登ることは、家に帰れば単調な生活が待っていることを象徴しているのだという。最初はその単調さこそが陰鬱で、アーサーがカウンセラーとの定期面談から家に帰るシーンでは暗く重い弦楽の曲が流れる。しかし物語が進むにつれ、いつの間にか私は、彼が外出する度にまた階段を登ってほしいと願っていた。どうか、帰る家までなくしませんようにと。しかし、この願いは無意味である。予告編を観ている観客の私はアーサーがいずれジョーカーになることを知っている。つまり、アーサーはいつか必ず、帰る家を失うのである。パトカーのボンネットの上で目を覚まして立ち上がり、メイクを直した彼は完全にジョーカーであろう。今の彼が、無名のまま貧しく生きることの辛さを訴えることはもうないだろう。そして、二度とあの階段を登ることもない。帰る必要はなくなったのだから。彼は最後に家を出た時に、唯一の友を見送っていた。彼はこの時、人間としてのつながりを持つすべての者と別れた。最期のショーのために身支度を終えて家を出た後の彼は、アーサーと呼ばれることを望んでいなかっただろう。アーサーだった時に少しでも良いおもいでをくれた者にはすでに別れを告げたのだから。

衣装に身を包み階段の踊り場でひとり機嫌よくダンスをしていた彼は、刑事たちにアーサーと呼ばれて我にかえる。この期に及んで彼をアーサーと呼ぶ者など、彼に殺人の容疑をかけて監視している刑事たちぐらいのものだ。

もう出演依頼を受けてしまった。それも、彼がずっと出たいと願っていたショーのだ。出演依頼の電話がかかってきた。アーサーだった時の努力は彼が死を決意した後になって実を結んだ。だから、死に方を変えて、出演するまで生きようと思ったのに。友だちにだって、さっきショーに出るんだと言ってしまった。なんにせよ今さら捕まるわけにはいかない。彼は刑事たちをふりきるべく、もう二度と登らないであろう階段を駆け下る。余計な演出に時間を割いてしまうのは悪役の常なのか。薄幸だった彼が珍しく楽しそうにしているのを見られて、観客の私はうれしくなった。彼の物語の終わりは近い。

彼は刑事たちをまいて無事に会場へ到着する。そして、楽屋へ挨拶に来た司会者マレーに言う。自分のことは本名ではなくジョーカーと紹介してほしいと。彼はカメラの前でアーサーとして死ぬつもりはなかった。最期ぐらいコメディアンでいたかったのだろう。

彼はこの日、カメラの前のジョークで人生を終えるはずだった。出演者いじりに慣れた司会者はまさか、ジョークに合いの手を入れて相手を怒らせることになるとは思いもしなかったのだろう。アーサーだった時に言ったジョークが一度もウケたことがなかった彼はついに言う。面白いか面白くないのかは自分で決めればいいのだと。カメラの前で一暴れした彼の人生はこの日に終わるどころか、彼の存在自体をジョークにしてしまった。生き延びてしまった今の彼は道徳にも社会貢献にも興味はないだろう。元から持っていた脳障害のせいで病院に入れられても彼は気にしない。自分はおかしくなどない。この発作的笑いも含めて自分なのだから。凝ったピエロメイクは落とされてしまったけれど。貧しいなかで用意した衣装は剥ぎ取られてしまったけれど。それでも彼は人生を楽しめることを知っている。病院に閉じ込められていることなど大した問題ではない。職員との追いかけっこは楽しい。アーサーとして私怨を持ちうるすべての人間を消した今の彼には、戻る場所どころか過去さえも必要ない。彼は今、本当に自由になった。

今となっては生活の心配もない。自由に使える金は与えられないだろうが、退院させられるまでは否応なく健康を管理される。栄養のある食事と清潔なベッドと服は頼まなくても与えられる。彼にとって病院は、無期限かつタダで止まっていられるホテルのようなものだろう。生活の心配がなくなったのなら、あとはひたすらに遊ぶだけだ。

これは、彼の人生にバットマンが現れる前の物語。バットマンが現れるずっと前から彼は楽しくやっていた。彼には入院していながら愉快犯であり続ける才能があるらしい。

人間の変化は少しずつ進むものだ。人殺しなんて大げさなことをしなくてもいい。おとなしかった男がタイムカードの打刻機を叩き落とし「Don’t forget to Smille!」と書かれた標語の「forget to」を塗り潰す。見捨てられてなお、いい子でいる義理などない。この時に顔を出したアーサーの中の悪い子が後のジョーカーなのだろう。このイタズラは彼の不満の表現であると同時にわずかなユーモアが感じられる。この行動も彼にとってはジョークだったのだろう。打刻機は明日には直されて、標語を塗りつぶしたマジックはどうせすぐに落とされるのだから。アーサーが望んでいたのはこんな、ささやかな表現だったのだろう。人を傷つけないような。

彼がボンネットに乗せられるシーンは、ゲーム『アーカム・シティ』へのオマージュだろうか。バットマンに抱えられパトカーのボンネットに横たえられたゲーム版のジョーカーはすでに息絶えていた。彼が死んだことを皆に知らせるために、ゲーム版のバットマンはジョーカーを外へ運び出したのだ。しかし今作の映画では、ジョーカーは死んでいなかった。声援とともに立ち上がり、自分の血で口元のメイクを直した彼は拍手喝采される。この後、愉快そうにピエロマスクたちの暴動を眺めながら鼻歌混じりに歩きだしたのが、入場者特典のポスターになっているシーンなのではないかと想像している。

