漫画家のキューライス先生がオモコロで連載しているWeb漫画『バルディッシュ・ホテル』が十話目で完結してしまいました(⇩)
第九話の時点で「もうすぐ完結の予定」と、最終話が近いことがほのめかされていましたが。まさか次の、十話目が最終話になるとは思いもしませんでした。漠然と「全十二話で完結するんだろうな」と思っていたので…本当に驚きでした。今年は早くも1月にこんな不意打ちをくらってしまったので、あとはもう私生活で驚かされることはないと思います。そう考えると幸先が良い。でも、さみしい。なにせこの最終話は、描かれていないことが多すぎるのです。はっきりと「そのあとどうなったのか」描かれているのは草人とクピドとガブリールとチックとノースだけで、他のキャラクターがどうなったのかはわからない。要するに、よく登場する主要キャラのその後しかわからないのです。1話だけ登場したキャラのその後はわからないことがほとんど。家長のカロテ氏を失ったニンジン族のキャロ家はどうなったのでしょうか? ちょっとしたマナー違反で怪物に変えられてしまったペイパー・トラビス氏は? 剣を捨てて勇者をやめた青年「ロナン」は? 魔王「ロゲ」は実在したのか? 月はまだ欠けたままなのか? あららさんの番組はまだ続いているのか? わからない。わからないことが多すぎます。現実の世界で自分が出会った人なら「その後がわからない」ことはざらにあります。誰でも消息(現状)不明の知り合いの一人や二人いるでしょう。それが人生なんだと思います。しかし『バルディッシュ・ホテル』はフィクションです。ハッピーエンドや大団円は不自然で余韻を楽しむ余地がないので、好まない人がいるのはわかりますが。私は、不自然さや説明過多もフィクションの醍醐味だと思っています。フィクションだからこそ、登場人物の「その後」を描いてほしかった。「あとは読者の想像におまかせしよう」は『はてしない物語』*1で読み飽きました。想像の余地があるのが楽しいのだという意見もわかりますが。これが最終話だというならば。ガブリールの過去だけでなく、彼らの現在も描いてほしかった! せめて、せめてキャロ家のその後は描いてほしかった。自分が家出したせいで父から護衛が離れ、そのせいで父はダイコン族に暗殺されたと知ったニンジーノ君はどんな反応をして、何を決断したのか。それだけでも描いてほしかった。少しでも彼の成長を描いてくれたら、そうしたら『ゴッドファーザー』の二番煎じになっちまうのか。そうか。だから描かなかったのか。そうか。それは仕方ないですね。うん。私はキューライス先生を許します(何様だ)
以上、『バルディッシュ・ホテル』が完結してさみしい件をお送りいたしました。あともう十話ぐらい読みたかった!