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今回、ご紹介するのは、文字のない絵本『アライバル』。
作家はショーン・タンさんです。
これは表紙をお見せしたいので、アマゾンへのリンクを貼っておきます。
あくまでも印刷なのですが、古びているようなデザインがステキ。
大きさは縦が約31.5センチ、横が約24.5センチの大型絵本です。
以下、この作品を解説します。
あらすじ
ある一家がある町に住んでいるが、その町は危機に瀕しており、
長く住み続けることは、できそうにない。
一家の主人は妻子をおいて、新天地を目指して旅立った。
船に乗ってたどり着いた新天地。
たくさんの検査を受け、なんとか入国を許された男は、
読めない文字に四苦八苦しながら宿に泊まった。
男が部屋に入ると、そこには見慣れぬ生き物がいた。
どうやらここに住み着いているらしい。
この生き物にベッドのありかを教わった男は、
明日に備えて眠りについた。
翌日。男はネズミと野菜のカブを足したような、
奇妙な生き物を相棒にして、町で職探しをはじめた。
結局、男がついた職は、工場での不良品検査の仕事だった。
働きはじめた男は、知人を増やし、少しずつ町になじんでいく。
ある日、家族に旅費を同封した手紙を書いた。
ついに妻子を呼び寄せる準備ができたのだ。
しばらくして手紙の返事が届いた。今日、そちらに着くという。
男は家を飛び出して妻子を迎えに行った。
新天地での、家族の暮らしが始まった。
幼かった娘はすぐに新しい生活になじんだ。
そして、新たな移住者に、道案内をしてやるのだった。
オススメのポイント。絵がすごすぎる。
はい、なんと言っても文字のない絵本ですので、
読者は絵に集中するしかありません。
この絵がもう、すごいの一言なのです。
人物やモノの質感は写実的に描きながらも、
その画力でもってファンタジーの風景を描くものだから、
どこかに本当にあるんじゃないかと思えてきます。
文字がない、ということは、ストーリーは
絵で説明するしかないわけですが、
この絵本に文字など必要ありません。
人物の表情やしぐさによって、まるで自分がその場にいて、
会話が聞こえてくるかのよう。
この画力には、もはや文字はジャマです。
たまには、文字のない絵本が読みたい。
美しい、ファンタジーな景色を見たい。
そんな方には強くオススメします!
登場人物について
ここからは登場人物について書きます。
妻子を残して新天地を目指した男が主人公ですが、
この他にも、
・収容所らしきところから逃げてきた女性
・故郷が巨人に滅ぼされて、妻とともに脱出した男性
・元兵士の老人
などが登場します。
移民の人々には、故郷から出ざるをえなかった理由があります。
また、現地の人だからといって、苦労していないわけでは
ありません。どちらにせよ、
今の幸せは努力して築かれたものです。
まとめ。生きていればいつか幸せになれる。
人生には苦労があり、時には明らかな不幸さえあります。
しかし、希望を持って生きていれば、いつか幸せになれる。
希望を持ち続けることの大切さを教えてくれる、
大人のための絵本です。
とにかく一読の価値あり。
読み返したくなること、間違いなし!
以上、ショーン・タン作 文字のない絵本『アライバル』の紹介でした。
※本記事は、8月18日に修正しました。