もしかしたら、このジョーカーは後に『ダークナイト』版のジョーカーになるのかもしれない。今回のジョーカーは口を切り裂かないし、アーサーとしてデータを取られているだろう。しかし、彼が口を切り裂いてデータを消せば、あのジョーカーにもなり得るのではないか。そうなればますます面白い。できることなら私はゴッサムの名もなき一市民になり、ジョーカーの活躍を無責任に眺められるようになりたい。

内心でジョーカーの誕生を、アーサーの不幸を望んでいる非情な観客の前で最後まで踊ってくれたアーサーに心からの感謝を。そして、ジョーカーの誕生に祝福を。

 

以上。

 

※本記事は、10月9日にリンクを加えました。

 

【開催中】『ショーン・タンの世界』展に行ってきました。すごすぎて印刷と区別がつかない【京都】

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左:ショーン・タン展のチケット

右:パイフェイスのチーズティ タピオカミルクティ

どっちも同日に摂取したもの。流行とは無縁で目の保養になるショーン・タンの世界と、チーズドリンク+タピオカミルクティーという無節操な流行追いの塊は本来なら相反する存在なのですが、どちらも味わいたい時があるのが人間というものです。

 

私の駆け込み消費は、京都にあるギャラリー「えき」で10月14日まで絶賛開催中の『ショーン・タンの世界』展でした。9月〜10月にかけて開催するなんて罪な展覧会ですね。しかし行った甲斐はありました。すばらしいというかやばい。何がやばいってショーン・タン氏の画力がやばい。すごすぎて印刷と原画の区別がつかない。特に鉛筆画。あまりにも正確というか破綻がないというか。原画を目の前にしているはずなのに、まるで写真をデジタル処理して鉛筆画風に変換したかのように見える。なので、しゃがみこんで下から鑑賞しました。こうすると照明の当たり具合が変わるので、絵の表面の質感が確かめられます。結果、鉛筆画では特に濃い(黒い)部分はテカテカと光っていて、本当に手描きで鉛筆を塗り重ねていることがわかりました。マジかよ。というか、他に誰もしゃがみこんで鑑賞してなかったんだけど、誰も疑問に思わなかったわけ? さてはあんたら自分で絵を描かないんだな。あえて変な角度で鑑賞することこそ原画を観る醍醐味なのに。印刷だとどんな角度で見ても表面は滑らかだけど、原画だと濃いところがテカっていたり、油絵の具だと塗り重ねられて凸凹していたりして、これぞ手描き! って感じなのに。それを観るためにわざわざ原画展に行くんだろうが。「何が描かれているか」を見るだけなら画集でいいんだよ。「どう描かれているか」を観に行くのが展覧会ってものなの! 何も現場で模写してる奴だけが絵描きじゃないんですよ。絵を変な角度で観てる奴も絵描きですよ。まあ私は中学時代以来、絵を描いてないんですけどね。でもさ、多少の心得があればこのすごさがわかりすぎて信じられないはずじゃない。なんでみんなそんなに平常心を保っているの!? 写真加工アプリって知ってます? ああいうのってさ、写真をイラスト風に変換できたりするじゃん。あれに酷似しているとは思わなかったわけ? いや、失礼な感想なのはわかってるんだけどね?  デジタルなものに慣れていればいるほど信じられないんですよ。それぐらいすごかったの。この人、同じ画風で実在する風景を描いたらマジで加工疑惑がかけられてしまうのでは。ファンタジックな風景のおかげでかろうじて手描きなんだと信じられるんですけども。やばい。やばいよ。何がやばいって気がついたら1000文字(自分にかしているノルマ)を達成しているのに、まだ「こんな作品が展示されていました」っていう話をしていないのがやばい。とりあえず『ロスト・シング』の映像化作品が観られるし、日本で有名な『アライバル』と『エリック』の原画はあるから観に行っておけ! 以上。 

 

展覧会概要

展覧会名:『ショーン・タンの世界 どこでもないどこかへ』

会場:美術館『えき』KYOTO

会期:10月14日まで(会期中無休)

入館料:一般900円(税込)

アクセス:JR京都駅から伊勢丹の7階へ。

 

その他の詳細は以下、美術館『えき』のサイトからご確認ください。

kyoto.wjr-isetan.co.jp

 

おまけ:会場にはご本人が子供の頃から使っている絵の具箱だの、アトリエの再現展示だのがあったのですが、これを観ていたある女性が「ここにこれがあったらさ、今、この人はどうしてるんだろうね」とかおっしゃって。言われてみればそうですよね。ここに本当にご本人が使っている道具があるんだとしたら、今はどうやって絵を描いているんだろう? 確かこの展覧会は巡回しているから、かなりの期間、絵が描けないことになる気がしますね。本当にどうしてらっしゃるのか。

  

会場まで行くのが面倒くさい人にはカタログがオススメ!

なんと、この展覧会のカタログはアマゾンで売っているぞ!

会場で買い逃した人、重くてデカくてあきらめた人は通販してみては。

 

※本記事は、2019年10月3日にリンクを加えました。