早朝、今年初めての古紙回収を出した。久しぶりにAmazonで本を買ったら、ダンボールがたまったのだ。それを適当に折って紙袋に詰めてまとめ、1階の集合玄関に出す。もうとっくに仕事はじめの時期だが、さすがにこの時間だとまだ誰もエレベーターを使わない。だから安心して下界へ降りられる。私は閉所恐怖症ではないけれど、他の人と乗り合わせるとマスクをしないといけないので面倒だ。
回収日当日の早朝を選んだのには他にも理由がある。そもそも、当日の朝に出すのがこの集合住宅のルールだからだ。業者による回収時間は8時頃なので、この時間を過ぎなければ古紙は回収されない。それなのに前日の晩から玄関前に古紙が積み上げられていると、放火されるなどのリスクがある。こんな状態は危険だと認識した管理人は「古紙は当日の朝に出す」ことをルールにしたのだ。
しかし、残念ながらうちの他にこのルールに従っている家はなさそうだ。古紙回収の前日には1階にダンボールや古新聞や雑誌の束が積み上げられる。この紙の山を見て、私は古紙回収の日を思い出す。そういえば明日か。うちも久しぶりに出そう。
そうして私は今年初の古紙回収を出した。実を言うと私だって、前日の晩に出したことがある。マンガを詰めた紙袋が2つになってしまい、当日の朝に持って降りるのが面倒になった。こんな時にはもう前日の晩に持ち降ろすことにしている。こうすれば絶対に回収時間に遅れない。時間を守ることよりも、もう読まないコミックが無事に回収されることのほうが大事だ。そう思って1階に出したことがある。今回は大した量ではなかったから、ちゃんと当日の朝に出した。我ながらえらい。
眠いのにえらいねえ、寒いのにえらいねえ。そう自分をほめるついでに朝マックへ行くことにする。朝マックも早起きする楽しみのひとつだ。私はまだ暗くて星が見えるなか、ひとりテクテクとマクドナルドへ歩いていく。コートを着ることを忘れなかったのもえらい。鞄は持っていてもコートを着忘れていたら家に戻らざるを得ず、思いつきで朝マックに行こうとはしなかっただろう。
横断歩道を渡って着いたマクドナルド。まだ早朝なので客は少ない。駐車場の車も、客席に座る客もまばらだ。入店した私は素早くレジの前に移動し、ソーセージエッグマフィンのコンボを頼む。お会計前にはすかさずdポイントカードを出し、何十円か値引きしてもらう。ドリンクはホットティーのMサイズ。カウンターからコンボを受け取ったら、珍しく先客のいないソファー席に座り、ティーバッグをひとつだけカップに入れる。ホットティーのMサイズを頼むとティーバッグがふたつ付いてくるのだが、私には濃すぎるのでひとつしか入れないのだ。残ったティーバッグは鞄にしまう。マフィンの包み紙を開き、紅茶が抽出されるのを眺めながら食べる。そして思い出す。マクドナルドではもうすぐdポイントの取り扱いが終わってしまうことを。
私ももう歳だ。四十近くなって朝マックを食べるのは、洒落た行為ではなく愚行かもしれない。そう思うと、dポイントの終了と共にマクドナルドから卒業しなければいけない気がした。もしかしたらこれが、人生最後の朝マックになるかもしれない。よく味わって食べた。朝マック限定のマフィンは香ばしい。相変わらずパティとチーズは塩辛くて脂っこいけれど、目玉焼きの白身で和らげられる。均整のとれたこの味が、やっぱり好きだ。
以上、もしかしたら最後の朝マックでした。