※この記事では、化粧品やコスメショップに対して否定的な意見を述べているので、不快になりたくない方は読まないことを推奨します。読んで不快になっても責任は負えませんのであしからず。
ご近所のショッピングモールに入っているバラエティショップが、3月上旬に閉店するらしい。心底嘆くほど落ち込んではいないものの、少しさみしい。このさみしさを糧にして、コスメショップよりバラエティショップが好きな理由を考えてみた。
コスメ専門ショップよりもバラエティショップのほうが好きなのは、コスメ棚があるのと同じフロアに、他の商品の棚もあるから。たとえばお菓子だったり、紅茶だったり、髪飾りだったり、ヘアブラシだったり、香水だったり、石鹸だったり。ヘアゴムやカチューシャは装飾品も兼ねているし、香水や石鹸には「良い香りをまとう」という目的があるので「虚飾」の仲間ではあるが、まあ許す。飲み食いできたり髪をまとめたり手を洗えたりするので実用品に含めることもできる。コスメしか並んでいない空間にはうんざりするが、実用品にはうんざりしない。
上記の「虚飾」とはすばり「メイク・化粧」のことだ。正確にはメイクではなくコスメ(化粧品)が売られているわけだが、実を言うとコスメというのはアイテムそのものではなく、メイクの効果(結果)を売る商品である。いわゆる「客が欲しているのはドリルではなく穴」理論と同じ。コスメを買う客が真に求めているのはコスメそのものではなく、それを自分の顔に塗った結果、今よりも少しキレイ(あるいはカワイイ)になることだ。私はこの「コスメを塗った結果」を指して「虚飾」と呼んでいる。正直な話、素人がセルフメイクしたところで大して変わらないと思う。せいぜい、清潔感と華やかさが少し足されるぐらいだろう。だから「これを使えばキレイ・かわいくなれる」というのは、私にとって幻想だ。メイクを「顔面に塗るタイプの幻想」と定義するならば、一言で「虚飾」と呼んでもまちがいではないだろう。だから私はメイクを「虚飾」と認識している。コスメはいわば「虚飾の素」である。この定義に従えば、コスメショップとは「壁一面に『虚飾の素』が並んでいるショップ」ということになる。一度、こう思いながらコスメショップの棚を眺めてほしい。私がなぜコスメショップにうんざりするのか、わかってもらえるだろう。もっとも、わざわざ他人の不快感を追体験したいと思う人はいないだろうが。
ドラッグストアのコスメ棚は日用品の中に混ざっているから良い。洗剤や歯ブラシやトイレットペーパーに娯楽みはないが、コスメには娯楽の要素もある。ドラッグストアのコスメ棚(特にポイントメイクコーナー)は、日常のなかの非日常を演出しているから良いのだ。ケイトのグリーンマスカラ(限定色)と歯磨き粉を同時に買えば、虚飾以外の物も手に入る。だからうんざりしない。むしろ、日常の動作に娯楽みが足されてウキウキする。
ここまで考えて気がついたことがある。どうやら私は、娯楽やロマンに全振りした物と空間が苦手らしい。アイテムにしろ、店の売り場にしろ、娯楽品と日用品が適度に混ざっているのが好きなのだ。実用品ばかりだと面白くないが、娯楽品だけの空間には圧迫感があって落ち着かない。「この空間に似合わぬ者は去れ」と言われている気がして楽しめない。だから、バラエティショップが好きだ。実用品と娯楽品が適度に混ざっているから。新作コスメとハサミと水筒が一度に買えたりする空間が好きだ。だから、私の理想の空間はワンフロアタイプの小規模なLOFT。そう、みなさんご存じの、あの黄色くて巨大なバラエティショップの「LOFT」だ。何フロアにもわたる大規模なLOFTだとコスメのみのフロアがあるのでいまひとつ。どうか、ショッピングモールの片隅に入っている「小さなLOFT」が消滅しませんように。
以上、コスメショップよりバラエティショップのほうが好きな理由を述べました。
追記:この記事の公開後に読者様が増えました! 登録ありがとうございます! なぜか通知が来ませんでしたが、読者数には反映されていてありがたいです。コスメショップには否定的な私ですが、コスメのレビュー記事はたまに書きますのであしからず。末永くおつきあいいただければ幸いです。