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以前の記事(⇩)でポストアポカリプス映画が観たくなるとか言ってたんですけど
休日は積ん読本の消化に費やされたのでポスアポ映画が観れてなかった。はじめは『アイ・アム・レジャンド』を観るつもりだったのですが、別エンドがあるときいてやめておきました。ファンの方々やスタッフさんには申し訳ないですが、さすがに2回分のお金と時間は費やせないです(汗) そこで今回は『ザ・ウォーカー』を観てみました。本作を選んだ基準はズバリあらすじ。万難を排して「最後の本」を西に運ぼうとする主人公。「最後の本」とは何なのか、主人公の目的は何か。このあらすじを見てから、ずっと気になっていた一作なのでこの機に観てみました。家でもパソコンの前に2時間も座ってるのはキツかったですが。一応は事務イスを使ってるんですが安物なので長時間座っていると腰にくるんですよね(汗)
『ザ・ウォーカー』の基本情報はこちら(⇩)をどうぞ。
それでは、ポスアポ映画『ザ・ウォーカー』の感想などをお送りします。
本作の特徴と感想。
本作の特徴は
・冒頭で主人公が猫を殺す
・主要な登場人物が少ないので名前を覚えなくてもいい
・画面が基本的に灰色なので色彩的に静か
・音楽もかなり静か
・間接的にハッピーエンド
ざっとこんなところ。主人公は食べるためにノラ猫を殺し、自衛のためにけっこう人を殺すので、どんなにかわいそうな奴でも猫殺しと人殺しはダメだという人は観ないほうが無難。ポスアポ映画を観ようという時点でおして知るべしなので覚悟はできてると思いますが「猫が死ぬ映画はすべてクソである」「たとえフィクションでも猫が死ぬのは許さん」という信念をお持ちの方は観ないほうが無難です。それでは以下、それぞれについて少し詳しく。
・冒頭で主人公が猫を殺す
暗い森で毛のないノラ猫(猫種はスフィンクス?)が矢で射られて殺されます。殺した男はなんと主人公。しかもこの猫の肉を一人で食べず、通りすがりのネズミに「猫の肉だぞ」とか言って分けてやがる。冒頭で猫好きにケンカ売りすぎ。ポスアポものにしてもやりすぎ。短気な人だったらイスを蹴って退出してる勢い。このシーンだけは玉に傷。まあ私は亡き愛猫が一番なので、愛猫に似てない猫ならギリセーフ。しょせんフィクションだし、矢が当たったシーンはどうせ合成だと自分に言い聞かせて耐えました。
・主要な登場人物が少ないので名前を覚えなくてもいい
観ながら書いたメモを見ながらこの記事を書いてるんですが。自分のメモにある人名が「イーライ」「カーネギー」「ソラーラ」「クローディア」「マーサとジョージ」ぐらいしかない。なんならまったく覚えてなくてもいい。ぶっちゃけ、主人公イーライと悪役ボスのカーネギーとヒロインのソラーラの三人の顔さえ覚えればストーリーはわかる。画面がほぼ黒と灰色で構成されており、髪や服の色で人物を見分けにくい世界ではありがたい。モノクロな世界の登場人物は少なくしてほしい派なので。本作の何がすごいって、主人公が名乗るのがかなり終盤で、序盤~中盤では誰にも名乗らないこと。一人称視点の物語じゃないのに主人公の名前がわからなくても物語が進められるのは絵のある媒体ならではでしょう。主人公が名乗っていないことに違和感どころか疑問さえ持たせないのはさすが。
・色彩も音楽も静か
前述しましたがこの映画、画面のほとんどが灰色か黒なんですよね。この世界は見渡す限り、地平線まで灰色一色! 空はともかく地面さえ灰色なのは世界観や設定のせいというより、監督さんの美意識の問題かも。この中でたまに見える本の金色や、ソラーラのマフラーの赤が映える! めちゃくちゃカラフルな絵面も豪華でいいんですが、こういう控えめな色彩も好き。鮮やかな色の絵画や衣服は、文化以前に文明の産物なんですよね。色のある世界ってありがたいなあ。いまのうちにもっとピンクとか紫色の服を着ておかなくちゃ。文明が崩壊した後に後悔しないように。バカみたいな量の紫外線の下じゃ、どんな布もあっという間に色あせそうだから。
で、音楽なんですが。私は映画音楽以前に音楽ってもの自体に疎いんでなんとも言えないんですけど、この世界の色調に合わせたのであろう静かな曲ばかりです。主人公が聴く歌と、マーサのレコード以外の曲は必要ないのではないかと思うほど静か。歌詞があってハイテンションな曲のほうが耳に残って思い出しやすいけど、胸に染みるのはこういう、歌詞がなくて静かな曲なんだと実感。文明の崩壊後、私だったらどんな曲を聴きたいかな。文明が崩壊して30年後の世界らしいので、電子楽器は全滅していそうです。そうなるとテクノ系が聴きたいところ。やっぱりボカロ曲かな。それも、フィクション味が強いやつ。当分は(あるいはもう二度と)復活しなさそうなジャンルを聴きたい。今のうちにボカロ曲を…あるいはバカバカしくてくだらない曲を聴いておこう。
・間接的にハッピーエンド
最後にストーリーについて。ここからはネタバレなので注意。個人的には間接的なハッピーエンドだと思っています。最終的に主人公は死ぬけれど、30年かけた目的は果たすので。これを使命だと認識していたのであれば主観的にはハッピーエンドでしょう。ただ、私が思い描くような、主人公の一人勝ちみたいな典型的なハッピーエンドじゃないだけで。主人公には生き延びて伝道師になってほしかった。観る前の予想通り「最後の本」は、この世界で最後の聖書でした。これが何語版の聖書なのかは見てのお楽しみです。無神論者の私からすると、ポストアポカリプス世界では生き延びてナンボだろと思ってしまいますが。聖書(の内容)を後世に残そうとすることが主人公の強い動機になり、彼を30年も歩かせて生かしたのならば。宗教も悪くないかもしれない。特に、荒廃した世界で人心も荒んでいる時代には。この映画はストーリーよりも宗教の効能を再確認する映画だと思いました。
以上、ポストアポカリプスもので静かだけど猫が死ぬ映画『ザ・ウォーカー』の感想などをお送りいたしました。